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第16話 深海の底から?

 

 深夜、虹のビーチに流れている海、アルク海。

 その海の深い場所……深海1万メートルで2人のカップルが深海の水圧に耐えれる圧力を持つ小型潜水艇を使い、夜のデートを嗜んでいた。深海デートはこのゲームの中では定番で、深海には気持ち悪い生物から綺麗な生物まで、多くのカップルプレイヤー達はその生物達を潜水艇でゆっくりと探しながらお互いの距離を近づけるという事である。

 そんな2人はイチャイチャしながら、ガラス張りの運転席でお互いの手を軽く握り、海の風景を楽しんでいた。男が操縦している。


「ここが深海だよ……りーちゃん」

「あっくん……神秘的ね……」


 ライトを照らしてゆっくりと音も立てずに動いているが、深海の暗さは想像以上で前はあまり見えず、気持ちの悪い深海魚達が悠々と泳いでいる。


「きゃっ、気持ち悪い!!」

「あはは‼︎このくらいで驚いていちゃあダメだよリーちゃん。それに何かあったら僕が助けてあげるよぉ!!」


 深海魚を見てあっくんにわざとらしく抱きつくリーちゃん。あっくんはここぞとばかりに男を見せて、リーちゃんを安心させる。そんなあっくんの姿を見て目をキラキラさせて惚れ直すリーちゃん。


「あっくん……カッコいい!!」

「いやぁ……ん?何だこの反応?」


 潜水艇についている探知機が1km先に謎の大きな生物の反応を捉えた。リーちゃんがそれを見て、怯え始める。


「あっくん……これって……」

「多分この大きさはメガロドンだね、これくらいな大丈夫‼︎この潜水艇の移動速度を舐めない欲しいね‼︎メガロドンくらいチョチョイのチョイさ!!」

「流石あっくん!!」


 まだまだ勇敢そうな若武者の如く意気揚々にリーちゃんを安心させるが、突如その大きな反応の横に別の巨大な反応が出てきた。それはそのメガロドンの反応より、1つ……いや2つも上回っている大きさだ。そしてその巨大な生物の反応がメガロドンがいる場所と重なった瞬間、メガロドンの反応の瞬時に消滅した。


「あっくん……今のは?」

「た、多分……メガロドンが別の大きなメガロドンに食べられちゃったのかな?ははは!!」


 その探査機の反応にあっくんは手が上下に震え始めた。でもこの潜水艇は早い、そうまだ余裕を持っていた。第1、彼女の前で自分が震えるのは如何なものとやせ我慢し長から平然を装う。


「と、とにかくもうそろそろ海上にも戻ろっか!!」

「うん……私も怖くなって来た。早く戻ろう……」


 そういいながらあっくんは潜水艇のエンジンをフル回転し、さっさと海へと浮上しようとしたその時、潜水艇のエンジン音に察知したメガロドンの反応を消した巨大な生物が、あっくんの潜水艇へと猛スピードで迫り来る。


「あっくん変な生物が!!」

「この潜水艇なら逃げれるよ!!大丈夫!!」


 余裕そうな言い方だが内心焦りに焦って、荒く運転している。エンジン音は静かな深海に響き、泡も大量に出て来ている。巨大な生物は60km以上の速度で動いている潜水艇を物ともせず距離を確実に詰めて来ている。


「あっくん‼︎」

「大丈夫だから静かにしてよ‼︎」

「あ、あ、あっくん……」


 巨大な生物が迫り来て、徐々に彼女の事を無視して怒り始めるあっくんに、それに対して泣きじゃくるリーちゃん。

 あっくんが探知機を見ると、反応はなく自分の潜水艇の反応しかなかった。


「ふう〜助かった」

「あっくん!!」

「⁉︎」


 安心したその時、突如目の前に巨大な生物の反応が出て来て、運転席の目の前から大きく口を開けていた。あっくん達が叫び声を上げる前に潜水艇を飲み込み、噛み砕いて破壊した。その生物はドラゴンのような顔をして胴体も蛇のように長い何10mもある大型の生物だった……


 ーーーーーーーーーーーーーー


 場所は変わって深夜の虹のビーチの海上……


 小さなボートに色鮮やかな花の絵が描かれたアロハシャツとハーフパンツを履いている2人がサングラスと麦わら帽子を被って静かに釣りをしていた。


「せっかく1000万G以上も稼いだのに俺達は何をやってんだか……」

「勿体ない精神が働いて高い物は買う気が起きないんだよ」


 愚痴を垂らすのはSyoで、そらにぶつくさ言うシーカーだった。昨晩カジノで1600万Gも稼ぎ、一夜にして金持ちになったが、シーカーの勿体ない精神によって安物のエンジン無しの手漕ぎ中古ボート(10万G)と無料でもらえる釣竿と謎のアロハシャツ達(計10万G)で1日中釣りをしていたのだ。


「第一あのバニーガールとお前が裏で繋がっていたなんて聞いてなかったぞ!!」

「お前に言うと顔に出ちゃうからな、敵を欺くならまず味方からって言うかな!!」


 あのバニーガール、サイコロゲームで全部当たったのも本当はバニーガールとシーカーが繋がっていたからである。だから支配人が来た時は冷や汗は焦りの汗だったと言うわけである。


「しかもそのバニーガールが違法カジノの告発をしたとは……こちゃまた」

「本当はイカサマバレる前に辞めるついでに違法カジノだと告発するつもりだったらしいが俺達が暴れたお陰で余計におおごとになったらしいからな」


 お互いに呑気に釣りをしながら話している。……がシーカーはボート内を見て呆れかえって言う。


「……で何でお前もいるんだ……」

「……私も今暇なのよ」


 それはシーカー達と同じアロハシャツとハーフパンツを履いた星型のサングラスをかけたアルだった。くつろぎながら2人の釣りを眺めていた。

 そしてアルはサングラスを外し、とある疑問をシーカーに吹っかける。


「ところで何でこんな暗い夜にサングラスなの?」

「……雰囲気が大事だからな……」


アロマシャツと言えばサングラス、二人には特にその雰囲気が大事にしようとしてるが、その空気を乱そうとするアルを2人はそっと睨みつけた。

 さらにアルは追い討ちを掛けるように海水しか入っていないバケツを見て言う。


「このバケツは?」

「……」


 無言になり、睨むのをやめて海に集中するシーカー。そのシーカーの顔を見て段々曇り顔になるSyo。シーカーの表情があまりいい顔じゃないのは、何時間もやっていながらまだ1匹も釣れてなかったのだ。

 そしてアルも空気を読むように静かになり、海を呆然と眺める。釣竿も何か引っかかる事もなく、淡々と時間が過ぎていく。そして……


「……あぁもう辞めだ!!釣れねぇし、もう帰るぞ!!」


 痺れを切らして片手でボートを叩いた瞬間、目の前の海上から謎の物体と共に巨大な水しぶきが飛び散り、シーカー達の船を大きな荒波と共に襲いかかった。いきなりの状態に3人はボートにしがみつき必死に状況を把握しようとする。


「何が起きたんだ!?」

「こっちも知りたいわよ!!」

「ひぃ〜!!」


 しがみついている3人だが、すぐに波は静かに治った。3人は呆気に取られながら、ボートから立ち上がり海の中から飛び出て来た謎の物体の正体をシーカーがライトで照らして恐る恐る確かめた。


「これは……潜水艇……?」

「そのようね……」


 シーカー達が目撃したのは、前方が丸ごとえぐり取られた潜水艇だった。しかも破壊されたというよりも何かに噛みちぎられたような跡があった。シーカーはすぐにボートを漕ぎ、その潜水艇の元へと向かう。


「……何かに噛まれたような……搭乗者はいないようだな……」

「食べられたって事か……」

「多分……メガロドンに食われたんだと思う……!?」


 すると海面より何が大きな塊がふんわりと浮かんで来た。シーカーがまたライトを照らそうとするとその先から何かが腐った異臭がして、鼻をつまんでいないいられないほどであった。


「臭っ!?」

「な、何よ。この匂い……」

「生臭っ……」


 匂いを我慢して鼻を摘みながらライトを当てると、それは体の腹部分の半分以上がえぐり取られたメガロドンの死体である。えぐり取られた腹に別の小さなサメ達が肉を我先にと貪り食っていた。

 3人はあの海の王者である大型のメガロドンがやられた事に呆然としていた。そしてSyoは何か思い浮かび壊れたボートを指差してシーカーに言う。


「シーカー、あの壊れたボートに行ってくれないか!!」

「どうしてだ?」

「壊れたボートの中に映像データチップがあるかもしれない。それを取り出すぞ!!」

「マジかよ……」


 壊れた潜水艇を紐で繋げて引き上げた。砂浜まで運んで、Syoはメサから工具箱を出し、シーカーとアルが見守る中、潜水艇の壊れていない後方を分解して行った。


「この人、機械系得意なの?」

「そうらしいけど、俺は詳しくは分かんね」


 そして圧力板を外し、色様々な線や細かい機械板を外していくと小さなSDカードが刺さっていた。


「これだ!!」

「それに何が入っているの?」

「これには潜水艇が破壊される前の映像があるはずだ!!ホームに戻って映像見るぞ!!」


 ーーーーーーーーーーーーーー


 家に戻りアロハシャツのままで3人一緒にソファーに座り、真ん中にSyo、その両脇にシーカーとアルが座っている。その横にはウェルズがぐっすり寝ていた。

 Syoは巧みにノートパソコンを操り、SDカードを刺して映像を確認する。それはカップルが仲良く、深海デートしており、大きなメガロドンの反応が出て来た。


「これはメガロドンだな……」

「こいつを食った犯人が分かる……」


 そしてメガロドンよりも大きな反応が現れた瞬間に、メガロドンの反応が消えた。


「この海フィールドにメガロドンより大きな生物っていたかしら?」

「……確かまだメガロドンが1番大きいはずだよ……」


 そして逃げるカップルの前方に大きな生物が口を開けてカップルの悲鳴と共に映像は途切れた。


「……今のはドラゴン?」

「……」


 3人はこの映像を見て静かになり、Syoはそっとノートパソコンを閉じた。シーカーが立ち上がり口を開いた。


「つまりこの海に、メガロドンよりもデカイ新種の生物がいるって事が証明されたな!!」

「お、おいまさか……」


 やたらノリノリで釣りで不機嫌だったシーカーの顔から笑顔が戻っていた。そのシーカーにSyoは嫌な予感がしてたまらなかった。


「俺達には金も時間もある!!誰よりも先にその生物を確認しに行くしかねぇ!!」

「やっぱりぃ〜!?」


 その巨大な生物とは?そしてシーカー達は巨大な生物を確認する事は出来るのか。


 

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