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第14話 誘惑のバニーガール

 


「はぁ……20回やって得た金がたったの3万Gか……割りにあわねぇよ……」


 ため息をつくシーカー。ビンゴゲームを20回2万G果たしてやったが、揃ったのは3列で3万Gしか稼げず1万Gの儲けだった。なんとも言えない結果に少々不満足気が残っていた。


「Syoは大丈夫かなぁ〜10万くらい軽く儲けて……」


 自分よりはこのカジノを知っているSyoなら多く稼いでいる、そう期待しているシーカーだった。

 すると遠くからSyoのやられボイスのような叫び声が聞こえて来た。


「うわぁぁぁ!!」

「な、何だ!?」


 Syoの声がする方向へと駆け寄ると、卓の椅子に座っているSyoが頭を抱えて、髪をむしゃくしゃに掻きむしっていた。


「ど、どうしたんだ!?」

「シーカぁぁぁ!!」


 シーカーの心配そうな声に気づき振り向いたSyo。その顔はまるで子供が親に怒られて泣く寸前の顔だった。そこそこ歳があるSyoがその泣き顔をすると予想以上に不気味なもんである。シーカーも少し引き気味だ。


「なんだよ……その泣き顔……」

「お金1万Gが尽きて残り5000Gだよ……」

「何やったんだよ!?」

「これを……」


 今座っている席のバニーガールを指した。するとバニーガールはニコッと笑う。まるでシーカーも虜にしそうな眩い笑顔だった。思わず赤面になってしまうシーカーであった。


「……」

「めっちゃ難しいんだよ!!」

「お兄さんもやるぅ?」


 舐め回すような言い方でシーカーを誘惑し、わざとらしく胸を強調するバニーガール。だがシーカーは自分の顔を左右と上下に降り、顔を両手で挟むように叩き、真面目な顔に戻った。


「……ふぅ〜よし!!やるしかねぇな!!」

「さっ、そこに座って」


 Syoがそそくさと椅子から降り、シーカーが座った。そしてバニーガールは黒いコップとサイコロを持ち、ルールの説明を始めた。


「シンプルなルールよ、まず貴方は賭け金を出す。そして私はこの1・2しかないサイコロ1個をこの黒いコップの中に入れて、卓にコップをひっくり返す。そして貴方は1・2を当てて、当たれば賭け金の1.2倍が貰える。これだけよ」

「なるほど……シンプルなルールだな……なら……俺の手持ち3万GとSyoの5000Gだ!!」

「えぇ!?俺のも!?」


 まさか思ったSyoだが、シーカーの顔からは自信に満ち溢れていて、負ける気がしないと言う余裕の顔である。だがSyoからすれば、負ければ自分もシーカーも一文無しと言う一種の賭けだ。それに2分の1の正解とは言え、50%・50%である。


「さぁ来い!!」

「えぇ!?ちょっと待っ……」

「はっ!!」


 バニーガールは右手に持ったサイコロを左手の黒いコップに入れ、そのままひっくり返した状態で卓につけた。


「さぁ1か2、どっちだと思う?」


 バニーガールが聞くと、シーカーは表情を崩さず何も躊躇いもなく答えた。


「……1だな」

「えっ!?そんな何も考えなしでいいのか!?」

「考えたって無駄だ。隠れている数値を当てる……俺が超能力者だったら少し時間がかかるかも知れないけど、俺は普通のプレイヤーだ、50%の運に任せるよ」

「そんな簡単に……」


 Syoが不安そうに見てる中、バニーガールはコップを上げた。その数値は


「……1ね」


 1、それを確認した瞬間Syoは大きく安心の息を吐いた。


「ふぅ……何とか勝ったか……」

「とりあえず賭け金の1.2倍を」


 35000Gから1.2倍の42000Gに増えた。そしてバニーガールは更に勧めてきた。


「次は1・2・3のダイスでやるのは如何?賭け金の1.5倍よ?」

「1.5倍……」


 3分の1……33%の確率で当たる。一気に難易度は高まる代わりに貰えるお金が増える。シーカーは悩みに悩んで、出した答えは


「よし……42000G全てやって挑戦だ!!数値は1だ」


 曇りなき顔、負けはないと自信に満ち溢れてる顔。再びバニーガールはサイコロをコップに入れて卓にひっくり返した。


「……」


 バニーガールはそっと退かし、確認すると1だった。


「ま、マジで当てたのかお前⁉︎」

「やるわね貴方」


 当たった、これで42000Gから63000Gへと一気に増えた。

 そして1から4の八面体サイコロで2倍の賭けも全額賭け、また1を選択してそして当たった。これで63000Gから12万6000Gとなり、更に1から5まである10面サイコロの5倍も全額賭けて1を言い、もちろん当たり63万Gとなった。

 流石にバニーガールも焦りの顔を見せるかと思ったがむしろこの状況を楽しんでいるのだ。もちろんシーカーも余裕の表情だった。

 そしてこの連続の当たりに周りの客が野次馬の如くザワザワと集まって来た。


「ならこれで最後よ……この12面サイコロの数値を当てたら……10倍よ」

「じゅ……10倍!?」

「630万G……か」

「まさかここで辞めるわけにはいかないわよね」

「あぁ……もちろんさ」

「何でそんなに自信があるんだよ……」


 不安に思うSyoを裏目に、バニーガールは堂々としているシーカーを見て微笑み、12面サイコロをコップに入れてひっくり返した。息を飲むSyo、静かにコップを見つめる野次馬達、そして余裕の表情のシーカー。

 バニーガールはそっとコップをどかす。そこのサイコロには赤い丸、つまり1が表となっていた。


「あ、当たった……」


 その瞬間、野次馬を含め全員が大歓声をあげた。そしてバニーガールは敗北を認め、軽く笑いながら言った。


「ふっ……私の負けよ、おめでとうお兄さん」

「俺が当てたんじゃない、俺が言った数値を出しあんたの振ったサイコロが出てくれただけだよ」

「そうかもね……()()()()さん」


 すると野次馬の向こうから笑顔で拍手をしながら歩いてくるスーツの男が現れた。


「いやぁ〜お客様〜本日は大当たりおめでとうございます!!」

「誰だあんた?」

「私はこのカジノの支配人でございますです、はい」


 支配人はさらに不気味に笑い、シーカーの真ん前に立つ。不気味に見てくる支配人に対し、シーカーは少し焦り顔になる。


「お客様?……もう少し稼ぎたいとは思いませんか?」

「……どれくらい稼げる?」

「貴方がこのゲームに参加してクリアすれば1000万G……負ければ今回の獲得金は……0に」

「1000万……」


 1000万Gに動揺し迷い始めるシーカー。Syoはそんなシーカーにもうやめようと説得する。600万G以上あるならもういいと思うが、シーカー的には1000万Gは喉から手が出るほど欲しいのである。

 シーカーは椅子から立ち上がり、ニヒルな笑みを浮かべ支配人に指し声高らかに言う。


「よしそのゲームやるしかねぇ!!」

「わっかりましたぁ!!」


 ーーーーーーーーーーーーーー


 そしてシーカー達は地下へと連れていかれた。そこはコロッセオの闘技場のような円状のバトルフィールドだった。シーカーはその闘技場に立っていて、Syoは大量の富裕層の観客と共に観客席で観戦している。

 闘技場は砂が敷かれており、シーカーが足を動かすと何か硬いものを踏んだ。


「何だ?」


 その足を退かすと砂の中には人間の骨や歯が大量に埋まっていた。シーカーもその骨に見て青ざめた。


「これ骨……なのか」


 するとシーカーの真ん前で闘技場の観客席の上部にある大きな台の上に先ほどの支配人がスポットライトを浴び、マイクを持って立っていた。しかも先ほど以上に不気味に笑っていてシーカーも気味悪がっている。


「さぁ皆さん!!今宵特別イベント!!猛獣ブルダングの登場だ!!」


 支配人の真下には石の扉がある。だが突如、その扉を弾き飛ばして飛び出て来たのは、全長15mとはある2本角が生えた大型の牛だった。


「ブルダング……こりゃあ面白い相手だぜ……」


 ーー紹介ーー


 猛獣ブルダング

 生息地⁇ 討伐難易度☆3 HP56000

 大型の角が生えている闘牛。頭にはふさふさの毛深い毛が生えており、赤く殺気立つ目をしているのが特徴。赤いものを見ると、時速80kmのスピードでそれを破壊するまで追い続ける。ツノも1〜2m近くあり、突き刺されると即死。


「このブルダングをただ倒すのは面白くない!!シーカーさんにはこのブルダングのツノを受け止め、無事に動きを止めたら勝ちだぁぁぁ!!」

「ちっ……倒すんじゃなくて、止める……か。「まっいいっか!!」


 観客から歓声をあげ、そしてブルダングも荒い鼻息を立て、土を蹴り今にも走り出しそうな勢いになっている。そして支配人はおもちゃの銃を取り出し、シーカーの腹に向かって放った。

 痛みはなく腹に当たった瞬間、服全体が紫色から赤色に染まってしまった。


「ブルダングは赤に過剰反応する!!だからシーカーさんには赤になってもらいましょう!!」

「お、おい!!ちょっと待てっーー」


 流石に焦るシーカーだが、ブルダングはシーカーの赤い服を見た瞬間、真っ先にシーカーに特攻して行った。普通の闘牛とは別次元のような足踏み、スピードがシーカーを襲いかかる。


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