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第11話 新しいマイホームを作ろう(2)

 

「大金を手にいれたんだ!!だから新しい家を建てようて思うんだ。その為ここの木材がいっぱち必要なんだ!!協力してくれ、お願い!!」


 シーカーは両手を合わせて頭を下げてお願いした。フォレスは正論をかました。


「その大金で木材買えばいいんじゃない?」

「いやぁ、土地代で殆どのお金がなくなるんだよ……だからフォレス、この森を知り尽くしているあんたに頼みに来たんだ」


 するとフォレスが目の前のシーカーを手招きし、シーカーがフォレスの顔に耳を近づける。


「……もちろん報酬は出るよね」

「も、もちろん!!それ相応のを出すさ!!」


 そう言った瞬間、口がニヤリと不気味に笑った。


「交渉成立。じゃああたしの家に行くよ。そこのくたばってる奴も連れてね」


 そうしてフォレスの家へと案内された。シーカーはSyoを担ぎながら、どんどん進んで行く。

 そして歩く事また10分、ある場所についた。直径10m、高さ100mもある超巨大樹木を発見した。Syoを担いでいるシーカーはもう疲れ果てていた。


「ここがあたしの家さ」

「こ、この木が!?」

「いや……ここからだ」


 木の裏に案内されると、細い紐が木の上からぶら下がっていた。フォレスのその紐を掴み、上に登って言った。するとアルが紐を指差した。


「シーカー、貴方が先行きなさい」

「俺から?Syoの奴担いでいるから遅くなるぞ?」


 不思議そうに言うとアルは赤面になりながら言う。自分は短いスカート、だから……


「……そうゆうもんなの!!」

「はぁ……分かったよ」


 これまた気づかないシーカーはSyoを担いだ状態で必死に登って行く。その下から後を追うようにアルが登っていく。


 ーーーーーーーーーーーーーー


 そして何とか板が敷かれた部分に上り詰めた疲れ果てた2人と転がしてあるSyo。その奥には小さなコテージが立っていた。ドアを見るとどう考えても普通の人間が入れる大きさじゃなかった。それは犬小屋の入り口の大きさぐらいだった。


「俺達入れねぇよ……」

「まぁ少し話するだけだから」


 そう言いながらフォレスは家の中から窓を開けた。窓から顔を入れて中を見ると、大小様々な斧・ノコギリ・鎌・小刀などの葉物が壁にぶら下がっていた。


「シーカー。何の木材が欲しいんだい?」


 そう言いながらフォレスはニット帽を脱ぎ木で作った椅子の上に投げ置く。そしてゴーグルも外した。

 全部外すと普通の可愛らしい小人のような女の子だが、性格は多少男勝りな所がある。リアルで何歳で何をしてるかはシーカーも分からないのだ。


「この森最高級の木ノーヴルムが欲しい……」


 それを聞いた瞬間、フォレスは先程の殺気立つ顔とはまた違う、険しい顔になった。

ノーヴルムの木はこの森の中でも奥にあり、危険地帯の中央にある。だから、レア度も高く、ショップでも高値で取引されている。


「結構な苦労になるけどいいかい……」


 忠告するフォレスに対し、シーカーは微笑みながら言った。


「当たり前だ、自分の家の為だ。危険だと分かっててもやるしかねぇからな!!」


 自信満々に胸を叩き、意気込むシーカーにフォレスは軽く息を吐く。


「やっぱりそう言うと思った。前の時も同じだったからね……」

「前の時って?」


 アルが不思議そうに聞くとフォレスは端的に教えてくれた。


「今建っているシーカーの家を作るときもあたしが手伝ったのさ。そん時はまだシーカーも私も低ランクでノーヴルムには手が出せなかったから武装民族と戦って別の木材を手に入れた。そん時もシーカーは今と同じ事を言ってたからね。それに危険を顧みず、突っ込んでいく姿あれはすごいねぇ〜」

「……」

「フォレス、とりあえず行こうぜ」


 フォレスは倒れているSyoを指差して言う。


「あいつはどうすんのさ?この森の肉食鳥類の餌にするかい?」

「い、今は放っておこう。そんな事してる時間がもったいない」

「シーカーが言うならしょうがない。なら行くよ‼︎ノーヴルムの木を!!」


 ーーーーーーーーーーーーーー


 フォレスを先頭にアルとシーカーの3人がノーヴルムの木を取りに行くことになった。


「この辺りは武装民族が多数いるから慎重にね……もしもの時の為にいつでも戦えるようにしな」

「は、はい……」


 草木が生い茂っている森、アルとシーカーが進むのに苦戦してく中、フォレスは勇ましく、小さな鎌を縦横無尽に振り回してながら草や謎の植物を切り裂きながらどんどん前に進んでいく。


「あの人とんでもない人ね……リアルだとどんな人だろう」

「さぁな俺はあんまり考えた事ないな、そうゆうの……」


 2人が話しに夢中になっていると、突如フォレスが後ろを振り向き、ショットガンをシーカーに向けた。


「頭下げな!!2人共!!」


 ショットガンを撃ったと同時に2人は頭を下げ、ギリギリで避けた。2人が後ろを向くと上半身裸のハッパで作ったパンツを履いた、顔に緑や赤などで波打つような絵が描かれた男が心臓部分に銃撃を食らっていた。胸部分には英語でも日本語でないなぞの文字が書いてあった。

 男は手に持っていた石の槍を落とし、その場うつ伏せに絶命した。


「前回の事をもう忘れたのかいシーカー」

「う、うっかりね……」


 フォレスはその死体を蹴り仰向けにし、身体を調べ始めた。アルはフォレスに恐る恐る聞いた。


「この人達ってNPC……?」

「あぁそうだよ、だからいっぱいいるんだから、気をつけな」

「は、はい……」


 更に進むとまた突如フォレスが振り向きアルの顔目掛けてナイフを投げつけた。


「ひっ!!」


 アルは瞬時に頭を下げて、ナイフは後ろの木に刺さった。そしてすぐにアルはフォレスに怒った。


「な、何するのよ!!」

「後ろの木を見な」


 2人は背後の木を見る。そこには1cmにも満たない真っ赤な針を持つハチが、フォレスの投げたナイフに木とともに刺さっていた。


「は、ハチ?」

「アカバリバチだよ、その毒は刺されて1分くらいで死ぬよ。しかも刺されているのすら分からないほど、痛くないんだよ」

「あ、ありがとうございます……」


そんな耳や目がいいフォレスに拍子抜けなアルだった。

 更に進むと森を抜けた。そして抜けた先に広がるのは大きな谷とそれに挟まれた大きな川辺だった。先程の危険な生物達がいた森とは違って、綺麗な蝶や可愛らしい小鳥が飛び交っていた。そらに綺麗な花もいっぱい咲いており、とても良い花の匂いが広がっている

 アルは目の色を変えて、その花に飛びついた。


「きゃあぁぁぁ!!綺麗な花ねぇ!!」

「一旦ここで休憩するかい?」

「あぁそうしよう……出て来いウェルズ」


 メサを操作し、そこからウェルズを出した。ウェルズは嬉しそうに飛び出て来て、川の水を飲む始めた。


「よぉーく飲んでおけよ」

「うふふふ……」


 アルは目をキラキラと光らせながらウェルズを観察している。

 フォレスは望遠鏡で、谷あたりを見ている。


「何を見てるんだ?」

「あの谷には今の森以上に危険さ……それでも行くかい?」

「もちろんさ」

「ふっ……!?」


 するとフォレスが何かに気づき、望遠鏡を投げ捨て森の中を睨みつけ、小型の斧を握った。そして小声でシーカーに言う。


「何者かがいる……それも何十人と……」

「何……?」


 アルも異変に気づき戦闘態勢に入り、ウェルズも森の中を睨みつけ唸り始めた。

 シーカーも刀を出して、戦闘態勢に入る。森の中からは無数の獲物を狩る鋭い目が木の上から草の中から大量に見えた。


「あの目は俺達を今から狩って今夜の食事にしようかなって目をしてるぜ」

「あぁそのようだね」


 シーカーもフォレスも闘争本能が湧いたのか、やたらニヤニヤした顔で自らゆっくりと森の方へと向かう。

 その瞬間、草むらと木の上から一斉にさっき襲って来た男と同じ服装の武装民族達が槍を構えて飛び出て来た。


「行くぞ、みんな戦いの始まりだ!!」

「やはりこの世界は戦いのみだよ!!」


 シーカーとフォレスは一切の迷いもなく真っ先に突っ込み武装民族と戦闘を始めた。戦いは混戦となり、シーカーは槍を軽々とよけて斬り、そして後ろからくる敵を殴り飛ばして、別の敵も蹴り飛ばした。フォレスも小柄な体型ながら、敵の攻撃を軽やかに避けて悪魔のような笑顔で斧で斬り倒す。


「あの2人ったら……ウェルちゃん!!私達も行くわよ!!」


 アルのウェルちゃん呼びに不思議な顔をするが、言葉は伝ったのかウェルズもアルと共に混戦に突っ込んでいった。

 アルも戦闘に参加し、シーカーの背中を槍で突き刺そうとする敵に飛び蹴りを食らわした。


「すまないアル、ウェルズ!!」

「ノーヴルムって木材集めに行くんでしょ!!さっさとここを抜けるわよ!!」

「サンキュー!!」


 ウェルズも頑張って敵に頭突きを食らわせて気絶させたが、ウェルズ本体もぶつかった衝撃で頭が混乱して倒れた。


「とぉぉぉぉ!!」


 そしてシーカーが最後の敵に刀を振り下ろして斬り倒した。全員服は多少汚れはいたものの、傷1つなく勝利した。そして全員倒してみんな一息ついた。


「ふぅ〜何とか倒せたな」

「シーカー前より強くなったじゃない?まだまだな所もあるけど」

「まっ、アルやウェルズのお陰でもあるけどね」

「良い仲間達ね……アイツと違って」


 アイツの事を話されたシーカーは少し悲しげな表情になり、その話をそらした。


「そんな奴は忘れたさ、さっさと行こうぜ」

「……」


 アルは戦い終わると同時にすぐさま気絶しているウェルズ駆け寄り、心配そうに拾い上げて抱っこしていた。


「大丈夫ウェルちゃん?」


 よぉくウェルズを見るとぐっすりと寝息をたてて寝ていた。安心したアルは微笑み、鼻歌を歌いながら、頭を優しく撫でシーカーの元へと戻って行く。


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