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第117話 貫く希望!全身全霊の一撃!

 

「はぁぁぁ!!」


 悠斗は真っ直ぐと突っ込み、真正面から腕を大きく振りかぶりフルパワーで殴りかかった。拳は受け止められながらも骸帝は後方へとビルをいくつも薙ぎ倒しながら吹き飛んだ行き、壁に叩きつけられた。

 骸帝はニヤリと笑い、まだ余裕のアピールをする。


「へぇ、結構やるじゃん。シーカー君」

「そうかな!!」


 骸帝が顔を上げると目の前には悠斗が立っており、炎を纏った拳で一発胴体を殴り、壁を凹ますとさらに何発も殴り続けて徐々に壁を深く凹まして行く。一発一発を重く、激しく殴り込み反撃の隙を与えずに攻撃を加えた。勢いのあまり壁を突き破り、吹き飛んでいくがすぐに悠斗は追い、更に追撃を図る。

 骸帝は地面に足を着けて、足を伸ばして悠斗の元へと飛んで行く。


「なっ!?」


 飛んできた骸帝に驚き速度を緩めるも、頭突きが悠斗の頭に直撃して怯んだ。そのまま骸帝は空中で一回転して悠斗を蹴り落とした。


「ぐはっ!」


 悠斗は咄嗟に態勢を整えると共にビルの壁に手を掴み、落ちながらもその速度を緩ませた。頭を片手で抑えて、歯を食いしばって痛みを堪えた。


「いてて……相当石頭のようだな……でも、まだ行ける!」


 骸帝は地面に着地して、アクビをしながら手招きをして来た。


「ちっ、今に見てろよ。みんな離れてろよ!!特大の一発を放つぞ!!」


 悠斗はビルの側面に両足を付けて、屈伸して一気に足を伸ばした。そして炎のオーラを纏い始めて隕石のように火を纏い突撃した。

 猛スピードで突撃した悠斗は高速で顎を殴り上げ、反撃する骸帝の攻撃を避けて更に身体全体に攻撃を叩きんだ。

 殴り飛ばし、地面に足をつけて耐えた骸帝は身体に黒いオーラを纏い始めて手を突きつけて、悠斗にへと向けた。


「ぬっ!?」

「いいよいいよ。その勢い!!僕をもっと楽しめてくれよ!!」


 身体が急に動かなくなり、拳を突こうとするまま固まってしまった。金縛りに合ったように、意識だけは残っている。


「言わせんなよ。俺がこの程度でぇ……」

「このまま時間まで止まっているかい?」

「んなもんで、止まれるかぁぁぁ!!」


 手の甲の炎の絵が激しく燃え上がり、悠斗の目の奥からも炎がメラメラと燃え上がって来た。それと同時に悠斗は身体の力を込めて、両腕を横に振って大きく足を踏み込み、金縛りを無理矢理解いた。


「中々」


 骸帝は片手のひらを上げると、周りの石が一斉に悠斗へと飛んで行くも、悠斗が再び地面を強く踏み込むと衝撃波が放たれて石が全て粉々に粉砕された。


「!?」

「だりゃぁぁぁ!!」


 少し驚き、怯む骸帝の顔面を殴り掛かると、骸帝も反撃して素早く拳を無数に突いてきた。

 お互いに拳を弾き、殴り込んで激しい攻防戦を繰り広げた。悠斗の背中の火種は着実に減っていき、悠斗とは少しずつ焦りが生まれてきた。早期決着をつけなければ、こちらがやられると。

 そう考えた悠斗は身体を殴られても防御する事を捨てて攻撃を続けた。捨て身の戦法で骸帝の腹部を深く抉るように殴り込み、右手に巨大な球体の炎を作り出して、腹に突きつけて球体ごと吹き飛んでいった。


「ぐっ……!」

「まだまだ!!」


 飛んでいった骸帝を追い、勢いよく飛んでいき両手から炎の球体を作り出した。そして骸帝が飛んで行く場所に先回りして両手の炎の球体を合体させて巨大な球体へと変えて骸帝の背中へと殴り、地面へとぶつけて大爆発を起こした。


「うおぉぉぉぉぉぉ!!」


 悠斗はビルからビルへと高く飛び上がり、炎の球を投げたように直線上へと降下し、地面深くにめり込んで行った。そして悠斗へ全ての力を解き放ち、眩い閃光が辺りを包み込み、大爆発を起こした。

 将呉は煙に包まれた方向を見つめた。


「す、凄い……今までで一番の攻撃かもしれん」

「……」


 驚きを隠せない将呉に対して隼は何か不穏な空気を感じていた。何かまだ、嫌な予感すると。

 煙の中では悠斗が息を切らして立っていた。立っている場所の周りは建物が崩壊し、巨大なクレーターが出来上がっていた。


「はぁ……やったか──」


 突如背後から何か貫くような感覚が押し寄せ、それは徐々に痛みへと変わって悠斗は口から血を吐いた。背後を確認すると腹部分が赤く火傷を起こしている骸帝の姿があり、腹には腕が貫かれて、骸帝の拳には自分の赤い血によって覆われていた。


「凄い一撃だ。本当にやられると思っちゃったよ。でもねぇ、もう一押し足りなかったねぇ」

「……はぁ!」


 腕を抜くと激しく痛い感覚が身体全体に襲いかかって来たが、悠斗は痛みを堪えて背後の骸帝に回し蹴りを放った。

 足を掴まれて簡単に抑えられるが、更に悠斗は攻撃を続けようとするも腕を掴まれた。骸帝はニヤリと笑うと、悠斗の背中を膝で蹴り上げ、肘で腹を突き地面に叩きつけた。


「ぐはっ……!!」


 悠斗は地面に勢いよく叩きつけれて宙に浮き、更に追撃の如く壁に蹴り飛ばされた。それと同時に火種も完全に消失してしまった。

 周りの全員が絶望し、身体の力が一気にぬけてしまった。


「悠斗の力が……解けた」

「嘘だろ……」


 骸帝は微笑みながら、悠斗の元へゆっくりと向かって来る。

 悠斗は腹を押さえながら立ち上がり、まだ拳を構えるがその力は風前の灯となっていた。


「もう力は残ってないよね。終わりにしよう。共にカウントダウンしようさ。ね?」


 その時、横から何かが飛んできて骸帝の顔面に直撃して、一瞬だけ怯んだ。真横から突然走って来た誰かが骸帝の顔面を蹴り飛ばして、その場に倒れ込ませた。

 その正体は──


「隼……」

「世界の終わりがあんた奴と過ごすのはまっぴらごめんだ」


 隼の手の甲の風の絵とと背中から"風"の刻印の文字が大きく浮き出ており、その色も先程の戦いの時とは違い、黄緑色のオーラを放っていた。


「闇のオーラもしっかり無いな」

「それよりもあの氷の奴は生きてるか……」

「生きてるはず、アイツなら」


 隼の言葉に反応するように、ビルにいるメリクリも力を尽くして立ち上がった。


「僕も勿論生きてるよ。体力ボロボロだけどね」

「へへ、ボロボロでも1でもあれば十分だぜ」


 悠斗は笑い、メリクリも笑みを浮かべてお互いに親指を立てた。


「ふっ、俺がグレている間にダチを増やしたな」

「おかげさまで色んな体験が出来たからな。辛くも楽しい日々だったよ」

「そりゃ良かった。それとお前も気づいているよな。骸帝の正体」

「わかってるよ。あの喋り方、闇の刻印の野郎だな。さっきの技で闇の刻印の時と同じ感覚があった」

「なら、よりやる気が湧いて来たぜ」


 そしてメリクリも合流し、刻印を持った三人の戦士達が再び顔を揃えた。


「楽しそうだね。昨日と違って」

「まぁな」


 現実世界で出会った時はいがみ合っていた三人。今は何も言わずに手を出し合った。一つの敵を倒すために手を取り合う事を決意した。


「隼君だっけ?」

「あぁそうだ」

「体力少ないと思うけど、手を差し出してくれるかい?悠斗君の体力を回復させる。僕らの刻印の力を分けて」

「……分かった」


 隼とメリクリはお互いの手を差し出して合わせた。そしてお互いに手の先に力を込めた。温かなエネルギーが小さな光球となり生まれた。


「さぁ、悠斗君。君の身体に取り込んでくれ」

「ありがとう二人共」


 悠斗はその光球を手のひらに乗せると自分の心臓部分に取り込ませた。それと同時に身体の傷が少し癒え、貫かれた傷も見事に塞がった。


「……本当に身体の力が回復した……?」

「回復したなら、さっさと目的を果たそう。僕は君達を援護するよ。今回は喧嘩はなしだよ」


 その言葉に二人は互いを見合って笑い合った。


「あぁ、喧嘩は勝ったからするさ」

「ふん、お前ともまた別の機会で、戦ってみたいもんだぜ」

「頼んだぞ、メリクリ。俺らを援護してくれよ」


 メリクリは快く頷いた。


「期待してよ。ヘマはしないから」


 隼も二人を見て頷き、悠斗を先頭に立たせて、背中を強く叩いた。


「最後はド派手に行こうぜ。昔にみたいにな」

「あぁ、思いっきしやろう!」

「時間ももう僅かだ。失敗は絶対に無しだ」

「ガッテンだ!!」


 隼の言葉に悠斗は空を見上げて時間を見た。

 残り1分を切ろうとしており、三人が刻印を力一杯に発動した。


「さぁ、最後の戦い。やるしかねぇな!!」

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