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第114話 終局のカウントダウン‼︎骸帝vs刻印戦士‼︎

 

 悠斗が空に向けて放った言葉が都市内に響き渡り、大勢のプレイヤーは注目し、息を合わせるように空を見上げた。

 その声に反応したのか、空に空いた穴の一つから骸帝が舞い降りて来た。

 メリクリと悠斗はお互いの顔を見ながらニヤリと笑ってみせた。


「お前の力で、この戦いの結末が見えるか?」

「ここからはネタバレはしないよ。結末が変わってしまうからね」

「そうだな。ネタバレは嫌だもんな誰しも」


 骸帝は悠斗らの前に降り立ち、目の前まで歩いて来た。

 やはりあの時と同じ、圧倒的な威圧感が放たれており、何処か身体が重く感じるようであった。


「ようやくだな刻印戦士達」

「へっ、お前の部下は俺の仲間がぶっ倒した!そして俺も友を救う事に成功した!最後の敵はお前だけだ!」

「それで良い。どんなことわりにも残るはたった一人だけだ。最後の抵抗を見せてもらおうか」

「話が短くて助かるぜ!さっさとやろうぜ」


 二人は並び、お互いに体力を気遣った。


「お前は体力大丈夫か?無理はすんなよ」

「それは僕も一緒だ。君の方がボロボロじゃないか」


 悠斗は隼との戦いで、体力的にも精神的にも消耗しているのは顔から流れている汗と荒い息遣いで、メリクリは分かっていた。


『シーカー!っていうか悠斗!』

「何だ?」


 その声はマッキーからであった。


『今、世界中でこの空間の様子が生中継されているみたい。それも何百万人も観ているようだ』

「誰かが配信してんのか?」

『いや、誰かじゃない。至る所にカメラが仕掛けられていて、色んなところから写されている。まさか骸帝か凰姫が、見せしめと言わんばかりに生中継しているのかも』

「そうだとしたら、とても緊張しちゃうな」

『だとしても、頑張って。大勢の人々が君らを応援している。僕らも全員で応援するから』

「感謝するぜ。もし終わったら、みんなでレトロゲームやろうぜ」

『うん』


 そう言ってマッキーは通信を切った。

 そして二人はお互いの顔を見合って。


「……行くぞ、メリクリ!」

「うん、僕らの刻印を見せよう!」

「「行くぞ!!」」


 声を合わせて二人は一斉に刻印を発動させた。

 赤い炎と青い氷の風が吹き荒れて、大勢のプレイヤー達はその凄まじいパワーに押し飛ばされそうになる。

 近くにいたオーガスターも剣を地面に刺して耐えていた。


「流石の二人だ。修行の成果を見せてくれよ」


 隼と将呉もその場に耐えながら悠斗らの見つめた。隼はそのパワーが身体によく伝わって来た。


「二人から飛んでないパワーが感じ取れる。でも、骸帝はお前らの想像を超えた力がある」

「でも、二人は骸帝を越える為に訓練を積んできた。俺達はアイツらを信じよう」

「あぁ……」


 全員が見守る中、悠斗らは一斉に突撃し骸帝へと距離を一気に詰めた。

 骸帝は片足を軽く上げて、地面に下ろした。

 それに悠斗ら二人はあの重力攻撃だと判断し、懐から"重"と書かれたバッチを胸元に付けた。


「みんな!重力に注意しろ!」


 骸帝の足が地に着いた瞬間、重い重力がフィールド全体を降りかかり、全プレイヤーがその場に立つ事が出来ず、地面にうつ伏せに叩きつけられた。

 だが、悠斗とメリクリだけは平然と走り、悠斗が先制攻撃を仕掛けた。骸帝へと殴り掛かるも、身体をずらして攻撃を避けた。そして骸帝は悠斗の背中に向けて回し蹴りを放った。悠斗は背を向けたまま咄嗟に左腕で攻撃を受け止めた。そのまま足を力強く跳ね除けて、炎を纏った拳でガラ空きの胴体へと殴りつけた。


「ふん!」


 骸帝は腕を交差して防御態勢を取り、腕で攻撃を受け止めた。当たった拳は大爆破を起こし、骸帝は勢いよく吹き飛ばされて煙の外に飛び出した。

 そして骸帝が空から気配を感じ取り、空を見上げるとメリクリがいて、空中に大量の氷の槍が降り注ぎ、眼前に迫っていた。

 スキルを使う隙は無く、氷の槍は骸帝へと無差別に降り注いだ。氷の割れる音と共に、辺りには氷の結晶が飛び散り、付近の地面は真っ白に凍りつき、骸帝の足元にも氷が張り巡らされており、身動きが取れなくなっていた。


「はぁぁぁ!!」


 悠斗が片腕に炎を纏った状態で、手に巨大な火種を生成し、手を突き出して一気に放った。


「獄炎!!」


 手から放たれる巨大な炎の渦は骸帝が包み込み、直線上にあるビルも獄炎に巻き込まれて大爆発を起こした。

 二人の目の前には骸帝が立っており、未だ無傷であった。だが、二人は攻撃を止める事はなく、悠斗は骸帝へと走り出し、メリクリは両腕に巨木のような氷の腕を装着して上空から殴りかかった。

 すると、骸帝は冷静に両手を合わせ出した。


「あれは"テレポート"のスキル!させるか!」


 テレポートは手を合わせて力を念じる事で、手を合わせた時間だけ、遠くに移動出来るスキルである。隙はあるとはいえ、短時間でも手を合わせてば、攻撃くらいなら避けられる便利なスキルだ。

 悠斗は骸帝に滑り込み、発動する寸前で足の付け根を蹴り、バランスを崩して手を離させる事に成功した。そして上空から勢いよく降って来たメリクリの氷腕にて力一杯振りかぶり、全力で殴り飛ばした。

 鈍い音と共に飛ばされた骸帝は複数のビルを破壊しながら飛んで行き、5軒目のビルでようやく止まった。


「ふぅ……勉強した甲斐があったね」

「あぁ。だが、与えたダメージはそこそこだけどな。バッチのお陰だな」


 二人は適当なビルで落ち合い、余裕ある状態で一息つく。

 バッチは重力バッチと言う、重力攻撃に耐性を得る効果であり、これを装着すれば重力攻撃は無となる。だから、二人は影響を受けずに攻撃を仕掛けれたのだ。

 二人は色んな技を放ち敵の攻撃を掻い潜り、攻撃を喰らわせたがお互いにダメージを与えた感触はそこまで無かった。


「まだまだ、終わる訳ない──」


 背後から突如、気配を感じて二人は振り向くも何も見えなかった。だが、謎の攻撃が仕掛けられ、咄嗟に防御したが間に合わずに二人とも殴り飛ばされた。


「ぐっ!」

「クソっ!"保護色"のスキルか……」


 保護色とは簡単に言えば一定時間透明になり、マップからも姿が消せて、敵に気づかれずに接近出来るスキルである。その代わり、短時間なので奇襲くらいにしか使えないのだ。

 二人は油断したと、立ち上がろうとした。すると、突然身体全体が重みがのし掛かり、地面に叩きつけられた。


「な……何だ。重力バッチを付けているはず」

「い、いや……自分のバッチをが外れている。君のも……だろう」

「くっ……あの時か……」


 背後から攻撃を仕掛けて来た時、攻撃を加えたついでに重力バッチを取り除いたという訳であった。

 悠斗は骸帝の居場所を探ろうと顔を何とか上げて見渡すも、どこにいるか分からなかった。だが、メリクリは冷静な顔をしていた。

 メリクリを見ると、メリクリの周りにはツルツルのスケートリンクのような地面が展開されていた。

 悠斗の元にも氷の地面が展開され、悠斗の倒れている場所を避けるように展開された。

 身体を動かす事が出来ないなら、倒れた状態で出来る事を考えたメリクリ。その作戦はビル全体を急速に凍らせていたのだ。

 その時、凍った地面が一瞬だけ、パリッと割れる音が聞こえた。何処かに骸帝がいる。それを分かった二人はお互いの顔を見合って頷いた。


「オラッ!」


 ビル全体が凍ったのが分かった瞬間に悠斗が右手を重い重力が掛かっていながら、力いっぱい振り上げて地面に拳を叩きつけた。

 叩きつけた場所から大きなヒビが入り、ヒビはビル全体へと広がり、ビルは割れて崩壊した。その衝撃で保護色のスキルが解けた骸帝。更に重力攻撃も解けて、動けるようになった二人は咄嗟に懐からまた重力バッチを取り出して装着した。

 骸帝を含んだ三人は落下していく中、悠斗は氷の破片を足場として骸帝へと接近して、背後から一撃顔面を殴り、膝で顎を蹴り、足を上げて思いっきり蹴り落とした。

 そして三人は凍ったビルの残骸に巻き込まれて、辺り一帯に氷の結晶が飛び散った。


「悠斗君!」

「悠斗!」


 アルや将呉が心配して声を上げると、中から悠斗とメリクリが飛び出して、ビルから一定の距離を取った。


「どうだ感触は」

「全然だね。むしろ手加減されてる気分だ」

「俺もだ。ダメージは全く受けてないし、遊ばれているようだ」


 二人が思ったのは、手応えが感じられなかった事だ。

 あんなにまで技を放ったり、蹴ったり殴ったりしたがダメージを与えた気がしなかったのだ。それが逆に嫌な空気を醸し出し、絶望感すら感じた。


『悠斗!』


 また連絡して来たのはマッキーであった。先程とは違い、慌ただしい様子だった。


「どうした今度は?」

『消えた凰姫の身体の内部データが微かに調べられたけど、とんでもない事が発覚したの。データの中にAlterFrontierを設立したノーマッド社の名前や前テレビで出てたウィルス研究者の名前があったの』

「なんだと!?どうゆう事だ?」

『ノーマッド社と骸帝らに関係があるかは明確でない。でも、もし関係性があったなら──』


 まさかのマッキーからの連絡はメリクリの元にも聞こえており、二人はまたお互いを見合い、苦笑いをした。


「とんでもない事実だな」

「そうだね。本当だったら、僕らに勝ち目はあるかなぁ」

「でも、やるしかないだろ。どんな逆境だろうと」

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