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甘え上手な彼女2  作者: Joker
肝試しと先生達
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28/46

第28話

*



「瑞希……お前って……」


「………」


 土井はようやく気がついた。

 後ろにいる少女は人間ではない事に……。


「………」


 土井は瑞希を良く見る。

 綺麗な顔立ちと長く綺麗な髪、すらっと伸びた足は、膝から下が透けていた。


「……屋上に何があるんだ?」


「………」


 瑞希は自分を指差し、その次に自分の心臓に手を当てる。

 土井にはその意味が良くわからなかった。

 しかし、屋上に行けばその理由もわかるだろうと再び屋上に向かって足を進める。


「なぁ………学校嫌いだったか?」


「………」


 階段を上がりながら、土井は瑞希に尋ねる。

 先ほど見た光景から、土井は瑞希の事情を大まかに理解していた。

 だから、この質問をした。


「……」


 瑞希は小さく首を縦に振る。


「そうか……ま、そうだろうな……」


 何となくそうでないかとは思っていた土井。

 この学校がおかしい理由もなんとなく土井は理解した。

 化け物だらけの校内は、瑞希の学校のイメージが現れているものであろうと、土井は想像していた。

 長い廊下や階段は憂鬱な学校生活を表し。

 化け物は自分を虐めたり、あざ笑ったりする生徒を模したものだろう。

 屋上の扉の前についた土井は瑞希に尋ねる。


「屋上にくれば、俺はどうなる?」


「……」


 瑞希は土井の方を指さした後、外を指さす。


「みんなのところに帰れるってことか?」


「……」


 瑞希は首を縦に振る。


「そっか……じゃあ、瑞希とはもう会えないのか?」


「……」


 再び首を縦に振る瑞希。

 その瞬間土井は深い溜息を吐く。


「はぁ~、じゃあもう瑞希とは会えないのか……」


「……?」


「折角女の子と仲良くなれたのに………」


「!?」


 え、そこ?

 見たいな感じの表情の瑞希を他所に土井はその場に座り込む。


「瑞希……俺、モテないんだよ……」


「………」


 いきなりどうしたんだろうと、顔を引きつらせながら首を傾げる瑞希。


「しかも、女子の知り合いも皆無なんだ……」


「………?」


「しかもクラスの女子からは害虫扱い……」


「………」


 こんな時に本当に何を言っているのだろうと思う瑞希。

 土井は不思議そうな顔を続ける瑞希に土井は言葉を出来る。


「瑞希が始めてだったんだがなぁ……仲良くなった女子……」


「………」


「だからなんか残念だよ」


 寂しそうな笑顔でそう言って来る土井に、瑞希は思わず涙する。

 

「……だからさ……俺が死んだら、あの世で友達になってくれよ」


 土井は立ち上がり、屋上のドアノブに手を掛ける。

 ドアノブをひねり、ドアを押して屋上に出ようとする。

 その瞬間、土井の耳に声が聞こえてきた。


「……あんまり早く……来ちゃダメだよ……」


「え………」


 思わず振り向く土井。

 しかし、後ろに居たはずの瑞希は居なくなっていた。


「……そうだな」


 土井は一言そうつぶやき、屋上に出る。



*



 高志と紗弥は現在校舎の四階に来ていた。

 多数のお化け(男子)から見つからないように、完全コースを無視して屋上を目指していた。

「だ、誰も居ないよな?」


「そこまで警戒しなくても……」


「いや、あいつらの目がな……絶対に俺を殺しに来ている目だった……」


 高志と紗弥は物陰に隠れながら、コソコソしながら屋上までの道を進んでいた。

 その道中、高志達はお化け(男子達)が集まって何やら相談をしていた。


「隊長! どこにも居ません!」


「馬鹿野郎! 死ぬ気でさがして血祭りにあげるんだ! 心配ない、周りは薄暗いうえに俺たち以外は高志だけだ! 肝試し中の事故って事ですべて納得する!」


「はい! 隊長!!」


 そんなやる気満々のお化け(男子達)を見ながら、高志は肩を落とす。


「隊長ってなんだよ……」


「みんな、なんであんなに怒ってるのかな?」


「紗弥、うちのクラスの男共は結構嫉妬深いんだぞ……」


 息を潜め、物陰に隠れてやり過ごそうとする高志と紗弥。

 

「那須君なら助けてくれるんじゃない?」


「いや、どうせあいつもあっち側に……」


「那須隊長!! 向こうには居ません!」


「良し、今度は隣の教室だ! 気を抜くな!!」


「隊長だったよ……」


 主犯がまさかの優一だった事に、高志はため息をはく。


「まぁ、わざわざ屋上に行く必要もないし……このまま一階に下って戻るか」


「でも、戻れるかな?」


「ん? なんでだ?」


「だって……」


 そう言いながら紗弥は階段の方を指さす。

 そこには、お化け(男子達)が眉間にシワを寄せながら待ち構えていた。

 恐らく高志が逃げるのを警戒しての事だろう、お化けのくせに妙に妙にテキパキ動いていた。


「もうあいつらお化けじゃないだろ……別な意味で恐怖は感じるが……」


「ねぇ、なんでみんなあんなに怒ってるの?」


「ん? あ、あぁ……紗弥は知らなくても大丈夫だ。たんにうちのクラスは馬鹿しか居ないってことだから」


「ん? そうなの?」


「うん。とにかくコレで屋上に行くしか道が無くなった訳だが……どうした紗弥?」


 高志がここからどうするか考えていると、隣の紗弥が高志の手を強く握ってきた。


「ん……なんか、楽しくて興奮してるからかな? なんか常に高志に触ってたくなった」


「そ、そうか……ま、まぁ夜だしな!」


「高志照れてる?」


「て、照れてなんてねーよ! い、今更だろ!?」


「ウフフ……かわい……」


 教室の物陰で優しく紗弥は微笑んだ。

 月明かりに照らされたそんな紗弥の瞳に、高志は吸い寄せられそうになる。

 夜だからだろうか、それとも肝試しで興奮しているからだろうか、高志は紗弥がいつも以上に可愛く見えた。


「なに?」


「あ、いや……別に……」


 気がつくと高志は紗弥の顔をぼーっと見つめていた。

 そんな高志に紗弥は微笑みながら尋ねる。

 高志ははっとし、視線を反らして顔を赤らめる。


「別にいいよ、ずっと見てても」


「い、いや大丈夫だ……それよりもとっとと行こうぜ……」


 高志は顔を赤くしながら、紗弥の手を握って立ち上がる。

 しかし……。


「いやがったぞ!!」


「高志ぃぃぃ!! ほーらお化けだぞぉぉぉ!!」


「うらめしやぁぁぁぁ!!」


 近くにいたお化け(馬鹿達)に見つかり襲ってくる。


「お前ら、脅かす気ないだろ!」


 高志は再び紗弥を連れて逃げ出す。

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