「我は――魔導巨人」
「アレが街へ出たらヤバいぞ……!」
シャドウ・バジリスクを名乗った巨大な大トカゲを見上げる。
グルル、とバジリスクは喉を鳴らしながら、今にも城門や堀を乗り越え、街に出そうな様子だ。
「キャスパー! 何とか出来る魔法は無いのか!?」
『一つある。だがかなりの危険を伴う。覚悟はあるかのう?』
「覚悟があろうとなかろうと――やるしかないだろう!」
俺の言葉に、キャスパーはニヤリと笑う。
『その意気や良し。後は――王女様、出来るだけ遠くに避難しておいてもらえるかのう?』
「分かりました。城の中や周りの住人の避難も任せてください」
気丈に振る舞うラピスラズリ王女に「お願いします」と告げ、俺はバジリスクへと向かう。
『さぁ――唱えよ! 勇者殿!!』
キャスパーの言葉と共に、魔法のイメージと呪文が脳裏に浮かぶ。
「"我は巨人。我は魔神。我が腕は空を持ち上げ、我が脚は大地を踏みしめる。照覧あれ、我は――魔導巨人"!!」
光が爆裂する。
光の瀑布は洪水となり、天へと昇る。そして一つのカタチを為す。
怪獣バジリスクと相対する、巨大な光のヒトガタ。
それが――魔導巨人となった俺自身である。
『街へは、行かせないぜ!!』
●●●
『ハァッ!!』
『GRRRRRRRRRRRRRAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!』
巨人となった俺と、怪獣バジリスクが取っ組み合う。
踏み出す足は地響きを呼び、それは轟音となって国全体を揺らす。
その振動だけでビキビキと城にヒビが入っていくのが感じられた。
『くそ、暴れるんじゃ――ねぇ!!』
長く戦えば、それだけで国が崩壊してしまう。
バジリスクの首を抱えて、背負い投げの要領で城の大訓練場の広場へと叩きつける。
『GRRRRRRRRRRRRRRRRRRYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!』
悲鳴を上げるバジリスクの上に跨り、マウントポジションを取る。
そのまま頭部目がけて拳を連続で叩きつける!
『ハァッ!!』
『GAAAA!?』
『ハァ――ッ!!』
『GAAAAAA!?』
『ハァ――――ッ!!』
『GAAAAAAAAA!?――GRRRRAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!』
三発目の打撃を受けたバジリスクが堪らぬ、とばかりに火を噴いてくる。
俺はマウントポジションから脱し、背後に回転しながら回避する。
『おのれ……おのれェ! 勇者ァ!! 何故邪魔をする!? 貴様にとってこの世界なぞどうでも良いはずだ! 何故、ここまでして護ろうとする!?』
苦しみながら立ち上がろうとするバジリスクに対し、俺は両手を交差させて構える。
『救けてと言われた。俺にはそれだけで充分だ!! 大いなる光よ! 我が手に宿りて悪を滅せよ!! ――"光・刃・閃"!!!』
クロスした両腕から巨大な光の刃が放たれ、バジリスクを貫通した。
『ただ、それだけの正義で……! おのれェ――――!! GRRRRRRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!』
断末魔の叫びと共に、バジリスクが爆裂する。
黒い瘴気が霧散し、後には巨体同士の戦闘による破壊の跡しか残らない。
『俺の――勝ちだ』




