93話 死ぬぞ?
よろしくお願いします。
3日ほど馬車に揺られていた。案外遠いもので、サティウスはだらけていたし、ノンシーも疲れきった表情をしている。
その間に王都では冒険者ギルド大会が行われているのだと言う。帝王も国王から招待されているらしいが、今回はエルフの件もあるので断ったのだそうだ。それがまた国民には不仲だと受け止められたようで、戦争でも起きるのではないかと囁かれている。
「そういえば、今回の冒険者ギルド大会って精鋭が揃ってるんだったよね?」
「え?えぇ、そうみたいね。なんでも、前大会優勝者、準優勝者以外に、王都で貴方と同じように英雄って呼ばれてるアイスドラゴンを倒したリンクスとか、最近話題のキングウルフキラーっていう人達だったりってかなり多いようよ」
「うへぇ....それは盛り上がるわけだね.....帝都まで騒がしかったもんね」
【うん、フィルスが今、気にするべきはエルフの事だよ。まぁ、もう1つ気にしてほしいことは.....クレプーっていうのは冗談として....キングウルフキラー。この人達とはいずれ、出会うことになるよ。なんたって、君がサポートしないといけない人達だからねえ】
〈僕が、サポート?なんでだろ?う、うーん。聞きたいけど、理由は聞くなって言わんばかりに突っ伏せて寝てるし.....〉
サティウスは理由まで話す気はないようで寝た振りにも見えない寝た振りをしており、フィルスはこれ以上の詮索を諦めて、馬車の荷台から外を見やる。
相変わらずの晴天と草原で飽きてしまうが、美しいのに変わりはなく心の癒しである。
ホントに心の癒しだ。邪魔が入らなければ──
突如として止まった馬車を不審に思っていると魔物の咆哮が草原に響き渡る。その声で魔物の襲撃だと分かったフィルス達は慌てて馬車を降りて御者を助けるために先頭へと走る。震える御者の視線の先には大群と言える数の魔物がこちらに走ってきていた。
まるで、追われているものから逃げるように猛スピードで.....
「オラオラ!!俺ノ敷地ニ群レテルンジャネェ!雑魚ガ!」
「「【【......わぉ】】」」
〈この世界に数体しかいない龍王種とこんなに遭遇したら、ね。もう呆れるよ.....〉
そう。この魔物達を追い払っているのはこの世界に同じ種族が一体といない龍王種。
逃げ狂う魔物はフィルス達に気づくと道を阻まれていると勘違いしたようで一斉に襲いかかってきた。
「チッ!この大群は面倒だね....どうする?」
【んー....―逃げるには間合いが狭いし、戦うには数が悪い。まぁ、数が悪いだけだからねぇ】
「だねっ!」
「うぅ....こんなに沢山の魔物を?....はぁ。魔力を使いすぎないように気を付けないと.....」
【.....大丈夫。私がついてるから.....】
「ン?人間カ.....フフッ、逃ゲハシナイヨウダナ。サァ、ソノ数ヲドウスル?見物ダナ」
口角をあげる龍王種。草原を支配するドラゴンで風を司る。名を《草龍》という。
そんな草龍は遠目で戦う青年達を見やる。高見の見物とばかりに......
魔力と剣術共々、文句なしの青年は多勢の雑魚は魔法で消し飛ばし、魔法を防いだり、避けたりする魔物は剣術で仕留める。
魔力が長けている女性は防ぐ暇もない程に多種多様な魔法を使い分け、敵を翻弄し吹き飛ばしていた。
かなりの腕前の青年達は10分も経たない間に魔物の山を積み上げ、殲滅させた。
「フフフッ.....ソウカ、コヤツ等カ.....青龍ヨ。フハハハハハハハハッ!!」
高らかに笑う草龍の声は草原一帯を震わせた。
そんな草龍はのそのそ、とフィルス達へ近寄ると上から見下ろす形で見つめる。
「.....オ前等.....死ヌゾ?」
「......え?」
ありがとうございました。
さぁ!少し変な終わり方でしたね(^^;一体、草龍は何を思ってそんなことを言ったのか・・・・・お楽しみにっ!