表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/386

8話 一応の人助け?

 よろしくお願いします。

 【.........準備は良いの?お別れの言葉は?】

 「.........良いんだよ........またいつか会えるし、また悲しまれたくないから........」


 朝の日差しも昇らぬ内に、フィルスとサティウスは家を出た。

外は静かで、人一人として歩いていない。門には詰め所があるが、貴族ならば無料で通り抜けが出来る。


 「貴方、一人で門を抜けるのですか?」

 「えぇ、両親の許可も得ていますので何の問題もありません。」

 

 門に辿り着くと、案の定心配そうな目で見られた。だが、門番は貴族では無いため、無理に止めることも出来ない.......困っている顔が失礼ではあるが、少し面白い.........実はSだったのだろうか?


 「心配ない........親の見送りはあるからな........」

 「っ!?お、御父様!御母様!.........セイラ御姉様にカルスト御兄様.........マルス御兄様にシーラ!........どうして........」

 「姉として弟の旅立ちは見送らなきゃね!」

 「また会える..........だから、これはお別れの見送りではない..........弟の旅立ちのいく先を見守るための見送りだ.....」

 「あ~あ.........もう少し、遊んでたかったけどな.......弟が頑張ってるのに、兄が頑張らない訳にはいかないからな~..........少しは勉強してみるよ.......だから、お前も頑張ってこい!」

 「フィルス御兄様........カッコイイ.........頑張ってね........」


 〈皆..........本当に.......ありがとう.......〉


 フィルスは我慢していた涙を流しながら、心の中で何度もお礼の言葉を口にする。よく見れば、家族も皆、涙ぐんでいた......


 「ぐすんっ.........じゃあ、行ってきます!」

 【レッツらどーん!】


 フィルスは涙を拭って、飛びっきりの笑顔と共に門を潜った..........人の手助けをするために........


 「.......とは、言っても......何処に行けば良いんだろ?」

 【う~ん........分かんない!】

 「うん、大丈夫.......最初から期待なんてしてなかったから......」

 【ちょっと!酷くない?!これから一生の相棒に向かって、その言い草は!】

 

 〈一生の相棒.........ね........本当に、どうすれば良いんだろ?先ずは、定番の冒険者ギルド?それとも、スラム街とか行ってみようか..........?あ~........でも、スラム街はお金面の事とかかな........お金は必要最低限しか持ってきてないしな......〉


 そんな事を考えながら歩いていると、一人の年老いたお爺さんが、無茶苦茶重そうな荷物を背負って道を歩いているのが見えた。無慈悲な事に、誰もお爺さんの手助けをしようとはしなかった。


 「むっ........お爺さんがあんなに大きな荷物を背負っているのに誰も声をかけないとは........」

 【むむっ、早速人助け?.........良いね良いね~......!ちゃっちゃと助けちゃおうっ!】


 〈う~ん..........サティウスに言われると、やる気が出なくなるのは、なんでだろ........?〉


 そうは思いながらも、お爺さんのところまで軽快に走っていき肩を叩いて自分の存在に気づかせる。


 「..........お爺さん、大丈夫ですか?..........重たいのなら、運びますよ?」

 「...........うむ?........いやいやいや........若者の手を借りるほど、重たい物でもないわい。

 じゃが、その気持ちは確かに受け取ったぞい.......ありがとうな........」


 〈うん?お、重たくない?!........いやいやいや、袋パンパンになってるよ?!滅茶苦茶、重そうなのに.........この世界の常識が未だに、理解できない........〉


 「そ、そうなんですか?.........重たそうにしか見えないんですが........」

 「フォフォフォッ.........まだまだ、歳には負けんわい.......」


 〈.......若干、話が食い違ってる気がする..........え?重たい=歳、なのかな?........まったく分からん.......〉


 「ワシも若い頃は可愛い、可愛いと言われてのぉ~........そりゃぁ~楽しかったわい........けど、やはり男じゃから顔立ちは変わってくる........16頃には可愛い等と一回も言われたこともないし、カッコイイ等はここ80年生きて一回も言われたことはないんじゃよ........」

 「.........そ、そうなんですか........」


 〈まったく、会話が成立していない..........あぁ、あれか.........皆がこのお爺さんに近寄らない理由って.........話が長いし、噛み合わないからか.........〉


 フィルスはそれから数時間程、お爺さんの話に付き合わされた..........


 〈い、一応.......人助け.........なのかな?〉

 ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ