7話 笑って・・・
よろしくお願いします。
「う~ん..........どうすれば、この注目から逃れられるか......」
【え~.....良いじゃん!目立ってなんぼだよ!!それに、これからどんどん目立つんだからさ~.....】
〈嫌だ.........でも........神様がやれって言ったんだからな.......それに、困ってる人は助けてあげないと......〉
フィルスは嫌がりながらも困ってる人を助けたいと思う気持ちが勝り、ため息をつきながらではあるが、強くなることを心のなかで誓った........そんな歳から早5年.........この世界では、成人を迎える年齢である10歳となったフィルス。前よりは背も伸びて男らしくなってはいるが、まだ10歳.......幼さはまだまだ残っている。
【さぁーー!旅に出ようっ!】
「.......何勝手なこと言ってるの?まだまだ、剣術も魔法も身に付いてないんだよ?」
【う~ん...........君の場合はね~........こんなところにいては強くなれないよっ!あとは実践あるのみ!!】
〈絶対、自分が早く旅立ちたいだけだ.........でも、いつまでも閉じ籠ってちゃダメだよね..........取り敢えず貴族街から出てみようか.........?〉
貴族街は常に警備隊が巡回するからいつも守られている。だが、貴族街と区切りをつけている門を抜ければ、悪人が闊歩する庶民街になっている。貴族街よりは庶民街の方が困り事は多いであろうが、難易度も高いだろう.......そう考えていたフィルスだが、貴族街には困っている人をあまり見かけなかったので、未だに人助けが出来ていない........
「.........そろそろ、庶民街に下りてみようか?」
【さぁんせーい!!】
フィルスの問いかけに手を挙げて答えるサティウス。後に英雄となるフィルスはこの歳から旅をすることとなった.......
「な、なな、何を言ってるんだ?フィルス?!急にた、旅に出たいなんて........」
ここは家族皆で食事や会話などをする部屋............フィルスの父であるサージ・クレイアは目を見開いて、フィルスの言葉に驚愕している。その隣にはフィルスの母であるシュリ・クレイアも同様に目を見開いて驚いていた。
「.........僕は、人を助けてあげたい.........そのために、今まで剣術と魔法学に専念してきました........僕で救える命があるのなら、救ってあげたい.......僕の為に.......」
「........私は賛成しますよ、フィルス.........」
「お母様っ!何を言ってらっしゃるんですか!?貴族たる者が庶民に手を差し伸べるなど........」
「.........はぁ~........どうやら、本気のようだな....いいか?旅というのは小説に出てくるような生半可な物ではない..........油断だけは絶対にするな.......」
「お父様まで.......」
両親二人は了承してくれたが、姉のセイラと兄のカルストとマルス、妹のシーラはなかなか認めてくれなかった。
可愛い、弟、兄を危ない目にあわせたくないっ!だそうだ.........そこで、サティウスが自分を見せるようにと言ってきたので、部屋に精霊の魔力を流し込む。
【やぁ~........僕、フィルスと契約しているサティウスだよ~........よろしくね~.......】
「「「「今は、取り込み中です!」」」」
【あれ~........?可笑しいな~.........全然驚かないや........】
「.........セイラ御姉様、カルスト御兄様、マルス御兄様、シーラ..........僕は、自分の契約精霊と一緒に旅をします.......苦しいことや、悲しいことがあるのは百も承知です。だから........笑って、僕の旅を見守っていてください......」
フィルスのその言葉に兄弟は涙しながら一人一人、抱きついてくる.........別れを惜しむように........
ありがとうございました。