69話 遡る罪深き日
よろしくお願いします。
〈そ、それで.....早速の助言を.....〉
[先ずは、この町に隠された秘密を知ることじゃ。この町は美しい以外に、他の町とは明らかに違うことがあるの....それはなんじゃ?]
謎なぞの絵本のような口調で尋ねてくるカーストの言葉に思案顔で考え込むフィルス。この町は美しいがそれと他に何か....香辛料の店が多い?いや、他の町の香辛料専門店に行ったことがないので分からないし、そんなことを聞いている訳ではないだろう。
〈男性が明らかに少ない.....?〉
[まさにそれじゃ。]
〈男性が少ない?これが正解なんだ.....えっ?全然分かんない。男性が少ない理由かな?それとも女性が多い理由が関係してるのかな??〉
答えが分かってもピンと来ない謎なぞに首を傾げるフィルス。確かに、これだけでは答えは数多ありどれが本当の答えかなんて分からないだろう。だが、もう1つのヒントをカーストは言っていた。
[ワシは言ったはずじゃが?なかなかに罪深いと....つまり大罪レベルの事を町長は行使していると言う訳じゃ。]
〈.....大罪.....ち、町長が.....?なんだろうか?〉
やはり信じられないし分からない。町長は話の噛み合わない可笑しな人ではあるが、優しく、貴族だと言うのに建築の手伝いまでしている。自分から助言を頼んだカーストには悪いが信じられないものは信じられないのだ。
「フィルス殿?どうかなさいましたかな?ボーとしておられましたが.....」
「へ?い、いえ.....少し考え事を.....」
「えぇえぇ、そうですとも.....考えることは山ほどありましてな。町を発展させるためにはどうすればいいか......考えるのに苦労しますよ。」
「.......そ、そうですね。」
〈不意打ちだな~.....久し振りに話が噛み合わなかったぞ?それに、ここには一泊しかしない.....直ぐに旅立たなくちゃいけないのにそれまでに町長の秘密を見つけるのは難しいぞ.....〉
[なら、直接聞くんじゃな。それが一番じゃろうし、町長もなかなかに感の鋭いやつよ.....フィルスが怪しんでおるのに気づいておる。気を付けるがよいぞ。]
〈ち、直接.....いや、それが良いのかもしれない.....本人の心の内を聞くには本人からのが一番だよね・.....カースト様!ありがとうございました!〉
心の中で精一杯のお礼の言葉を言ったフィルスに満足げな笑みを浮かべて席を立ち、帝王達にお先に失礼すると告げて扉の向こうで気配が消えた。ここから、フィルスの戦いは始まるのであった.....
薄暗い町長の寝室。まだ寝れないのか窓から見える美しい町並みを眺めていると突然、ドアをノックする音が聞こえる。だが、町長は誰が来るか分かっているようで、驚くこともなく振り返りながら返事をして、入ってもいいことを伝える。
「.....待っておりましたぞ.....気づかれているのなら仕方ありませんからな.....話すといたしましょう。フィルス殿。」
「.....やはり、貴方は.....」
すべてを見透かしたように告げる町長に悲しげな表情でフィルスは部屋へと入る。町の明かりが入り込み、その光に照らされる町長の表情は何処か悲しげで儚かった.....
「あれは数十年前.....私がこの町を創ろうと決めたときまで遡ります.....」
ありがとうございました。
次回は町長の罪が明らかに!?お楽しみにっ!




