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46話 優しい帝王

 よろしくお願いします。

 帝都上層部に聳え立つ《王城》......ここは今、何人もの従者が慌ただしく駆けずり回っていた。その理由は言うまでもない.....


 「帝王様!たった今、護衛のCランク冒険者ご一行が到着いたしました!その他の準備も万全にございます!」

 「......はぁ~......ホント、ダルいよね~......まぁ、もうどうせ、出発するんでしょ?......もぉ~......僕はあのおじさん国王は嫌いなんだけどな~......」

 「.....」


 また始まった.......報告にきた一人の従者はそう思いながら呆れた眼差しを送る。帝王......前までは威厳があり、知恵と力を兼ね備えたまさに武力でこの国を治めるに相応しい王だったのだが、人間には寿命というものがあり、その王が亡くなったあとを長男が継いで今の帝王である。

 だらけもので戦争を好まず、適当にできればといつも呟いている。しっかりしていない今の帝王が前帝王の息子とは思えないと影で言われるほどに性格が真逆であった。


 「んで?どんな厳つい冒険者が来たの.....?」

 「あ、いえ......それが.....まだ子供でして......」

 「ふ~ん.....何歳?」

 「ま、まだほんの......10歳だそうです.....」

 「......へぇ~.....それまた若いね......」


 意外と驚かない帝王に不思議そうな顔をする従者。だが、言われてみればその筈だ.....帝王も今、10歳なのだから......


 「んじゃあ~......行きますかっ.......はぁ~......ダルいな~......」


 帝王は本当に前帝王と性格が似ていない.......だが、成績は優秀で、武器を握らせれば中級の冒険者にも劣らない実力をもっている......たまに見せる威厳のある雰囲気はまるで前帝王を見ているようであった。


 

 「......うわ~......でかいね......城。」

 「ほんとね.....それより、私たちで大丈夫なのかしら?帝王って名前からして怖そうだし......」

 【......見かけで判断したら.......ノンシー達もCランクには見えない.......冒険者ランク上位者は皆、厳つそうだから......】

 【アハハ~......確かにね~.......】


 〈うん........確かに、名前から見た目を想像すればサティウスも精霊王には見えないしね......〉


 フィルスは心の中でそう呟いて納得する。それがサティウスにも伝わったのか頬を膨らませて怒っているような顔をしているが全然怖くない.......寧ろ可愛いくらいだ。

 馬車から降ろされて城の玄関口であろう大きな扉の前まで連れてこられた。左右には白銀に輝く鎧を身に付けた騎士団が直立不動の構えで立っており、今から威厳のある者が来ることを感じさせる。その雰囲気に圧倒されながら固唾を飲んで扉が開かれるのをずっと待っていると、その大きな扉はゆっくりと開かれ始め数人の影が確認できる。


 「我らが帝王!ハーリス・トリウス様がお通りになられるぞ!皆の者!控えよ!」

 「あ~.......そういうの良いから......行くんだったらちゃっちゃと済ませてちゃっちゃと帰ろ~.......」

 「「【【......】】」」


 〈だ、台無しだよ.......折角、威厳があるような雰囲気出てたのに、そんな軽口でスルーしたら雰囲気的にも喋ってた騎士さんの努力も台無しだよ.......〉


 威厳.......とは程遠い口調で手をひらひらさせながら面倒くさそうな顔をしている。恐らく、この少年が帝王だろう。服も宝石が一杯ついててごちゃごちゃしたものを着ているのかと思いきや、普通に庶民も着てそうなゆる~い服装をしており、その顔からはやる気を一切感じない。


 「んお?おお!ホントに子供なんだ~.......いや~......逆に良かったよ~.......変な出世目当てのバカ野郎が来たらどうしようかと思ってたからさ~.......」

 「え?あ、えと......フィルス・クレイアともうします.....?此度は......「あ~.......無理して挨拶とかしなくてもいいし、普通のしゃべり方で良いよ~......面倒くさいでしょ?」......は、はぁ.....」


 〈こ、これはこれで絡みづらいキャラの帝王だね......まぁ、変な挨拶とかしなくて済むのはラッキーかな.......?〉

 

 帝王は欠伸をしながら片目で辺りを見渡し、フィルスと目が合うと嬉しそうな顔で近寄ってきて両手を取り激しく揺さぶりながら喜んでいた。フィルスはそんな帝王に圧倒されながらお偉い方のお決まり事?みたいな挨拶をしなければと慣れない単語を並べていたが、帝王は苦笑しながら挨拶はしなくて良いと言ってきたので、その言葉に甘えることにする。


 「む?10歳だというだけでも異様ながら、貴族であるか.....しかもクレイアという名の貴族は結構な地位にいるはずの貴族だが......何故そんな者が冒険者など......?」

 「そういう事は聞かなくて良いよ~.......帝都を守ってくれた冒険者に変わりはないんだし、これから護衛をしてくれる子なんだから~.......」

 「し、しかし......」


 帝王の後ろから訝しげな視線を送りながら尋ねてきた老人は帝王に止められて言葉に詰まる。帝王は頭の切れる者だ。10歳とはいえ頭脳は大人より上をいくだろう。そんな帝王が意味もなく、相手の情報を探るなと言ってくるはずがないからだ。

 そう......これは、冒険者の気を立たせないためにした対処である。帝王がどれ程偉くても、護衛である冒険者に裏切られれば一溜まりもない。ここはお互いの目的のために動いて、そこに詮索はいれない方が賢いやり方と言えるだろう。


 「で?何人、騎士団を連れていくの?」

 「えと......30......「あ~.....そんなに要らない。護衛まで呼んでるんだから、数人連れていくだけで良いよ。」っ!?す、数人!ですか.......?」


 帝王の言葉にはいつも驚いている老人。せめて数十人は連れていくのかと思いきや数人で良いと言っているのだ。そんなので近いとはいえ他国に行けるのかが不安でならない。


 「そんなに多く居たら逆に動きにくいし、絶対に誰かが身代わりにならなきゃいけなくなる......そんな捨て駒を騎士団員に入れてるつもりはないよ?」

 「っ!?も、申し訳ございませんでした.......選りすぐりの数人の騎士を同行させます。」

 「うんっ、お願いね~.......」


 〈うん.......やっぱり、帝王なんだね......何て言うか.....優しい帝王で良かったよ......〉

 ありがとうございました。

 フッフッフ・・・・・・今回は前回よりも長くないですか?!あ、あと・・・・・終わり方、可笑しかったですかね・・・・(;・∀・)

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