43話 繋がる世界
よろしくお願いします。
暗闇が広がる不気味な空間に机に爪を当てて鳴らす音とうるさい貧乏揺すりが響き渡っていた。
「........創造神め.......!貴様らまで我を敵に回すか......!」
「閻魔様......まだ、手下の魔物達を揃えるのには何年か時間が必要かと.......」
「構わぬ!いくら時間をかけても良い!ありったけの魔物を集めこの世界に........滅びの裁きを!」
ここは帝都にある冒険者ギルド。病み上がりの冒険者やまだ傷だらけの冒険者等が一斉に集まり騒いでいた。なんでも、ギルド長直々に話したいことがあるとかで帝都防衛戦に参加した冒険者は全員が集められた。
「よくぞ集まってくれた!我がギルドの屈強なる戦士達よ!!貴様らのお陰で帝都は守られ、帝王も感謝の言葉を伝えてくれと申しておられた!」
【な~んか、帝王って怖いイメージしか無いんだよね~.....】
「あっ!確かに!」
【.......興味無い......】
「しっ!まだギルド長が喋ってるでしょ!」
フィルス、サティウス、クロでひそひそ喋っていたつもりだがノンシーに怒られてしまった。するとギルド長がこちらを見ているのが目に入り、少し目を逸らして黙り込む。
「だが!今回、一番良く戦ってくれたのはフィルス!お前だ.......」
「.........へ?」
〈え?うん?あっ......怒られる訳ではないんだね......でも、凄い視線が集まり始めたんだけど!?や、やばい......凄く居ずらい.......〉
ギルド長が微笑みかけながらフィルスの名前を出すと全員がフィルスという人物を探し始める。ギルド長の視線の先にフィルスが居るので直ぐに見つかり注目を一身に浴びる。
「仲間を、庶民を、帝都を守り抜くために必死で戦い、指揮が下がった冒険者達を一喝して再び闘志を灯させた.......仲間の死を味わい、それでも尚、ここに立っていられる貴様は大いに称賛されるべき存在と言えるだろう......」
「......そんな......僕は帝都を守った冒険者や騎士団と何も変わりませんよ......称賛されるべきはこの国の、仲間の、庶民のために死んでいった人達ですよ......」
フィルスは顔をしかめて、そのギルド長の称賛を素直に喜び、受けとることは出来なかった.......仲間や冒険者を守り抜くことが出来なかった後ろめたさがまだ残っているのだろう。
ギルド長はそんなフィルスのそばまで近寄りその小さな肩に手を乗せて口を開く。
「でも.......守られた命がある......!俺の考えとしては、百人救って、一人が死ぬなんて事は絶対にあり得ない......!救える命なら欲張って両方救う!......だがな.......人生、そんなに甘くない.......人は死に、その上にたって生きなきゃならん生き物だ.......だから、その悔しさは忘れるな!人の上にたって、死体の山頂でふらつきながら生きていることを忘れるな!それさえ、覚えていれば、死んでいった者達も浮かばれるってものだ......」
「.....」
フィルスはまだギルド長の言っていることが分からなかった........いや、分かるようで、分からなかったのだ......残酷なこの世界だ......必ず、人は死ぬ.......だけど、その痛みが分かれば死んだ者も浮かばれる.......?なんで?自分達の痛みがわかって同情吹っ掛けて、憐れな目で見てれば浮かばれるのか?自分が死んだって誰かに気づいて、悲しんでもらえれば浮かばれるのか?
「.......お前の痛みがお前だけの物ではない......分かち合って、悔しがって、悲しみあって......それが、誰かの未来に繋がるのだ......この世界は......1つの行動で何かが変わっている........一人で悲しむのではなくて、誰かと悲しむだけで何かが変わるのだ......確証はない、根拠もない.....信じるか信じないかはお前次第だ.......」
「..........今は.......そんな夢みたいなこと、信じれません.......でも.........そんな世界であるのなら......悲しみを、孤独を減らせれるのかもしれませんね......」
フィルスは微笑みながら涙を流していた。何故?......そんなものは分からない.......だが、これで何かが変わるのであれば........どうか、良い方向でありますように......そう願うだけであった......
ありがとうございました。
一章とか二章とかは無くさせて貰いましたっ!区切りが分からない・・・・・・・・・・すみません下手で(´д`|||)