4話 ちょっと何言ってるのか分からないです
よろしくお願いします。
「フィルス~~!いつまで本なんか読んでるんだよ!こっち来て一緒に遊ぼうぜ~」
「.....マルス兄様......お兄様こそ、本をお読みになっては?」
フィルスはもう5歳となり、文字を読めるようになると昔から興味のあった、本を読み漁っていた。マルスは次男でフィルスとは2歳、歳が違う。
性格はやんちゃで、勉強が大嫌い。遊ぶことをこよなく愛し、遊び相手はフィルスが殆どである。
「そんなもの読んでたら、日がくれるよ.......それに、お前ほど、読める字は少ないし......」
「......将来の事を考えれば、必然的に勉強は必要ですよ?」
「その通りだぞ、マルス........」
「げっ!........カルスト御兄様......」
フィルスの言葉に賛成しながら話しかけてきたのは、後継ぎの長男、カルストだ。知性と身体能力どちらとも優れており、フィルスの憧れの存在である。ちなみに、フィルスは剣術は苦手だ。
「あらあら、マルスはフィルスに負けているのね.........ぷっ!」
「ぐぬぬぬ~.....セイラ御姉様........」
片手で口に手を当てながらマルスをバカにしているのは、長女のセイラで、人を小馬鹿にするのが好きなSである。
「........マルス御兄様..........私.......恥ずかしい.........こんな兄がいると........」
「ぐふっ!......今までで一番の大打撃だぞ.......シーラ.......」
両手で大事そうに、ぬいぐるみを抱きしめながらマルスを冷たい目で見るのは次女のシーラだ。もう4歳で、言葉も喋れるのだが、何故か片言の言葉で喋る。
「........僕は今日、剣術の稽古と魔法学の授業があるので、お相手は残念ながら出来ません。」
「ちぇ~........」
「........フィルス........何故、お前はそこまで強くなろうとするのだ?私も、剣術はやっているが始めたのはマルス位の歳からだぞ?」
「.........特に.......理由はありませんよ?.......ただ、自分の身は自分で守るのが一番ですから......」
〈言ってはいけない........ね.......サティウスは本当にケチだな~.......僕が一人でこの世界を救えるはずが無いじゃんか.........〉
フィルスは心の中で小言を呟きながら、兄弟達の目から逃れるように、別室へと歩いていった。
【はいはいはい~.......お疲れ様!】
「.........なんで、僕は兄弟に秘密を作ってまでこんなことしないといけないの?
良いじゃんか.......別に、悪いことしている訳じゃ無いんだし、人助けは多い方が有利でしょ?」
【.........そろそろかな.......?】
何がそろそろなのかわからないフィルスは首を傾げながらサティウスの言葉を待つ。
【実は僕.........妖精じゃ、ないんだ~.......】
「........ちょっと何言ってるのか分からないです。」
ありがとうございました。
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