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39話 我が愛しき世界よ

 よろしくお願いします。

 眩しくて.......目が開けられない程の光がフィルスの周りを覆う。そこには2つの影が浮かび上がっていた。綺麗な立ち方をしているが、目を凝らしてみるとどうも老人のようだ。どちらとも無表情でフィルスを見つめており老人だというのに威圧感を感じる。


 「.......我が愛しき世界に産まれし子よ.......我々に代わり世界を救え.......痛み、傷つく者を癒せ.......」

 「暗い闇に覆われし邪悪な者を打ち払え......光無きそなたでも心にある光さえあればどんな困難にでも.......」


 話している途中で一人の老人は小刻みに震えだし腹部を押さえている。

 何事かと思い首を傾げているフィルスだが、老人達はフィルスそっちのけで何か話し合っている。腹を押さえて小刻みに震わせる老人をもう一人の老人が叱っているようだ。


 「あーーー!もうダメだ!!これ以上こんな芝居してたら笑いすぎで死にそう!」

 「馬鹿者が.......!人間の前ではそのような態度を見せるなとあれほど言ったではないか......!」

 「あ、あの~.......どちら様でしょうか........?それから此処は.......?」


 〈目は馴れてきたけど........真っ白な空間だ......何もない殺風景な場所だな.......〉


 [殺風景で悪かったの。]


 「へ?えっ?うん?」


 〈あれ?今、僕って口に出したっけ?〉


 [口に出さなくても我等には丸聞こえじゃわい。]


 「........マジですか?」

 「マジマジ。」

 「貴様!......はぁ~.....もうよい、普通のしゃべり方で.......」


 怒りで一瞬顔を歪めたが、諦めたように顔の皺を消し去り呆れているような、諦めたような顔をしている。

 

 「よし!じゃあ、何処から話そうかの.......?」

 「貴様は黙っとれ!我が説明をする!」

 「え、え~と.........よ、よろしくお願いします.....?」


 少し関わりづらい老人二人に若干引きながらも頭を下げる。これであっているのかどうかは分からないが.......

 だが、意外にも好感度が上がったのか感心した表情を浮かべる老人たち。それから改めて一人の老人が説明をするために口を開く。


 「先ず、我は《シンクス》。この世のすべての生を司り人界では光の神と呼ばれておる。」

 「そして儂が《カースト》。この世のすべての死を司り人界では闇の神と呼ばれておる者じゃ。」

 「あ、はい.......えっ?」


 〈うん?気のせいかな?光の神とか闇の神とか言ってたの......?えっ?そ、創造神様?ま、まさかね.......〉


 [そのまさかじゃよ。]


 「あの........声に出して話す必要って......」

 「いや、折角口と言うものがあるのじゃから使わんわけにはいかぬだろ?」

 「人間のペースに合わせただけじゃよ。」

 「は、はぁ.......」


 フィルスの心の問いかけにも言葉の問いかけにも応じてくれるのだが、この二人がまさかの.......


 「で、では.......お二方は創造神様でいらっしゃいますか.......?」

 「あぁ、そうだとも......我等はこの愛しき世界を造り出した神じゃ。」

 「その愛しき世界を滅ぼそうとしたのは何処のどなただったかな?」


 〈噂には聞いてたけど......仲悪いんだな......サティウスの言ってた通りだ。〉

 

 [またサティウスめ!余計なことを!!]


 [まぁ、本当の事じゃがな.......]


 「っ!?そ、そういえば!サティウスは?!ノンシーは?!帝都は?!!一体どうなったんですか?!」

 「.......ふむ、やはりこの者に託して正解じゃったな.....」

 「うむ、こればかりは同意じゃわい。」


 フィルスの問いかけを聞きそう言って微笑み合う創造神二人。フィルスは意味が分からず首を傾げているとシンクスが美しい微笑みを浮かべながら口を開く。


 「そなたは仲間を、友達を、帝都を心配したな......?普通の者なら先ず、案ずるのは自分の生死なのだ。」

 「だが、お主は違った......人と違うのは良いことでも悪いことでもある。だが、今のお主はよい意味で他と違う.......この世界を救う者としては文句なしで合格じゃ。」


 〈.......この世界を救う?あぁ、確かサティウスもそんなこと言ってたっけ?.......でも.......〉


 フィルスは悲しそうに顔をしかめて悔しそうに歯を食い縛る。シンクスとカーストはただ、それを見守りフィルスの言葉を待った。


 「.......僕では世界を救えません.......今回の魔物の襲撃で仲間を一人失いました........僕が弱かったばかりに......守れなかった......」

 「......お主が守れなかったのはその仲間だけではない。数々の者が数々の無念と未練を残して死んだ......分からぬのか?人は犠牲の上で生きている。それは我々にもどうすることもできない定めだ......戦いに傷は付き物で平和に犠牲は付き物だ.....お主がいくら頑張ってもそればかりは仕方がないのだ。」

 「........嫌ですよ.......そんなの.......今まで仲良くしてきた仲間を、友達を失わなければ平和が訪れないのなら.....!僕がその掟を変えます!創造神様が変えられないのなら僕が変えます!もう......誰も失いたくないですから.....」

 「......強き者が来たものだな....それなら、お主に託そう!我等が成し遂げられなかったこの掟を破り、変えてみせよ!」

 「はいっ!!」


 覚悟が決まった.....いや、決めていた覚悟を再確認した。仲間のために命を投げ出すと.......気合いのこもった返事を返した瞬間フィルスは再び目の前が見えなくなるほどの光に包まれた。その中から見える創造神二人の顔は美しい微笑みを浮かべて眩しいものでも見るように目を細めていた。


 「「我等の手を離れし子よ......未来を託す......いつか現れる使者達にも.......」」

 ありがとうございました。

 老人の正体は創造神でした!さぁ!次回はフィルス目覚めの時です!お楽しみに!

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