38話 二人の老人
よろしくお願いします。
今回は少し短めです。
フィルスと閻魔大王の戦いは直ぐに終わりを迎えた.....決してどちらかが手を抜いた訳ではない.......ただ、力の差がありすぎたのだ。
「........所詮は人間の子か.......大した力も魔力もない......せめて剣術でもと思ったがそれも我の前では無いに等しい......何が......誰が我の首を貰うだと?!!地べたに這いつくばれば我の首が取れるのか?!大口を叩けば魔物を止められるのか?!!」
〈敵なのに......認めたくないのに.......納得してる自分がいる.......あぁ、そうだよね......いくら人間の中では強くても、閻魔大王に勝てるわけがないよね.......でもね.......でも.......!〉
身体中に魔法を受けて、殴られて、蹴られて........でも、負けられない.......フィルスはミスリルソードを地面に突き刺して体に鞭を振るって立ち上がる。
「........僕は.......負けられない......例え、相手が魔物でも魔族でも.......閻魔大王でも......!」
【フィルス!もう無理だって!!そんな体で!どうやって戦うの?!!】
フィルスを制止するサティウスは目に涙を浮かべていた。なのに何故か........フィルスは微笑んでいた。サティウスの小さな体を自分の胸まで抱き寄せて荒い呼吸を落ち着かせながら口を開く。
「ありがとう.......今まで.......楽しかったよ......」
【っ!?な、なに言ってるの......?なんで.....そんなこと言うの......?】
〈確かに何でだろ?........僕は相手を倒すだけで、自分が死ぬことなんて望んでない........あぁ、付け忘れた言葉があったよ.........〉
「これからもよろしくねっ!サティウス!」
【っ!?】
フィルスは飛びっきりの笑顔を胸の中で体を震わせるサティウスに向けてから閻魔大王を睨み付ける。閻魔大王はつまらない物でも見るような眼差しでこちらを見つめている。
「僕は死なない........!《緑風の剣》」
「フハハハハハハハッ!!今、楽に死なせてやろう!!《閻魔の裁き》!判定......地獄行き!」
〈理不尽な閻魔様だね.......絶対、良い行いをしても地獄行きにしたろうに.......〉
フィルスはミスリルソードに緑色の風を纏わせ、閻魔大王に向かって駆け出す。閻魔大王は高らかに笑い声を響かせてから笏のようなものを何処からともなく取り出してフィルスに向かって横薙ぎに振るう。
するとフィルスは一瞬にして動けなくなった。まるで目に見えない何かに押さえつけられているみたいに.......だが、それは閻魔大王も同じようで体を小刻みに震わせ、抗っていた。
「双方......そこまでじゃ.....」
「「【っ!?】」」
突如として目の前に現れた神々しく体を光らせ、白髪に白髭の老人と禍々しい黒い靄を全身から醸し出している黒髪に黒髭の老人は物凄い威圧感と共にフィルスと閻魔大王の間に割って入るように姿を現した。
【........あ、貴殿方は.........】
「よくぞ、持ちこたえてくれた......サティウスよ......」
「ちっ!人界の争い事には手を出さないんじゃなかったのかよ........」
〈だ、誰なんだろ?多分、サティウスと閻魔大王は知ってるみたいだけど........〉
何者かは分からないが兎に角、今は囚われの身であることは確か.......抗おうと体に力を入れると目の前が一瞬、光輝いて次の瞬間には気を失っていた......
ありがとうございました。
思いもよらぬ人物二人の登場!!いや~・・・・・・迷いました!出すべきか出さないべきか・・・・・・・・その結果!この場面で登場して頂くことにしました!この二人組はですね・・・・・・・・・えっ?お、教えちゃダメ?・・・・・・・・・っと!言うわけで!次回!この老人の正体が明らかに!?お楽しみにっ!




