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30話 お人好しの仲間入り

 よろしくお願いします。

 帝国中心都市 帝都........数々の商人や冒険者、貴族、庶民等が集まるこの場所は魔物にとっては最高の餌さ場であり、森林破壊などを繰り返され棲み場を壊した人間達が住む恨めしき場所........だが、それは普通の魔物に限った話.......今、帝都に迫り来る魔物はどれも感情と言うものを全く持たず、ただ破壊を続けるだけの兵器でしかない。

 主の言うことしか聞かぬその目には正気というものが全く宿っておらず種族は違うのにノロノロと歩くその姿はゾンビのようでもあった。

 そんな魔物達に舌打ちをつきたくなるのを押さえミスリルソードをぐっと握り締めるフィルス。


 「........あれ?き、キーリスは?!」

 「えっ?い、一緒じゃなかったの?」


 〈まずい!キーリスが何処にもいない!!.......いや、情報屋だから撤退の合図くらい聞こえてたかな?.......ううん、そんなの決めつけられない.......どうする?〉


 自問自答を繰り返す.......敵が目下まで迫っているのに知り合いが居ないと集中できない.......少し調子に乗りすぎたと今更ながら思うが今はそんな自分を責めている時間もない。


 「ホント、どこ行ったんですかね~?」

 「分からない........っへ?」


 のんびりな声で話しかけてきたその声は聞き覚えのある声だった.......ノンシーではないし、サティウスやクロでもない.....振り返ってみると右肩から血を流しそれを庇うように左手を添えて苦笑しているキーリスの姿があった。


 「.......すみません、はしゃぎすぎました。」

 「そ、そんなことより!傷!《ヒール》《ヒール》《ヒール》......」

 「アハハハハッ、念入りすぎですよ......もう治りましたから.......」


 そう言って庇っていた左手を取って右肩の傷を見せる。完治はしていないようだが、これは魔法ではなく免疫力で塞がるのを待つしかない程のものだった。

 止血は出来たが完全に元通りな訳ではない。いつ傷口が開いても可笑しくない状況だ。


 「これは応急処置でしかないんだ!教会へ........!」

 「ハハッ.......すみませんが私は神には祈らないので......教会へは行けません。」

 「そんなこと言ってる場合じゃないわよ!魔物に傷つけられたら教会へ行くのが冒険者の決まりでしょ?!」

 【まぁ~.......キーリスは冒険者じゃないしね~?それに、君が簡単に傷付くわけはないと僕は見てるよ。】


 そう、キーリスは強い......剣術だけならフィルスをも上回る。そんなキーリスが肩にしかもかなりの深傷を負っている.....これは信じがたい事なのだ。


 「.......キーリス、なんで君が傷なんかを......?」

 「あや?早いですね~......もう少しあとに気づかれると思ってたんですけどね~......女の子が居たんです.......何故か私たちが居た最前線の所に......そんな女の子は魔物に追われてました。私も慌てて駆けていったのですが間に合いそうになくて.......」

 「......それで庇ったんだね?」

 「.......はい。女の子も私と同じ九尾族のようでした.....この辺りではあまり見かけなかった同種族に出会えて私は少し嬉しかったのかもしれませんね......」


 自分の失態に少し悔しそうに顔を歪める。そんなキーリスは初めて見たが新しいキーリスが見れて少し微笑ましく思う。


 「凄いじゃん!立派な人助けだよっ!」

 「.......え?」

 「そうね.......貴女からすれば失態なのかもしれないけど、私たちに言わせれば一人の少女を救ったっていう事実の方が上をいくわ。」

 【お~!これでキーリスもフィルスみたいなお人好しの仲間入りだね~!】

 【........おめでとう......】

 

 〈最後の二人に関しては後で二時間ほど正座させときたい......まぁ、キーリスにはサティウスとクロの姿は見えてないんだけど.......〉


 「.......昔話なんですけど......聞いてもらえますか?」

 「うん?いいよ。」


 キーリスは俯いていた.......声もなんだか震えているようで、怖いのか、悲しいのか......そんなか細い声で話始める......

 ありがとうございました。

 うおーーー!30話突破致しました!これも皆様のお陰です!まだまだ、この物語は続いて参りますのでどうぞ、よろしくお願いいたしますっ!

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