29話 撤退!
昨日は投稿出来ず、すみません!今回少ーーし長めとなっております。
食らえっ!全属性の力の結晶!
フィルスは走るスピードを増しながら止まることなく魔物を倒していく。そんな中で遠方に殺られかかった人を見つけるとその結晶を一発撃って助けていった。助けながら殲滅させる.....最強の防御にして最高の戦い方......だが、そんなものが続くはずもなく、結晶は底をつきフィルスも肩で息をし始めたその時.....
「全軍!全冒険者に次ぐ!!撤退!!撤退だ!!」
「はぁはぁはぁはぁ........これから楽しくなるっていうのに.......撤退?笑わせないでよねっ!」
フィルスはまだまだ戦えると、再び剣を構える。すると体が浮きどんどん帝都へ浮かんだまま敵から遠ざかっていくのが分かって斜め下を振り返ると一人の冒険者がフィルスを担ぎ上げて走っていた。
「ちょっ!何してるの?!僕はまだ!!」
「戦えたとしても従うんだ!!なにも一人で戦う必要はない!」
「僕は大丈夫だから!!一人でも戦えるから!!皆を守るんだ!」
「なら、そんな遠方で戦ってないで近くで戦うんだ!これはただの撤退じゃない!守るための!生きるための撤退だ!!」
〈生きるため.......?僕が生きる?なんで?一回死んだんだ........二回目の人生なんて僕は要らない.......だけど.....これが本当に守るための撤退ならば仕方ないかな.....?〉
フィルスはそう思い目を閉じる。すると意識が飛んでいくのを感じた。暗闇の中に居るのは自分とサティウスであった......ただ何もせず、座ったまま黒く覆われた空を見上げている。だが、心地よくどこか落ち着く気がする......
「......まだ、サティウスを使いこなせないや......」
【......仕方ないよ......僕はこう見えても、この世界のNo.3だからねっ!........それに、僕もまだ君を制御出来ない........心が乱れて暴走させちゃった.......】
「..........帝都.....僕たちで救えるのかな?」
フィルスとサティウスは互いの顔を見ることなく、空を見上げたまま話し合う。人はどんな者でも急激に強力な力を手に入れるとどうしても試したくて、無茶をしてしまう。それは暴走や過信であり、死へと一直線に繋がっている。
それを止めるのがサティウスの役目であったのだが、どうしてもまだフィルスの心をしっかり理解できてないようで制御が効かなかったのだ。
【守れるか.......じゃ無いよ.....守るんだよ.......きっとそうだよ......】
「........うん、そうだね.......そろそろ日差しが差し込む.......目覚めの時だね.......」
【よしっ!頑張ろう!!】
そう自分達を励まし合ってから覚醒へと近づく.......黒く覆っていた雲には日差しの亀裂が広がっていき明るくしていく.....
『フィルス.......!フィルス!』
〈誰だろうか?僕の名前を呼ぶのは.......あぁ、そうか......守らないといけない......いや、守りたい相手だったよね.......ノンシー........〉
「う、うぅ~.......ん?空が......曇ってるね......」
「っ!?フィルス!!」
「ぐはっ!の、ノンシー?!」
目覚めと共に抱きついてきたノンシーの頭は丁度フィルスの腹部を直撃してフィルスを苦しめた。空は大きな雨雲に覆われ、世界の危機とでもいいたそうな空気に包まれていた。
そんな雰囲気を帳消しにしたくて、フィルスは大きく両手を広げて勢いよく手を叩く。
パーン!という音がこの空気に呑まれそうになっていた戦士達に響き渡り一気に現実へと引き戻した。
〈独りでは戦わない、戦えない........そんな中、同志達が絶望の淵にいる.........引き戻す意外の方法なんてない!〉
「笑え!!戦士達よ!!帝都を守り抜けない未来なんて笑って吹き飛ばせ!!!僕は、皆を守るんだ!だからその為に!!君たちの力がいる........前を向け!同志達よ!!!!」
「「「「「「「「「「おーーーーーーーー!」」」」」」」」」」
起きて早々に一喝.......大分体力を消耗したがその分働き手も増えた.......人が下を向くなら自分は前を見て笑っていればいい.......すると、前を向く人がどんどん増えていくのだから........
「フッ.....小僧の説教で我に帰ったな?........てめぇら!魔物は前方からではなく後方.......そして左右からも進軍中だ!!負傷者は直ぐに手当て!それ以外はこの帝都を魔物から守り抜くぞゴラッ!」
「「「「「おーーーーーーーー!」」」」」
フィルスのお陰でもとに戻った雰囲気に気づいた冒険者ギルドでカウンターの上に登っていた男が指示を出す。口は悪いが負傷者を気遣ったり、死んでも等の命を懸ける言葉は使わなかった。これも士気を高める方法の一つであろう。
「おい、坊主!さっき叫んだ坊主は何処だ?」
「......僕、場所移動してないですし.......目の前ですけど?」
「えっ?おお!気づかなかったぞ!!隠れてたのか?」
「........視力大丈夫ですか?」
すぐ目の前に居るのに遠方を見ながら叫んでいる男に呆れた視線を送る。そんな男は素で見つけられなかったようで気づかなかった自分を豪快に笑っていた。
「で?なんですか?......僕も早く参戦したいんですけど......」
「お?あぁ、そうだったな........お前、名は?」
「.........フィルス・クレイアです。」
「お?貴族か......最近入ったみたいだな?お前は見たことがないし、年齢的にも最年少だ。俺は冒険者ギルドの長をしている《ガーリング》だ!よろしくなっ!」
それだけ言うとガーリングは何処かへ行ってしまった。恐らくフィルスの名前が知りたかっただけであろう。フィルスは暑苦しい男から解放されたと胸を撫で下ろすと共にギルド長だったのだと驚愕する。
【........さすがにそれは失礼だよ~......】
「........てへっ!」
「【【........可愛くない。】】」
〈そ、そんなみんな揃って........ま、まぁ、自分でも寒気がしたけどね?〉
皆の反応に苦笑しながら携えているミスリルソードを抜いて城壁の上から見える外の絶望という名の魔物の大進軍を睨み付けて歯を食い縛る。
〈勝つ!負けない!必ず守るんだ!帝都を、庶民を、仲間を.....〉
ありがとうございました。
これくらいが丁度良いですかね?僕にはこれ以上長くする技術がありませんのでご了承下さい!