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27話 精霊王の受託者

 よろしくお願いします。

 ここ帝都は恐怖で震え上がっていた。魔物が帝都に攻め込んできたことは500年の間でも数多く発生している。だが、今回は違った.......数は勿論の事、急に現れたことが過去の襲撃には無かったことなのだ。


 「ふっ!だりゃ!!」

 「ちっ!切りないですよ!!フィルス!どうしますか?!!」

 「どうするって.......撤退はありえないよ!必ず魔物襲撃を此処までで食い止める!」

 「.......情報通りのお人好しですねっ!!」


 九尾族の戦い方は異様であった。まるで重力がないような動きで相手を翻弄し、隙を見つけて懐に潜り込んでから短剣を1本づつ両手で持った双剣で首をかき斬る。

 普通の獣人というのは魔力が極端に低いのだが、キーリスだけなのか、それとも九尾族全体なのかは分からないが、魔力が高いのだ。


 「君に!精霊の加護を!........いや、人間全員だ!!《精霊王の加護》!!」


 精霊王の加護は、一時的なものではあるが発動者の魔力より低い者の魔法を弾き返す事が出来るのだ。勿論、魔物も魔力はあるし、魔法も使うものも居る。こんな大規模な襲撃となれば尚更確率は格段に上がる。


 「.......魔力の無駄ですよ?」

 「これで、誰かの死が免れるのであれば、無駄なことなんて無いよ........」

 「.......本当に、お人好しですね~......」


 呆れ果てたようにキーリスは呟いたが、その口角は少し上がっているように見えた。

 フィルスは他の冒険者よりも魔力が高いうえ、剣術も格段に上だろう。だからこそ、魔力が無くなるよりも人の命を救う方が先決なのだと考えているのだ。


 「お人好しでもいい!!ありがた迷惑でもいい!!それで誰かの命が救われるのなら!僕はこの身をも差し出すよ!」

 【う~ん.......それじゃ、僕が困るから、守るけどね~?】

 「.......じゃあ、戦ってよ!?何寛いでるの?!!」


 死なれては困ると言っている割りにずっとフィルスの頭の上で寛いでいるサティウスにそう言うと頭から炎玉の特大バージョンのように大きな炎が飛んでいき、魔物の群れにヒットした。

 爆発が起こると、次は火柱がうねりをあげる。熱風が吹き荒れるなか人間は全く熱さを感じないのは、精霊王の加護のお陰だろう。


 「........す、すげぇ~ですね......サティウスさんは....」

 「.......う、うん.......ってか、最初からやってくれていれば良かったのにね.......」

 【いや~........まだまだ、力が出しきれないからね~.....】


 〈あれで力が出しきれないとか......ば、化け物だね.....〉


 改めてサティウスの強さを身に染みて感じたフィルスだが、初めからこの魔法を出してほしかったと嘆きの声をあげるのであった.......


 【ほらほらっ!魔物の大進撃はまだ終わってないんだから油断しちゃダメだよっ!】

 「.......その言葉.....そっくりそのままお返しするよ!」

 【てへっ!】

 

 〈か、カワイイ.......でも今はうざいとしか思わない.....〉


 舌を出して片手で頭を叩く仕草はまさに天使であったが、今は憎たらしいことこのうえない.......フィルスはそんな事を思いながらも魔物を一体一体確実に仕留めていく。

 だが......


 「全く!減りませんよ?!」

 「あんなにいりくんだ森にこんなにも多くの魔物が入れるのか?!」

 【あらら~.......これは、僕も本格的に加勢しないとダメな感じかなっ?!】


 .......のんびりな口調とはいえ、サティウスが自ら飛んでいる......魔物の数はまだまだ増えそうだね.......


 いつもののんびりな口調ではあるのだが、最近は殆ど無かった、自ら飛ぶということを今は、やっている.......完全な戦闘体勢に入ったということだ。


 「キーリス!!これからはもっと気を引き締めていかないと!」

 「了解です!!私もそろそろ本気出しますよっ!」


 キーリスはそう言って口角を上げて魔物に向かって走り出した。その足取りは警戒しながら、でもスピードを上げて、一体一体の首を跳ねていく。華麗で的確な倒し方に誰もが魅了されてしまうようであった。


 「土魔法!《ゴーレム召喚》!!」


 フィルスは前、作ったゴーレムよりも一回りほど大きく、頑丈なゴーレムを作り出すとそのゴーレムを前方に倒す。その瞬間に魔物の血飛沫と砂埃が舞い上がった。


 【お~!コワッ!】

 「.......何か言った?」

 【......さっ!フィルスが大活躍した事だし、僕もやりますか!】


 フィルスに凶器の笑みで見つめられて、目を合わすことが出来ず、サティウスも魔法を唱えていく。全属性が使えるサティウスは主に混合魔法を使用している。魔力も底無しなのでどれだけ撃っても困ることはないのだ。


 【なかなかしぶといね~.......】

 「本当に......減るのかな?」


 途方もないほどの魔物にとうとうフィルスも息が上がり始めた。ノンシーのことも心配だし、いつのまにかはぐれてしまったキーリスも心配だが、目の前の魔物が減らない限りは助けにもいけない。


 「.......サティウス.......息を合わせよう.....」

 【........本当はもうちょっと後が良かったんだけどね.....それしか無さそうだしね.....】


 二人は顔を見合せ力強く頷き合うと迫り来る魔物たちに魔力を膨張させる。


 「【混合魔法!《精霊王の受託者》!】」

 ありがとうございました。

 ね、ネーミングセンスが・・・・・・・い、いや!頑張ったんですよ?!!頑張ったんですけどね・・・・・・・・・・

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