20話 レパートリーが豊富
遅れてすみません!!
「君は........?」
「私が名前を出せば.......いくら払ってくれるんですか?」
ギルドへ入ってきた仮面の少女はクスクスとそう笑いながらそう言うと、フィルス達の目の前で止まる。
赤色のショートヘアを靡かせて黒色のローブで身を包みながら歩く姿は暗殺者という言葉を頭によぎらせた。だが、それだけではない.........仮面から覗く口元は口角を上げて余裕の表情とも取れるのだが、その歩き方は慎重で周りを警戒しているようであったから尚更だった。
「.........情報屋......ですか?」
「ピンポーン!.......それで売りに来たんですよ.......フィルス・クレイア、ノンシー・カリスト........あなた達二人にね........」
「........ぼ、僕たちに........ですか?」
「そうそう........あなた達は人助けをするために、態々貴族街を飛び出して来たんでしょ?
私が取って置きの情報を流してあげますよ.....まっ!有料だけどねっ!」
〈た、確かに嬉しい.......けど、有料か.......生活と人助けの両立はなかなか難しいな.......〉
そう考えると、尚更冒険者ギルドへの登録が必要不可欠となってくる。フィルス達が稼ぐには、魔物討伐くらいしかない.....それに、魔物を倒せば人間にとって利益にしかならないので人助けにもなって一石二鳥だ。
「........じ、じゃあ、その話を詳しくしたいので、待ってもらえますか?冒険者ギルドへの登録を進めたいので......」
「ハイハイ~.......金のためなら、いくらでも待つよ。」
仮面の少女はそう言うと近くに設置されていた木製の椅子に腰掛けて寛ぎ始めた。そんな少女を横目にフィルスは新たな水晶でステータスチェックを始めた。崎ほどの水晶が壊れた理由は分からないが、今度は成功したようで水晶は淡い光を放ち消え去ると水晶から文字が浮かび上がってきた。
冒険者 フィルス・クレイア Fランク
体力 90
力 83
魔力 124
器用 60
俊敏 84
得意属性 水、土、精霊
ウォーターボール
アイスボール《氷玉》
ウォーターウィップ《水鞭》
サンドボール
ロックボール《岩玉》
ゴーレム召喚
精霊王の加護
癒しの涙
効果、発動者が指定した者を癒す効果がある。その者には暫く精霊の加護がつく付与つき。
「.......わぁ~.......レパートリーが豊富......」
【確かに、なんの職業にでも就けるね~.......ただ、まだ僕には足元にも及ばないけどね~?】
「........嫌みにもなってないよ......僕がサティウスに勝てないことは知ってるから......」
【あらら~.....そう言われると寂しいね.......大丈夫!君でもいつか僕を越えることができるよっ!】
〈掌の返しようが.........相変わらずの天然ぶり........というか、ただのバカなのでは?〉
サティウスを冷たい目で見ながらそう考えていると、ギルドカードの発行が終わったのかカウンター越しに男性職員がカードを手渡してくる。その時に幾つかの注意事項等を教えてもらってから、仮面の少女と一緒に冒険者ギルドをあとにして、ドラゴンの隠れ家へと戻ったのであった。
ありがとうございました。