2話 名無しって言うな!!
よろしくお願いします。
【........?何が困るの?】
『僕は.......もう、ヒーローではありませんし、ヒーローになったつもりもありません。そんなに期待されても困ります.....』
〈僕はヒーローではない。確かに、自分でも良い死に方だったと思うよ?.......でも、ヒーローみたいにかっこよく人を助けた訳ではないし、そんなに尊敬されるような強盗犯との戦いも繰り広げた覚えはない。〉
直人はそう言って顔をしかめる。妖精は?マークを浮かべて首を傾げる。
【........この世界は今、危機に瀕しているんだ.....君の前世の功績だけで、ここの世界に呼んだ訳ではないんだよ?.....こういう、運命にあったんだ.....】
『.......運命.....か....』
直人は運命等は信じる方ではない。幽霊も信じないし、神も、妖怪も、宇宙人も、妖精も.....信じない。質の悪い冗談でしかないと思っている。
【フフフフフッ、信じてないね......じゃあ、教えてあげるよ......この世界のこと.....】
『.....政治についてなら、子供よりは知ってるつもりだけど?』
【赤ん坊が何言ってるの!それに、この世界のことは君には分からないよ.......絶対に!】
〈赤ん坊?.......え?.......僕のこと?ま、まさか......な....〉
『......赤ん坊?』
【あれ~?まだ気づいて無かったの?君は赤ん坊で、まだ名前はないんだよ?】
〈吾が輩は猫である、みたいだな.....って!?ぼ、僕が......赤ん坊?......いや......気づいてたな....そこまで驚いた感じがしない.....認めたくなくて......知らんぷりしてただけか.....〉
直人は自分の手を見る。小さくて膨れ上がった手はマシュマロのようで、まさに赤ん坊の手だ。声はあーうーしか出ず、喋ることが出来ない。
『......本当に......生まれ変わった.....のか?』
【フフフフフッ、ようやく気づいた?じゃあ、教えてあげるよ~.......この世界は《シンクス・カースト》という世界で、ここは《トリウス帝国》だよ。】
〈帝国?シンクス・カースト?何それ?.....え?や、やっぱり........地球じゃないのか?〉
分かってはいたが、分かりたくなかった......というのが正直な直人の気持ちである。
まだ、死んでいなかったという方がましであり生まれ変わるなんて御免であったが、もう転生してしまったのは仕方がない.....
『.....それで?僕に何をしろって言うんですか?』
【話が早くて助かるよ~.......でもね、特定でやってほしいことはないんだ......ただ、困っている人を助けてほしいだけなんだよ......シンクス様はそれだけ言っただけだったんだ。】
『シンクス.......?』
【この世界は光の神、シンクス様と闇の神、カースト様が創り出したから《シンクス・カースト》っていう世界なんだ~。】
〈この世界の神様......ね~......それが、疑わしいけど、信じるしかないよな~......〉
直人の頭には若干諦めたような感情が浮かび上がり、ため息が出る。そんな直人を面白おかしい者でも見るようにニコニコしながら見つめる妖精はムカつくがその愛らしい顔のせいで、起こる気にもなれない......
【........だから、早く大きくなってね!!】
『いや、それは無理だけどね!?それに、君の名前、聞いてなかった.....』
【うん?........そうだね~.....僕の名前は《サティウス》って言うんだ~......よろしくね!名無しの赤ちゃん!!】
『名無しって言うな!!』
ありがとうございました。
この物語は、アルファポリス様の方で書かせて頂いている小説を舞台にしております。いつか、そちらの主人公と出会うことがある・・・・かも?!