168話 提案
よろしくお願いします。
「我、闇を穿つ者なり。光の弓矢で今その闇を打ち払わん!光魔法!《大天使の矢引》!これで最後だ!」
大地は双剣でプラス状に構え大きな弓矢を出現させて横の剣を引くと共に弓も連動するように思いっきり引かれ矢は放たれた。凝縮した魔力にはさすがのアルゾットも危機を感じたのかアゾット剣で器用に受け止めた。だが、所詮はただの禁断の武器.....人間のなかで一番神に近しい存在の攻撃を防ぐには足らなかった。アゾット剣は粉々に砕け散り、その勢いを緩めることなく突き進んだ矢はアルゾットを覆う、薄くて丈夫なシールドなどものともせず、アルゾットの胸部分に大きな風穴を開けて遥か彼方へ飛んでいった。
〈.....お、恐ろしい.....使者は僕がこうして驚いている間にも.....進化してるってことなのか.....〉
力に、成長の早さに身震いがする。自分の十数年を軽く越えるような圧倒的な資質と魔力.....だからこそフィルスは拳を強く握りしめて置いていかれないように.....自分ももっと強くなることを誓った。
仰向けに倒れてしまった大地に安堵の表情で駆け出すたつ達に続くようにフィルス達も駆け出した。大地の力に少し呆然としていたエルロートも危機が去ったことへ安堵して駆け出.....そうとした。
「っ!?な、なんだこれ......!」
体に鎖のようなものが巻き付き、手足の自由を奪われたエルロートはそう声をあげる。それに気づいたフィルス達が振り向くとそこには鎖をほどこうともがくエルロートの姿とその鎖を持つアルゾットの姿があった。
「っ!?エルロート!」
「禁断の武器.....その武器の最大の特徴は持ち主の代わりに武器が消滅するところだ。」
「アルゾット......!エルロートを返しやがれ!」
「立てもしない雑魚は黙ってろ。こいつは再び召喚するサラマンダーを復活させるために俺たちのところへ来てもらう。
精々、足掻け!これは世界が滅びる第一歩だ!」
アルゾットはそう言ってたからかに笑うと黒い靄に包まれエルロートと共に姿を消した。
〈.....エルロートがサラマンダーを封じ込めておける唯一の箱って感じかな.....?どちらにしても向こうの手に渡ったのはまずい.....どうしたものか.....〉
フィルスは顎に手を当て思案顔で奪還の術の基礎である居場所について考える。しばらくすると座れるほどまで回復した大地達と話し合いを始める。
「まさか.....エルロートを拐われちまうなんて.....」
【まぁ~、あの禁断の武器がスゴい能力だったしね~.....仕方ないっちゃあ仕方ないことだよ~。】
珍しく尤もな意見を述べるサティウスに同意とばかりに皆が頷いた。それでも悔しそうな顔をする大地にフィルスは悲壮な表情を浮かべた。何かを言おうとしたフィルスよりも先にたつが口を開いて大地を見やる。
「それに.....奪われたならまた取り返せばいい.....だろ?」
「そうだよ!エルロートを好き勝手に道具のように使われる前に......!」
「あ~.....俺から提案だ。」
指揮を高めようというのに相変わらずのダルそうな声に力が抜けるのを感じながらノーナガを見やる。そこで気づいた.....口調こそダルそうではあるが目が本気であることに.....フィルス達は固唾を飲んでノーナガの言葉を待っているとノーナガはゆっくりと口を開いて提案を出してきた。
「エルロートは.....殺すべきだ。」
ありがとうございました。
な、何を言い出すか!ノーナガ!その言葉に秘められた意味とは?!お楽しみにっ!




