12話 新たな仲間
よろしくお願いします。
すっかり明るくなった草原を歩き続け、やがて暗い森へと足を踏み入れる.......帝国の近くに生えている木は少し黒くなっていて、道を塞ぐように生えていて、迷子になったりして帰れなくなった人が多数いる事から通称《迷いの森》と呼ばれていた。
「........本当に、薄気味悪いわね......」
「......でも流石、森なだけに妖精が一杯いるね.....」
苦笑しながらフィルスは周りを見渡す。うじゃうじゃと好奇心旺盛な妖精達が見物しにやって来ていた。特にフィルスが人気のようで、頭の上に乗ったり、少し離れたところから観察したりしている。
【お~.......!闇の妖精もいるね~......フィルスの引き運は僕でもドン引き~.....】
「僕は、サティウスが精霊王だってことにドン引き~......!」
フィルスとサティウスだけが聞こえる声でちょっとした口喧嘩をしていると、闇の妖精が近寄ってきて肩を叩いてくる。
【.........あっち.......人間達.......あっちいった......】
「え?あ、うん.....ありがとねっ!教えてくれて。」
紫がかった黒色の髪の毛はショートヘアで黒色のワンピース。目は黒色の穏やかな目付きである黒妖精は何故かフィルスに道を教えてくれて、先導して案内してくれた。
【いや~.......一目惚れってやつですな.....】
「........?なんの話?」
【フフフッ.......鈍いね~.......】
〈一目惚れ?鈍い?なんのことだろ?........えっ?僕のこと?僕って鈍いの??さっきのところで何かに狙われてたのかな.......?怖い怖い......〉
フィルスは少し体を竦めながら身震いする。サティウスとノンシーはそんなフィルスの鈍さに呆れた顔を向けるだけであった。
しばらく黒妖精とも雑談を交わしながら歩いていくと、薄暗かった森の先が少し光って見える.......出口だ。
「.......出口だ~!迷わずこれたわねっ!」
「これも、黒妖精さんのお陰だよ!ありがとねっ!」
【うん........私も.....ついていって良い......?】
【僕のフィルスには契約させないよっ!僕は精霊王だ!】
〈僕の?.......僕がサティウスのものなのかな??いやいやいや!可笑しいでしょ!?僕はサティウスのものでも黒妖精さんのものでもないからね?!〉
【.......精霊王様.......意地悪......】
【違う!君が、我儘なんだ!】
「.......ならノンシーにつけば?」
「えっ?な、何を話してるの?!危ないことに私を巻き込まないでね?!」
フィルスの言葉に怯えるノンシー。黒妖精は成る程と手を叩き頷いているので了承と受け取って良いようだ。
それを確認してからノンシーに事情を話した。
「なるほどね......良いわよ、妖精は嫌いじゃないしね。」
「ホントっ?!ありがとう......!黒妖精さんっ!良いって言ってるよ。」
【......うん.......分かった......】
フィルスの言葉に嬉しそうにしてノンシーに近寄る。契約はどちらともがお互いの姿が見えなければいけない。なのでフィルスが精霊の魔力をノンシーに向かって放つ。
「.......どうやって、契約するの?」
「.......さぁ?」
フィルスはノンシーの問いかけに首を傾げる。フィルスは産まれた時にはもう、サティウスと契約されていたので、契約方法など知るよしもない。
【んまぁ~.......動かなければ良いだけだよ~.......あとは妖精がやってくれるからさ~......】
退屈そうに欠伸をしながらそういうサティウス。すると黒妖精はノンシーの顔をペタペタと触り始めた。念入りに何かを確かめるように触ると、一周回ってノンシーの目の前で止まり、口を開く。
【.......これから、よろしくね......ノンシー......】
「えぇ、よろしくね....え~と..........クロっ!」
〈名前、クロにしたんだ.......そのままな気がするけど....まぁ、良いのかな?〉
すると、クロとノンシーの周りを光が包み込んでしばらくすると消えてしまった.......契約完了である。
契約の仕方は至って簡単で、妖精が相手の顔を触って、その相手が拒否しなかったら契約完了である。
「さてっ!新しい仲間が増えたところでっ!リザードマン討伐隊を追うよっ!」
「分かったわ!」
【........うん......行こう。】
【ゴーゴー!!】
フィルスの言葉にそれぞれ気持ちを高めて再び、リザードマン討伐隊を探すフィルス達であった。
ありがとうございました。