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118話 ちょっとした怒り

 よろしくお願いします。

 さて!飯盒炊飯をするとは言ったが、材料が余裕で足りない。先ずは火を起こすための木材とレンガ、米を炊くための飯盒、カレーをつくるための鍋、そして水。

 先ず、木材に関してはそこいらで手に入るので除外で、水やレンガも魔法でつくれるので大丈夫。残るは.......


 「.......調理器具がない......」

 「それ、一番ダメなやつじゃ......」

 【.......フィルスのドジ.....】


 〈い、いや仕方ないじゃん?!飯盒とか鍋とか使うなんて予想してなかったし、それにそこまでの時間なかったし!.........でも、ホントにどうしようか?〉


 そんなことを思案しているとサティウスが小さな手でフィルスの肩を叩いてくる。何事かと振り返ってみるとそこには鍋を魔法で浮かせたサティウスがニヤニヤとした笑みを浮かべて飛んでいた。


 「.......えっ!な、なんで?!サティウス、鍋持ってきてたの?!」

 【チッチッチ......今さっき作ったんだ!勿論、簡単なものじゃないよ~......フィルスなら僕の力があるから出来るけどね~......】

 「おぉ!それなら飯盒を僕がつくる!.....っとは言ってもどうやって?」

 【無属性が無機物を生み出せるのは知ってるよね?だけど、それにはかなりの熟練度と創造力がいることも......でも、君ならできるさっ!何故、エルフが魔法に特化してるかというと、それは妖精や精霊がいるからなんだ!つまり!精霊王である僕と契約しているフィルスなら楽チンなんだ!】

 「.......成る程。やってみるね.....」


 〈.......なんだろ?.....やっぱり何かが違うなぁ~......いつものサティウスなんだけど.....少しだけ.....ほんの少しだけ雰囲気に陰りが見えるっていうか......〉


 いつもより暗く思えるサティウスの表情にフィルスは少し悲しい声で作り笑いを浮かべながら飯盒を生成してみる。だが、サティウスのことで集中できず、何度もミスをしてしまい、結局形や物質を教えてサティウスにつくってもらった。


 【.......フィルス?なんか、らしくないね......何かあったの.....?】


 それはこっちが聞きたいことである。だが、多人数だと話しにくいこともあるだろうと思い、今は尋ねるのをやめ「ううん、大丈夫だよ。」と言っておいた。


 カレーはクロも楽しみにしているので集中して作り、なんとか出来上がったが、フィルス自身は食欲がでないと言って皆と少し離れた場所で星を眺めていた......

 するとやはりフィルスのいつもと違う態度が気になったのか少し不安げな表情でサティウスがフィルスの肩に乗る。それに気づいたフィルスだが反応はせず、ただ空を仰いでいた。


 【.......ねぇ、フィルス......?】

 「ん~?どうしたの?」


 話しかけられてもなお星を眺め、声のする方へ耳を傾けるだけのフィルス。サティウスはその行動にまた不安げな表情を浮かべて口を開く。


 【.......どうしたの?.....フィルスらしくないよ.....】

 「.......」

 【何か困ってるなら言ってよ.......力になるから......】

 「.......違うよ......それはこっちの台詞......僕はいつもと少し違うサティウスが気になって.....何も話してくれないサティウスに怒ってた......それだけ.....」

 【.......】

 「........話してよ.....そんで辛いなら言ってよ......力になれるって断言は出来ないけどさ......力になる努力はするから......」

 【フィルス......】


 その声は今にも泣き出しそうだった......それだけで分かった.....辛いことがあったのだと.....フィルスは肩に乗るサティウスをそっと手の上に乗せて同じ目線で向かい合う。

 そしてサティウスはゆっくりと口を開いた......言いたいことを......辛いことを聞いてほしくて......

 ありがとうございました。

 文字数的に次話かな~?と思ったのでここら辺で区切らせていただきました(^^;

 次回をお楽しみにっ!

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