114話 怒れるサティウス
よろしくお願いします。
衝撃の事実から一段落し、サティウスにあれほどユグミンスールを叱りつけていた理由を尋ねてみた。
【......あれは何千年前の話だったかな.....?まだ人間とかエルフとかが進化途中だったときの話になるんだけどね.....】
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これは今から数千年前.......まだエルフも人間も城などを持たず、物々交換や物の奪い合いなとが絶えないときの話だ。
サティウスはいつも通り怠けていた.....この日は神界でも天界でもなく後にエルフの森と呼ばれる妖精や精霊達が沢山いる場所でだ。そこにはサティウスの好きな甘い果物が沢山実っており、よく訪れる場所でもあった。
【いや~......ここはいつも平和で、産みの子しかいないし、甘い果実が沢山あるね~.......ん?】
そんなことを言いながら果実を頬張っていると遠くから何かの鳴き声と衝撃音が響き渡り呑気な顔で周りの妖精たちに事情を聴こうと見渡すが、妖精は一人残らず自分達の住みかへ隠れ、精霊達は少し怯えた表情で戦闘体勢に入っているようで、サティウスにでも何が起ころうとしているのかは大体だが分かった。
その矢先、空を1、2回旋回してからこの森へ降り立ったドラゴン.......名はユグミンスール。
ユグミンスールは木々を倒しながらサティウスの寛ぐ場所までやってきて呆れたと言わんばかりの表情で口を開く。
「マダ、ココニ居タノカ......ココハ妾ノ棲ミカデアルト何回言エバ分カルノダ?」
【......何?コイツ.....】
「ッ!?ソ、ソレハ妾ガ楽シミニ実ルノヲ待ッテオッタ果実デハナイカ!!.......勝手ニ入リ込ンダ挙ゲ句、盗ミマデ働クトハ.......!」
【何を可笑しな事を言ってるの?ここは僕が最初に産み出した精霊から続く精霊達の棲みかで、それが数千年前の話だったはずだよ?】
サティウスが言いたいのはここが初めから精霊達の棲みかであったと言うことだ。何せ、精霊が誕生したのが数千年前で、ドラゴン達が登場したのは数百年前のことなのだから......だが、ユグミンスールはその言葉にまたもや呆れたと言わんばかりの表情を浮かべてから蔑んだような瞳でサティウスを睨み付ける。
「ナラ問オウ。人間ハ住ミカヲ探ストキ、イイ場所ヲ見ツケタガソレガ魔物ノ棲ミカダト分カッタトキ諦メルト思ウカ.......?答エハ魔物ヲ殲滅スル。ダ......
ツマリ、下等ナ生物ニ棲ミカハナイトイウコト.....ガハッ!」
【さっきから聞いてりゃあさ.......何を勝手なこと言ってるのさ!】
ユグミンスールのあまりに差別的な発言にムカついたサティウスはその拳を闇の魔力で染めて力一杯殴り付けた。するとユグミンスールはその力に驚愕の表情を浮かべたまま吹き飛んでいき、何本か大木を倒しながらやっとのことで止まるが、痛みのあまり起き上がることができなかった......
そんなユグミンスールの目の前で腕を組み仁王立ちするサティウスは恐怖そのものに見えた。
【......君には罰を与える!寛大な僕でもその発言は許せないからね!僕の子達が弱い......?ふざけたこと言ってるんじゃないよ!本当に弱いのは君だ!!】
「ギャアアァアァァァァアアァ!!」
修羅と化したサティウスは光の魔力で作り上げた剣を左翼に当てて切り落とした。ユグミンスールの悲痛の叫びが響き渡りそのまま収まらない怒りに身を任せ、サティウスは数時間説教するのであった.......
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【っていう事があったんだ~......】
「......へ、へぇ~......ソ、ソウダッタンダ~.....」
フィルス達がサティウスを本気で恐ろしいと思えた瞬間であった.....
ありがとうございました。
え?サティウスが怖いって?...当たり前じゃないですか~!一応、精霊王ですからねっ!
次回はまたもや急展開!?お楽しみにっ!




