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猫愛ずる姫君  作者: 月乃渚
後日談的番外編(一話完結)
13/16

騎士は取扱説明書を装備した!

騎士は最強アイテムをもらえることになった!

 俺は現場で実働することも好きだが、執務室で書類の山と向き合うことももちろん好きだ。

 10日くらいは寝なくても仕事ができる。

 ミラベル姫に言ったらたいそう驚かれた。

「いつ寝てるのかと思ってたら、寝てなかったのね。」

 と驚いた様子が大変可愛らしかった。

 そして体の心配までしてもらった。

 思い出してにやにやしていると、部下がやってきた。

 あわてて顔を引き締める。

「失礼します。第十部隊のオリヴァー・カー隊長がお見えです、いかがいたしますか?」

 珍しい、一体何の用だろうか。

 第十部隊は補給部隊だから、今日の軍議で上がっていた兵站の予算について意見でもあるんだろうか。

「入室を許可する。」

「はっ。了解であります。」

 部下が扉を開けると、なにやら大荷物のカー隊長が入ってきた。

「第十部隊隊長オリヴァー・カー、入りま~す。口頭で敬礼!」

 黒い軍服の、薄茶色のウエーブがかった髪に、細面の優男がへらへらしながら近づいてくる。

 王都一のモテ男と言われているが、正直なんでこんな男がモテるのかわからない。

 俺は彼に敬礼した。

「なんだその口頭で敬礼とは、初めて聞いたぞ。」

「すみませんね。今両手が塞がってまして。」

「荷物は置いてこい。」

「そんなに怒らないでくださいよ、せっかくプレゼントを持ってきたのに。」

 そう言って、背中に隠していた真っ赤なバラの花束を手渡してきた。

「......。」

 なんで野郎から真っ赤なバラの花束を渡されるんだ。

「あ、間違えた!ガーランド卿にはこっちでした。」

 カー隊長はバラの花束をひったくると、反対の手で分厚い本を渡してきた。

「驚かせるな。なんで花束を受け取らないといけないのか悩んでしまった。」

「男に花を渡すわけがないじゃないですか、気持ち悪い。」

「それはこっちのセリフだ。」

「ま、とにかく、それを渡しに来たんです。そういうの、欲しいと思いまして。」

 その本は黒い表紙に金で文字がかかれた、きちんと装丁されたものだった。

 そしてとんでもなく分厚い。

「なんだこれは。アルゴール大法典か?武器になるぐらい分厚いな。」

 その本の題名は、

「これであなたも即モテ男!女の子の取扱説明書 初心者編 非モテ童貞友の会推薦!」

 と書かれていた。

「それ、僕が講師をしてる非モテ童貞友の会勉強会の参考書なんですけど、ぜひ使ってください。」

「いらん。」

「いやいやいや、何言ってるんですか~。むしろ今一番必要としてるのはガーランド卿じゃないですか。」

「必要ない。それに俺は非モテ童貞ではない。」

「ガーランド卿は精神的非モテ童貞ですって。」

 なんだ精神的非モテ童貞って。

「別にこんなものに頼らんでも、ミラベル姫とは良い関係を築けている。」

「聞きましたよ、この前1週間口をきいてもらえなかったって。」

「なっ!」

 何でこいつがそんなことを知ってるんだ!

「それで、原因はなんだったんですか?浮気?」

「違う!ちょっとした姫の勘違いで、私が胸の大きな女性に言い寄られていると思われて、姫は自身は胸が小さいから、やはり胸は大きい方が好きなんじゃないかと言われたので。」

「それで?」

「胸は大きい、小さいではなく、そこに存在していることが大事なんだと言ったんだが、なぜか怒ってしまわれた。」

「馬鹿なんですか?」

「なんでだ!結構気を使って言ったんだが。」

「それ、姫の胸が小さいといってるようなもんですよ。」

「姫の胸は決して小さくないぞ!」

「はいはい、でも、ガーランド卿は正直いって、大きい胸の女性は好きですよね。」

「それは、まあ、というか嫌いな男はいないと思うが。」

「もちろんそうですけど、そういう男の本心を女性はわかっているんです。だから女性に体のことを言うのはやめた方がいいです、というか絶対触れないほうがいいです。何を言っても怒られます。」

「そうなのか?」

「いうなれば女性の美意識の高さの表れだとは思うのですが、そういうときは、もうシンプルに、僕が好きなのは君だ!とかにしておいた方が無難ですね。」

「勉強になるな。」

「そうでしょう!そういうのがぜーんぶのってるのが、この本なんです。」

 読んでみようという気になってきた。

「ところで、今僕にこの本を贈られて、何か思いませんでした?」

「貴様仕事しろ、と思った。」

「はいダメブー。ぜーんぜんダメー。」

「殴っていいか?」

「僕のことを考えて今一番欲しいものを持ってきてくれるなんて、カー隊長優しい!イケメン!かっこいい!抱いて!って気づくのが正解です。」

「さて、馬鹿は放って仕事するか。」

「待ってくださいよ、これ、非常に大事ですよ、特に女性に対して。僕に突然贈り物をされて、少しでも嬉しくはなかったですか?これが秘技サプライズプレゼントです!」

「どこかで聞いたことがある単語ではある。」

「どうせガーランド卿のことだからしたことないでしょうから説明しますけど、何の前触れもなく女性の気に入るようなプレゼントを贈るんです。これをするとしないとでは大きく違います。」

「なにがだ?」

「うまくいけばいけるところまでいけます。」

「はあ?」

「最低でもほっぺにチュー。」

 ほ、ほっぺにチュー、だと!

「というわけで、ぜひサプライズプレゼント頑張ってくださいね。失敗するの楽しみにしてます。さーて、僕はこれから愛しのアンナマリーに会ってきまーす。」

「仕事しろ!」

 嵐のような奴は去っていった。

 何をしたかったんだ、あいつは?

 それにしても、サプライズプレゼント、あなどれん。

 さっそく本を開いてはじめのページを読んでみる。


 『誰でも最初はモテなかった。僕だってそうです。でもこれさえあれば大丈夫!一緒に勉強していこう!でもその前に、顔洗った?手は洗った?歯はみがいた?ヒゲはそった?服は毎日着替えてる?そこからまずは変えていこうね!君だって生ゴミと付き合いたくはないよね!女の子だって一緒だよ。』


 なかなか辛辣だ。


 『さあ、身支度を整えたらさっそくレッツレッスン!人生をバラ色にしよう!                 物資を運ぶ、幸せ運ぶ。第十部隊隊長 オリヴァー・カー         』


 ......だから仕事しろ。







 取扱説明書を熟読し、さっそく実践することにした。

 いつもより身だしなみを入念に整えて、ミラベル姫に会いに行った。

 もちろんサプライズプレゼントを持って。

 プレゼントは軍で試作中のものだか、肉球付手袋NK-9改だ。

 ミラベル姫は狙い通りたいそう喜ばれた。

 俺の選択は間違っていなかった。

 いくところまでいくどころか、ほっぺにチューすらなかったが、肉球で顔中をプニプニしてもらった。

 そうやって使うものではないのだが、まあこれはこれで嬉しい。

 アリッサが

「うわあ、バカップル。」

 と言っていたが、なんとでも言うがいい。

 俺は幸せ者だ。








とうとう女性の取扱説明書を手に入れたガーランド卿。

でも時々不用意な発言はしてますたぶん。

六法全書並みのそれは、時折筋肉トレーニングのダンベル代わりにもなっています。

感想いただきました、C様のご意見を参考にさせていただきました!


お読みいただき、ありがとうございました。



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