そして、勇者様はもう私達のレジェンド(伝説)に。
私と神官さんの予想に違わず、王様と議会の決定は王女様との離婚、そして、娘との接触の一切を禁じるという厳しい内容で、さすがの勇者様(笑)も、身にこたえたようで、ゾンビみたいになってました。
一週間くらい。
え?
短いって?
うん、私と神官さんもそう思うよ。
でもさ、ある意味勇者様は勝ち組というか、世の中、蓼食う虫も好き好きというか、割れ鍋に綴じ蓋というか。
王女様との離婚っていうか、体外的に勇者様は魔王との戦いの最中で死亡したことになり、ただの剣士として生きていく、さらに親切心から王様がその連絡をわざわざミーシャにしたところ、「勇者じゃない勇者様に興味はございませんから」と身も蓋もない振られ方をした、なんて連絡も書いてあったという勇者様にとっては悲劇的な出来事の結果。
え?
何で知ってるかって?
勇者様(笑)が手紙の内容から何から魔王城の酒蔵の酒を片っ端から浴びながら一人でぶつぶつ呟いていたのを見た、というか神官さんと浄化したから。
ちょっと女の敵だな、と思っていたこともあるし、王女様の味方の私達としてはざまあというか、賢者様の末路も遠因はこいつかと思うと当然というか。そんな気持が渦巻いていたのだけど、一応仕事なので。まだ。
死なれたら後味悪いし、そもそも酒を煽って死んだとか、そんなことになったら王女様に要らぬ負担を更に掛けそうだし。
という消極的な理由でゾンビを浄化すること一週間。
現実は物語を上回る展開を見せるって、本当だったんだなと痛感した。
なんと、アー様と呼ばれていたあの高位魔族と思っていた男が魔王だったようで、ミーが彼を連れて戻ってきたのだ。
そして、爆弾投下。
ゾンビと化した勇者様(残念)が、ただの剣士として隣国にて一人で暮らしていかなければならなくなると聞いて、ミーが狂喜乱舞して魔王様に願ったのだ。
勇者の「命」を。
お腹の子の父親を助けたいと。
私と神官さんの目がじと目になったのはもう責めないで欲しい。
サキュバスを垂らしこむとか。
もう、ほんと、いっそ清清しいね!
もげろ!
サキュバスとはいえ、彼女のためにも、新しく生まれる命のためにも!
と、盛大な祝福の詔を私と神官さんが唱えたのは、もはや、宿命ですよね!
仕方ない。
で、魔王は別に勇者の命に興味もないし、現実的に今代の勇者に自分を打ち倒す力もないしねー、むしろサキュバスと結婚?面白いし、隣国で必死に生きたらいいよ!とか、けたけた笑って、勇者の助命を快諾しちゃったんだ。
そ・の・代・償・に・私・を・請・求・し・て・な!
いや、もう本当にまじで勘弁して?!
これ以上、勇者と関わるのは本当に御免です!
即座に拒否しようとした私を尻目に、何故か私の返事を得ず快諾する元・勇者様(殺す)とミー!!!
絶望する私と、そんな私を必死に慰める神官さんを残して、元・勇者様とミーは魔王に隣国に送ってもらって生活を始める手はずを整えていた。
そうして、関係者各位に多大な傷を残して、勇者様はもう私達のレジェンド(伝説)に。
いや、もう一生関わってくるなよ!!
そして、この後始末、どうしてくれるんだ!!
王城への報告の仕様もないので、本当に勇者様は討ち死にしましたと報告した私と神官さんは、これっぽっちも悪くないと思う。
それしか言い様が、ないだろうーーーーーーーー!
王女様が悲しんだとか、風の便りに聞いたけど。
事実はもっと残酷だから、優しい嘘に、カテゴライズされるよね・・・?
本当に、もう、バルス、バルス、バルス!!
もげたらとかはげたらとか通り越して、破滅したらいいのにっ!!!
微笑む魔王様(怖)と取り残された勇者パーティ残党二人の叫びが、どこまでも城に木霊していたのも遠い昔の話だ(遠い目)。




