精霊召喚の分析
精霊召喚の基本はやはり素材なのだろう。土の精霊が各種のインゴットで強さが変化したらしいし、一酸化炭素で呼び出した風の精霊はチート性能で修正された。
海水だと弱く、お酒だと酔っ払いにという感じで影響を大きく受けている。
炎に関して大きな変化が無いのは、炎の素材というのが他と全く違うからか。炎だけが現象が具現化している。
「炎や光、闇なんかは土水風とは別なのかもしれないですね」
「というと?」
俺の言葉にスレイが反応した。俺は手短に思いついた事を話す。
「素材の有無です。炎や光、闇は元となる素材が無くて、熱量が高い、光が強い、闇が濃いといった量の多寡はありますが、元となる素材はありません」
「それは確かに……」
「風の精霊が重力変化で強くなりましたがそれは特例で、風の場合も素材による影響がでます」
俺は焚き火の側により、炎の上に空瓶を逆さにして空気を集める。
「本当はもっとちゃんと集めないと駄目でしょうが……」
俺は集めた気体から風の精霊を呼び出す。実験なので上位ではなく妖精スタイルの精霊だ。
呼び出された精霊は少しのっぽで色はややくすんでいる。
「確かに普通のモノとは違うようですが」
そう呟くスレイ達の前で焚き火へと移動させると、その炎が弱くなり消えた。
「なるほど、二酸化炭素を多く含んだ精霊ね」
カレンさんが俺の意図をわかってくれた。
「このように素材によって風の精霊にも変化が出ます。あと追加で思ったのは純度も大事なのかなって」
「純度?」
「はい、インゴットから呼び出した精霊と鉄鉱石から呼び出した精霊となら、インゴットの方が強かったんじゃないですか?」
「ああ、その通りだ」
「この子は二酸化炭素が多めではありますが、強さにはあまり影響がないでしょう。また熱されて密度は薄くなっているので、弱くなっている可能性が高いです」
ややのっぽで召喚されたのは、熱で膨張した空気を集めて召喚したから。膨張した空気は、含有する分子が減るので、重力操作で生み出したものとは逆の状態になっているはずだ。
俺は所持袋から瓶を取り出して地面に置く。
「誰か普通の風の精霊を呼んでください」
そういいながら俺は、一酸化炭素で生み出す精霊。いっさんを召喚した。
通常よりもくすんだ緑の精霊。通常のモノと比べるとよく分かる。
「そちらから仕掛けて戦闘してみてください」
「わかった」
攻撃を受けたいっさんは自動迎撃を開始。先にダメージを受けて不利なはずだが、あっさりと逆転して倒してしまった。
「強いな……」
「あまり近づくと危険ですよ」
修正を受けて緩和されているが、いっさんに近づくと継続ダメージを受けてしまう。
「何? うぉ、俺が下位精霊にダメージを受けるのか!?」
ダメージ自体は微々たるものだが、グレイコフ大佐が驚く。普通に攻撃されたらダメージは受けないのだろう。
「この子は一酸化炭素を抽出して作った精霊です。実は修正が入って弱体化してます」
「高レベルプレイヤーにダメージが入るのに、修正後……だと?」
グレイコフ大佐は驚くが、それは単にプレイヤーだからなのだろう。
「今受けたスリップダメージは仲間に対するペナ判定だからだと思います。レベル差のある敵に対しては入らないかと」
「ああ、そういうことか」
「修正前は、呼び出した途端、自分が死にました」
懐かしい思い出だ。
「同レベルの敵なら魔法で一撃、近寄るだけでもほぼ即死という性能でした」
「チートかよ!? ってあれか、異様に早かった闘技クエ」
シゲムネも思い出したみたいだ。
「うん、あの時のタイムが目立って修正されたみたい。タイムのスコアもリセットされてたし」
ついでに詫び金も貰えたのだが、それは報告する必要はないな。
「ということで精霊召喚に素材が関係していると思われるのは、土水風。水に関しても素材を変えると強化される可能性はあるかと」
「でも海水は弱く、お酒は使い物にならなかったわ」
水系のエキスパートであるカレンさんは色々と試行したのだろう。
「海水もお酒も純粋じゃないんです。海水は塩分を含め、色々とまざってますし、お酒も飲み物とされるのはアルコール濃度が低いはず」
「もっとアルコール度数の高いお酒なら結果が変わる?」
「可能性はあるかなって」
面白い、やってみようとオークションに走る一団があった。
「ケイちゃん、アナタ何者?」
「私はただの錬金術師ですよ」
「なるほど、魔術師じゃないアプローチな訳だ」
魔術研究連盟では、魔術師自身をいかに強化するかの研究が多かったらしい。
魔力と魔法の威力の関係や、属性ごとの威力の強化など。フレアストーンによる火力増加などはグレイコフ大佐が発見した方式らしい。
そんな話をするうちに、オークションでウォッカやテキーラを仕入れてきた人達が帰ってきた。




