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ドレイク迎撃戦

「次っ!」

 シゲムネが目標となるドレイクへと蛍光色の矢を打ち込む。セイラがターゲットを保持しながら奮戦している相手だ。

 その間にホノカちゃんは回復魔法を受けて、体力を回復させる。万全の防御を固めたタンクでも、連続でダメージを受ければあっさりと倒されるほどの威力。

 回避すべき攻撃と、盾で防御すべき攻撃があるみたいだ。それを間違うと、大きく体力が削られる。

 ドレイクは今まで俺が戦ってきた敵の何倍もの強さを持っていた。

 それが四方から這い寄ってくる。十人ほどの後方火力を集中しても簡単には倒れない。

 タンクも絶えず緊張しながらの防御を繰り返していて、疲れが出るとミスも増えてダメージが増える。そうするとヒーラーによる回復が間に合わなくなってきて、ジリ貧に追い込まれつつあった。

 俺は上位精霊に攻撃目標を指示しながら、自らも魔法を唱えて攻撃する。

『四方から攻められているのを、三方に減らせたら……』

 各タンク、ヒーラーへの負担は減るだろう。しかし石柱の間隔はまばらで、一本倒した程度では進行を阻害するほどではない。

「あっ……」

 忘れてた。俺にはタンクの代わりになる戦法があったんだった。


 攻撃指示していた上位精霊を一旦消して、懐から空き瓶を取り出す。

 その瓶を中心に重力魔法を発生させて空気を圧縮、そこから上位精霊を呼び出した。

 アラビアの願いを叶える精霊のようなマッチョな上半身をもった上位精霊は、上下から潰されてデフォルメされたデザインで現れた。

「何してる、ケイ!」

 攻撃に参加してなかった俺に気づいたシゲムネから声が飛ぶ。

「タンクの一角をこいつに替えてみる」

 デブマッチョな上位精霊をホノカちゃんのフォローに向かわせた。


 休憩中のホノカちゃんに早くも近づきつつあった新たなドレイクへと、ノックバック攻撃を仕掛ける。

「アゴッン」

 間抜けな声と共にドレイクがノックバックを越えて弾き飛ばされた。

 仰向けにひっくり返り、短い足をジタバタさせて起き上がる。再び這い寄ろうとした時には、上位精霊の次の魔法が準備できていた。

 再びひっくり返りジタバタするドレイクを見ながら、ホノカちゃんに声を掛ける。

「ここはアイツが抑えるから、セイラ達のフォローに回って。休んでからでいいから」

「はいっ」

 休んでからでいいのに、ホノカちゃんは慌ててセイラの方へと向かっていった。


 タンクを三箇所に絞った効果はすぐに出始めた。ヒーラーの負担が減って回復が間に合い、タンクが交代で休める事でミスが減り、受けるダメージ自体も減った。

「弓兵、アソコの腹を見せている奴に一斉射」

 表面が固いウロコで覆われたドレイクに、なかなか有効打の与えられなかった弓矢組。

 上位精霊によってひっくり返されたドレイクの柔らかい腹に、次々と矢が打ち込まれた。

 こうしてダメージリソースも増えたことで、殲滅速度は一気に上がっていった。

 徐々に出現する数が減っていき、ついにドレイクは姿を現さなくなる。

「よし、枯れたな」

 シゲムネの声に一同から安堵の息が漏れた。


 しかし、対アースドラゴン戦が終わった訳ではない。他の戦線へと援護に回って、最終的には弱点ポイントへと向かわなければならない。

 少し休憩して準備を整えてから、他の場所へ移動することになった。

「あれは何だ?」

 『無名の勇者』からの助っ人組がデブマッチョな上位精霊を見ながら首をかしげていた。

「ケイの秘密兵器さ」

 なぜかシゲムネが自慢げに話してしまう。

「え、どういうこと!?」

 そのために男に詰め寄られるという歓迎しない状況になった。重力操作で空気を圧縮して、そこから召喚することで密度の濃い精霊が出ることを教える羽目になった。

 有名クランに教えれば、情報は一気に拡散していくだろう。これで俺の優位性が一つ消えるかな。



 他の戦線へと援護に行くと、俺達が戦っていた以上に乱戦になっていた。前衛、後衛の距離が詰まり、敵味方入り乱れての攻防。

 後衛も熟練プレイヤーは、ドレイクの攻撃を避けていくが、不慣れな者はすぐに倒されていく。

 タンクが倒れると一気に崩壊するので後衛の回復は後回しになる。自前のポーションで回復するが間に合わず、そのまま戦闘不能に陥るプレイヤーがほとんどだ。

 そうなると敵を攻撃する人数が減るので、殲滅速度も落ちて被害が広がる。

 俺達が駆けつけた時には壊滅寸前に陥っていた。


「まずは陣形の立て直しだ。ケイ、まずは中のドレイクをはじき出してくれ」

「わかった」

 シゲムネの指示を受けて、上位精霊でドレイクを飛ばしていく。目の前のドレイクがいなくなって呆気にとられるプレイヤーを、シゲムネが声を出してまとめ上げていく。

「あいつ、凄いな。武将気質だったとは」

 そんな事を思いつつ近くにいたクリスちゃんに、風の召喚魔法を使える人を探すように伝えた。

 3人のプレイヤーに重精霊の呼び出し方を教えて、俺が圧縮した空気から精霊を呼び出してもらう。

 頭数の増えた重精霊は、次々とドレイクを押し出し、壊滅寸前の戦線を立て直す。

「攻撃要員を回復して。弓隊はひっくり返ってるのを集中!」

 すでに戦闘をこなしていたチェリーブロッサムの面々が、率先してドレイクの殲滅を行っていく。

 タンクが増えて、上位精霊によるコントロールも加わり、敵味方入り乱れていた状況から、陣形を立て直す事に成功した。

 そうなれば初期より楽な状況での狩りになっていく。

 尻尾付近よりもドレイクの数は多い。しかし支える盾が増えたので、迫りくるドレイクを防ぎ、確実に仕留めていくことができた。

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