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アースドラゴン討伐戦

 盆地にその身を晒すアースドラゴン。遠目に見るとその大きさは実感しづらかった。

 しかし、いざ近くに寄ってみると、そびえ立つ岩山がモンスターだと理解するのを拒否したくなる迫力だ。

「尻尾班、ついてきて」

 チェリーブロッサムの面々とは一旦別れて、甲羅に登るメンバーで固まる。

「甲羅に登るまでは、ドレイクも居ないから、振り落とされないようにだけ気をつけてね」

 先導役の魔導師が、班員を見ながら声を掛けた。

「メイフィ、お願いね」

『任せる、です』

 一声、コンと鳴いて返事をしてくれた。


 頭側に回った勇士が寝ているアースドラゴンを起こす。わざわざ起こさなくてもと思うが、静から動に移る時がもっとも激しく身を動かすらしい。

 岩山に見えた巨体が動き出すと、背中の甲羅部分からガラガラと石が降ってくる。

 なるほど、あれに巻き込まれたら大事になるな。


「それじゃ、行くからついてきて!」

 落石が一段落したところで、先頭の魔導師がドレイクに跨がり駆け出した。

 周囲の皆もそれぞれに手綱を握り、順番を待つ。

「ケイちゃん、どうぞ」

 近くの白ローブに突然声を掛けられびっくりしたが、メイフィは気にも掛けずに走り出した。

 鐙の足の掛かりを確認しながら、鞍の持ち手を握りしめる。

 尻尾の平らな部分の幅は2mほどしかないが、メイフィは軽快に駆け上がってくれる。自分で操作しながら駆け上がるのは難しそうだ。

 周囲のプレイヤーもかなり必死なようで、身を伏せながら一心に手綱を操っている。

 30m程の尻尾を一気に駆け上がると、少し開けたところで先行した一団が班に分かれて集まっていた。

「ケイちゃん、こっちー」

 飛行魔法で先行していたアイリちゃんが呼んでくれて、そちらへと合流。クリスちゃんや他のメンバーも次々にやってきた。

 前衛などの筋力登攀組はもう少し掛かるようだ。


 メンバーが集結する間に、飛行魔法で偵察に回ったメンバーが、ドレイクの分布を報告する。

「当然だが、弱点のある首の後ろ付近が最も分厚い。あとは純粋に広さのある甲羅中央。尻尾付近は最も少なく、今は後ろ足付近にいるドレイクを遠距離から殲滅しているところだ」

 『無名の勇者』のサブリーダーが状況をまとめて連絡してきてくれていた。なるほど、登攀組が登ってくる辺りの掃除も必要だったのだ。

 その辺は熟練のプレイヤーが受け持ってくれているので、後はセイラやシゲムネが合流するのを待つ。

「アースドレイクの弱点は、風魔法。物理攻撃は効きにくいが、腹は比較的柔らかい」

 攻略情報も揃っているし、プレイヤーの数もかなり多い。クリアするのもそう難しいことではないように思えた。


「合流っと、他の班は全員揃ってるわね?」

 殿(しんがり)を登ってきたソニアさんが、集まっている面々を見ながら確認した。

「そいじゃ、勇者クランに報告してくる。もう少しで開始だから、防御魔法とか掛け始めておいて」

 ソニアさんの言葉に、それぞれに準備を開始。私も風の上位精霊を召喚しておく。代わりにメイフィは、送還してパーティから解除。自宅の方に転送されているはずだ。


 タンクの四人が四方に散って、中央に後衛が固まる。近接攻撃のアタッカーがそれぞれのタンクのサポートに付いている。

「遠距離部隊は一体ずつ確実にいくよ」

 シゲムネは蛍光色の矢を用意している。それが突き立ったドレイクを優先して火力を集めるのだ。

 そうこうするうちに、ソニアさんが帰ってきてホノカちゃんの側に立つ。


「それでは攻撃開始!」

 『無名の勇者』クランのマスター、アッバスの声が辺りに響いた。

 アースドラゴンが僅かに身震いするのが、足に伝わってくる。

 近場の岩に登ったシゲムネが、周囲を見渡して声を出す。

「POP確認、くるぞーっ」

 シゲムネが指差す方は、ホノカちゃんとソニアさんの居る方だ。ホノカちゃんは緊張した面持ちで盾を構え直す。

「リラックスしろよ、危なかったらフォロー入れるから」

 ソニアさんが声を掛けている。

 その目の前にドレイクが姿を現した。茶色のイグアナ系トカゲ、亀のようなアースドラゴンよりもドラゴンらしい姿をしている。

 長く伸びた爪を周囲の岩に食い込ませながら這い寄って来ていた。全長は5mほどで、頭の高さはホノカちゃんよりも上にある。

「他の三方からも来ているから、タンクとヒーラーは準備して」

 セイラには『無名の勇者』からの助っ人ヒーラーがついている。


「うらっ」

 最初の一撃はソニアさんだった。踏み出そうとした前足を、横に払う。

「ちょっ」

 シゲムネが慌てて蛍光色の矢を放ち、ホノカちゃんがターゲットを奪うアクションを発生させる。

 そこから一気に乱戦の様相を呈していくのだった。

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