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VRMMOでネカマプレイ日記  作者: 結城明日嘩
はじめようALF
33/87

告白とお風呂建設

 翌日の朝もセイラさんのところで、朝食を頂くことになった。今日は中華なのだろうか、肉まんのような物が、小ぶりだか色々と揃っている。それと卵スープか、他にもサラダなどの野菜類も揃っている。

「朝にしてはベビーな感じですね」

「食べてみると、そうでも無いわよ」

 ケイの小さな手のひらよりも小さく、二口ほどで食べられる。皮はそこまで厚くなく、具も肉よりは野菜が多めなのか。

「確かに軽く食べられそうです。この卵スープとも合いますし」

「でしょう?」

 セイラさんは自慢げな微笑みを浮かべて、俺の食べる様子を見ていて少し恥ずかしい。

 まんじゅうの具材も何種類が用意されていて、タケノコのシャキシャキしたのとか、白菜が多いの、ニラをベースなどなど、量を飽きさせない作りだ。

「朝ごはん作りたくなるでしょ?」

「んぐっ……ま、まぁ」

 こんな朝ごはん作ってくれる彼女が欲しいとは思ったが、自分が作る立場ならたまらないかと思い直す。

「ある程度までは準備しておけるから、朝は蒸すだけで食べれるのよ」

 セイラさんはそんな朝を過ごしているのかと、関心しなおした。


 人心地ついた頃、セイラさんはお茶を煎れて、座り直すと改めて口を開いた。

「あ、あのね、他の人から変に伝わると困るから、先に告白するんだけど……」

 少し歯切れが悪そうな様子に、疑問符が浮かぶ。何のことかと想像を巡らせる前に、セイラさんは続けた。

「私ね、以前女の子と付き合ってた頃があるのよ」

「ふぁ?」

 変な声が出てしまった。姉御肌な部分はありつつも、女子力も高いセイラさん。異性だけでなく、同性からも好かれるのは分かる話だ。

「最初は向こうから告白されて、一緒に過ごすようになったんだけどね。まあ、結果は私がフラレて終わったのよ」

「え、えっと……」

 明確に付き合った経験のない俺としては返答に困る。

「なんか引っ張って欲しかったみたいなんだけど、私はあんまりそういう経験もなくて、思ってたのと違うって感じで」

 それだけ聞くとなんて勝手なと思うが、当事者同士では印象も違うかもしれない。その事に関してはノーコメントの方がいいだろう。

「でね、その、こうしてケイちゃんと過ごしてるのは、下心があるからとかじゃ、無いから安心してね」

「え、あ、はい」

「その子の事を知ってる昨日のソニアとか、たまにからかってくるけど、私から女の子を口説くとかはないからっ!」

「わ、分かってます。大丈夫です」

「私だって、ちゃんと男の子の方が好きなんだからね」

 そこまで念を押さなくても大丈夫だ。ケイへの接し方は、普通だと思う。

「ただ、その、ケイちゃんが気にするなら、その辺はわきまえてるから」

「私はセイラさんといるの楽しいですよ。色々と教わる事も多いですし、私の方こそ迷惑掛けてないか不安です」

「ふふ、ケイちゃんは本当に優しいよね。ただどこで恨みの篭った中傷になるか分からないから、ちゃんと伝えないとと思ったの」

「そう……ですね」

 セイラさんは色々と秘密を打ち明けてくれている。そんなセイラさんに俺はずっと嘘をついている。その事が心にトゲとなって刺さっている気がした。

「あの、セイラさん。私もセイラさんに言わないといけないことが……」

 言うなら今しか無いかと決意した時、セイラさんの家の扉が叩かれた。

「すいません、ケイいます?」

 シゲムネが風呂の工事に訪れ、告白の機会を失ってしまった。


「いやぁ、カナエちゃんがさ、ケイの事をかなり意識したみたいでさ」

 大工作業を手伝いながら、惚気を聞かされる羽目になっていた。

「結構色々な話をできたのよ。ありがとうな」

「何? 嫉妬させて仲を深めようとか思ってたのか」

「いや、そんなつもりは無かったよ。結果論だって。最初は単に甘いものが苦手だから、助っ人が欲しかったんだよ」

 まあ、それはそうだろう。悲しいことに俺も紹司も恋愛経験は乏しい。そんな駆け引きじみた事はできないだろう。

「カナエちゃんだと思ってたけど、年上みたいでさ。OLさんらしいのよ、何か俺の方が恐縮しちゃうというか……どうしたらいい?」

「いや、俺に聞くなよ」

「お前なら乙女心も男心もわかるのかと」

「俺はネカマなだけで、オカマじゃないんだ。分かるわけ無いだろ。しかも大人の女性とか未知の生き物だよ」

「セイラさんはどうなんだよ」

「お酒も飲んだこと無い未成年とは言ってたけど」

 改めて考えると、年下の可能性が高いのか。色々な知識が豊富で、年上かと思ってたけど。まあ、男の知識と女の知識の違いか。そう考えると、早くネカマと告白しないと、先にバレる可能性は高いじゃないか。


「よし、次そっち押さえてくれ」

 シゲムネはしゃべりながらも作業をしっかり進めていて、大工として食っていけるんじゃないかと思わせるほどだ。

 木の浴槽を楔で固定していき、ガタツキがないかを確認していく。

「うし、こんなもんだな。ガラスはまだなんだよな」

「ああ、大きくするにはドンドンスキルが必要みたいで」

 60cm四方で詰まっているが、窓にするには90は欲しい。もしガラス戸にしようとすれば2mほどが欲しいわけで、あとどれだけのスキルが必要なのか。

「システム合成じゃなく、溶かして固める方法を探した方が早いのかなぁ」

「よくやるなぁ、そんなの。スキル上がればできるなら、上げたほうが早くねぇの?」

「今のペースじゃ中々難しそうだからね」

「とりあえず今は木の雨戸だな。開ければ、庭も一望できる」

 何本かのレールの上に、雨戸を載せていき、スライドさせると一箇所に重ねられるようになっていた。

「閉じれば中は見えないし、開ければ開放感がでる。学生には贅沢な風呂だな」

「学生じゃなくても、そんな風呂を家に持つ人は富豪だろ」

 浴槽以外は敷石を埋めて、その上にスノコを並べていく。

「予定してたのは、こんなところだが、他に何かいるか?」

「あ、水をどうやって引くかかな」


「井戸から汲み上げるのは、精霊の力でやれたから、後はそれを家に引いて貯めておくのがいいか」

「水瓶か桶かを置いて、そこを貯水槽にするのがいいだろうな」

 精霊によるストロー式の吸い出しで、一回高い位置まで上げて、そこからパイプで家まで引いて、桶へと貯める方向で決着。そこから、浴槽へと注ぐ部分には蛇口を付けて、水量を調整できるようにした。

「意外といろんなものが、オークションで出品されてるな」

「ハウスコンテストとかもあるらしいからな。凝る人は一定数いるんだろう」

 建物の出来をプレイヤー投票で決める大会があるそうだ。その上位に食い込めば、運営から賞金と次回に向けて欲しい素材の要望を出せるらしい。

「建築も奥が深いな」

「下手な図面作成ソフトより、具体的な図面が引けると、建築デザインで使用されることもあるらしいぞ」

「ALFの運営はどこへ向かってるんだ……」

 最終的には地球規模の環境シミュレーターになるんじゃないかと思ってしまう。それほどに色々な要素が、詰め込まれている。

「何にせよ、これで今日の分は完成だな」

「ああ、早速お湯を張ってみるよ」

 四畳半ほどの広さの浴槽に水を貯めながら、そこに普通より熱くなる懐炉を設置。しばらくは時間が掛かるだろう。


「じゃあ、水着を買いに行きましょうか?」

 セイラさんが提案してきた。

「水着……ですか?」

「シゲムネくんと入るのに、裸はまずいでしょう? 下着も変だし」

「いやいやいや、シゲムネと混浴なんて考えてないですよ」

「何を言ってるの。シゲムネくんがいないと実現できなかったでしょ? なら一番風呂を共有させてあげないと」

 セイラさんの意思は固く、お湯を張る時間で水着を買いに行くことになった。

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