週末の準備
大学で紹司に昨日頼み忘れていた事を伝えた。
「アクイナス屋敷?」
「紹司は知らないのか。追加されたダンジョンなのかな? 錬金術師のダンジョンらしい」
「行ったことのないダンジョンは楽しみだが、そのオタク二人は大丈夫なのか?」
「下心はあるだろうけど、そこまでの度胸もなさそうだからな。お前が一緒に行ってくれれば、無茶はしなくなるかなって」
「……まあ、男がいる女の子に手を出す度胸はないな」
自分を省みて紹司も納得した。
「それより、このところずっと俺の家に来てるが、自分の家はいいのか? 彼女がいるんだろ?」
「彼女というか、何というかだけどな。ライトプレイヤーみたいで、平日はログインしてないし、週末も入り浸るほどじゃないから、時間はあるよ」
女の子プレイヤーは、現実ではやりにくいファッションやスイーツのハシゴなんかをするらしい。
セイラさんのような、かっつりダンジョンを攻めるプレイヤーは少ないらしい。もちろん、お金を稼いだり、アトラクションとして楽しむ程度には、やるのだろうけど。
「じゃあ、そっちの都合教えてくれたら、それに合わせるよ」
紹司とその同居人の予定を聞いてから、それに合わせる事にした。
大学から帰り、ログインして錬金術のスキル上げを行う。ダンジョンに行くなら、攻撃用のアイテムを用意するか。トライコアを作れるだけ作っておく。次はヘキサコアとかになるのかな?
起動時間を調整して投げれるので、応用は利くようになっている。
「ジェイクが投擲スキルとか言ってたな。それがあると投げるのが安定するんだろうか」
面倒だからいいか。誘爆させれば範囲攻撃になるし、威力も上がるみたいだしな。
「あとメイフィは連れて行きたいけど、その間の家の守りをどうするかだな」
セイラさんに渡した法師丸とスライムも順当に育成されていて、うちのスライムと合わせれば盗賊の迎撃はできるだろう。
ただアタッカーがいないと、殲滅が遅くなる。思わぬ被害を受けるのは避けたい。かといってこれ以上ペットを増やすのも面倒な事になりそうだ。
「ゴーレム系が作れたら良さそうだけどな……アクイナス屋敷には敵として出てくるらしいけど、レシピとか落ちてないのかな?」
紹司は知らなかったが、一年ほど前に追加されたダンジョン。一通りの攻略は終わっている。
錬金用の素材として、錬金石というのが手にはいるらしい。賢者の石ではないのだが、合成の際に混ぜると品質が上がるらしい。
もしかすると出てくる敵の核があれば、ゴーレムもできるかも知れないが、その報告はなかった。
「そういえば、スライムの素材を変えたことは無かったか」
ゼラチンと魔法生物の核で作られたスライム。そこに更なる素材を加えれば、攻撃用スライムになるのかもしれない。
ベタなところだと、毒を加えたポイズンスライムとかか。ゼラチン自体を硫酸とかに変えてみるか?
素材を変えて合成を試みるが、反応はなかった。毒のポーションを加えてみても、上手くはいかなかった。
「属性の追加は石系統の何かなんだろうか。毒の石とかオークションでは見なかったな」
答えが出なかったので、先に庭の段取りを整える。バラの垣根は家具の一つとして出品がされていた。後は芝生とか、植える花をいくつかピックアップ。
正方形の敷地にL字に風呂場を作る予定なので、残ったスペースに庭を造る。セイラさんの畑と俺の家と接する二辺に垣根を立てて、囲まれた部分に芝を植える。
まずは菜の花系の植物を植えることにした。油が採れれば、合成に使えるかもしれない。
植えてすぐに出来るわけじゃないみたいなので、二、三日様子をみるかな。
次に大ガラスの生成に再挑戦。ガラス二枚を合成してみると、30cm四方だったガラスを45cm四方にまで引き延ばせた。
「よし、割れなかった」
以前失敗して割れたが、二枚は作れるようになった。
ガラス四枚で60cm四方になるはずだが……失敗。さら大きく作るにはもっと技術がいるみたいだ。
もしくは実際に溶かして固め直す方か。この世界だと耐火魔法なんかで補強すれば、ガラスの融ける温度にも耐えれたりするんだろうか。
「そういえば、しばらく魔法を買ってないな」
魔術師ギルドの方で覚えれる魔法を調べてみる。風の召喚魔法と、炎の魔法はそれぞれに上位の魔法を購入できた。あとさっき気になった耐火魔法。それと水の初級魔法も覚える。
魔法が増えるとショートカットに設定できる数も決まっているので、それ以外の魔法を使おうとすると、呪文を口に出す必要も出てくるのか。
ジェイクは杖で殴りながら、回復魔法を使うのに呪文を唱えていたが、魔法の種類が増えるとどちらにしてもショートカットから使っていられなくなるのか。
「まあ、俺はメイン錬金術師だし……」
呪文を使うのは先延ばしだ。
そこまで進めて一度ログアウト。夕食などを済ませることにした。




