小さな仲間たち
学校でも間取りを考えている紹司は、デザイナーにでもなるつもりなのか。俺はとりあえずお湯を沸かせることは分かったので、他のことをやることにした。
「小動物のモンスターの核に生肉、ウサギの毛皮っと……生々しいが進めていかないとな」
隣家を買ったことで、グレード1のゲージがかなり進み、一日に襲ってくる盗賊の数が増えていた。俺がログインした時にはスライムのHPが多く減っていた。このままだと倒されてしまいそうだ。
そこで二匹目の番犬を作ることにした。
錬金釜に素材をセットして、メニューから合成を開始。スライムからかなりスキルは成長したはずだが……結果は毛玉ができていた。
「何だこれ?」
もぞもぞと動いたそれは、耳の無いウサギというか、下半身の丸いネズミというか。丸々として白いふわふわな物体だった。丸まっているとどちらが前かも分からない。
作成できたペットなので、種族名が表示されていた。
「マルミミウサギ……ふむ」
そのまんまな名前だ。顔も毛に埋もれていて可愛いのかどうかも分からない。
とりあえず庭に放しておくか。スライムは買った家の掃除中だしな。ウサギなら草食か。セイラさんは料理するみたいだし、野菜くずとかないかな?
「な、何この子!」
「マルミミウサギと言うそうで」
「モフモフ!」
セイラさんはかなり気に入ったみたいだ。野菜くずをもらいに来たのだが、しきりに撫で回している。
「これ、餌食べる?」
「分かりません。多分草食なんで、野菜の切れ端何かがあれば……」
俺の言葉が終わる前に所持袋から、人参を取り出して先っぽをマルミミウサギに近づけていた。
丸かったウサギは、ようやく鼻のようなモノが伸びて、ひくひくと人参を匂う。そのまま、先端からかじり始めた。
「ふわ~癒される~」
「そ、そうですか」
「うち、ペット禁止だから飼えないのよね。こっちなら、好きに飼えるのか……」
「良ければプレゼントしますよ」
「え、いいの!?」
「はい、ちょっと思ってたのと違うみたいなので……」
この動物では番犬代わりには使えそうにない。
「わかったわ、私が責任を持って育てる!」
セイラさんが喜んでるし、成長がどうなるか楽しみではある。スライムも何だかんだでかなり大きくなってるしな。
俺の方は家に戻って、ペットの再検討だ。ウサギの毛皮に生肉で、あんな感じになった。素材と生まれるモノは関連があるみたいだ。
ならばもっと番犬向きの素材を混ぜたらどうか。狼の毛皮に、獣の牙、オマケでフレアコアも混ぜたらヘルハウンドとか出来ないでろうか?
素材はオークションでも安いし、試してみよう。
俺は買ってきた素材を錬金釜にセット。どうせなら魔力調整で、多くの魔力を込めて合成してみる。素材のレベル的にトライコアは行き過ぎになりそうなので、ノーマルのコア。魔力を込めることで、より強力な炎が出せるようになるのを期待する。
果たして……合成開始。
え、何だ、光がたくさん収縮して……眩しい光が辺りに広がり、現れたのは子犬だった。赤毛のころっとした感じの生後間もない子犬。頬の辺りは少し白い毛が混ざり、ふぁっと欠伸をしたところで炎が渦巻いた。
「これは……可愛い」
恐る恐る頭を撫でると、目を細めて手に頭を擦り付けてくる。コリコリと額辺りを掻いてやりつつ、錬金釜から取り出した。ふわふわとして温かく、重さはさほど感じない。
「ええっと……幼狐? 妖狐の子供、狐火を使う魔獣。ヘルハウンドではなかったけど、可愛いのでよし」
犬科は雑食だろうか、肉食? まだ幼いからミルクがいいのか。しかし、牛乳はお腹を壊すとか聞いたよな。動物を飼う知識に乏しいことに愕然とする。
「確か動物を飼う為のスキルもあったよな」
調教か何か。習得にいかないと駄目だな。セイラさんを誘って、調教ギルドへと向かった。
調教ギルドは街の中心部ではなく、郊外に牧場のような場所にあった。
「動物を飼うコツは、愛情を持って接することです」
ギルドの調教師が指導してくれる。食事の世話が主だが、命令の聞かせ方や体調管理、病気への対処法など一通りの知識が得られた。
セイラさんもすっかりマルミミウサギと仲良くなって、輪くぐりなどを教えていた。
俺の幼狐は、獣用のミルクを飲んで、すやすやと眠っている。
「その子も可愛いわね。犬? 狼?」
「狐みたいです」
尻尾が太く、先が白くなっている。
「ふうん、そのうち猫も欲しいわね」
「猫ですか、確かに」
本来の防犯よりも、ペットを可愛がる方がメインになりそうだった。




