錬金術と採掘と
昼からは採ってきたケイ砂でガラス板を作っていく。特に工夫することもなく、淡々と作業を繰り返していると飽きてきた。
オークションへスライムの材料を集め、ふと気になってので、次の人工生物のレシピを確認。
「小動物モンスターの核、生肉、ウサギの毛皮……一気に生々しくなるな」
生肉って何の肉なんだ。ウサギをベースにしたふわふわ動物は魅力的なんだけどな。
他に作ってないレシピとしては、紙やインクといった雑貨か。紙は植物から繊維を取り出して作る。インクは黒には煤、他の色は鉱石を砕いたものを使うらしい。
それぞれ初級のレシピ用素材は安いので、そちらを購入。まずはこの辺を作ってみよう。
そういえばと思って、錬金術師のところに寄ってみる。
「ふむ、更なる研鑽を積んでいるな。では、次の課題を与えよう。フレアコアを使った汎用レシピだな、マインを作ってみろ」
やはりかなりスキルが上がっていたので、次の課題が出された。しかし、地雷か、色々と使えそうだな。
フレアコアにブロンズインゴットを組み合わせるだけで作れる。フレアコアにまだ予備はあるし、一気に作ってしまう事にした。
オークションに戻って素材を買い直し、家に戻って合成。レシピのランクとしては、問題なく作れそうだ。
錬金釜に素材をセット。メニューからの合成だ。光るエフェクトが出て、しばらく待つと無事に完成した。
出来上がったのは平たい円盤状の物体。中央部がスイッチになっていて、ここを踏むと爆発するようだ。
「これがあったら、襲撃対策にもなるだろうか?」
グレード0でいるためには、他の家具を片付けないと、新たな家具は置けない。グレード1の襲撃を迎撃できれば、もう少し豪華にできるんだけどな。
「とりあえず、マインを錬金術師に見せるか」
「うむ、合格だ。これは踏んだら発動するタイプの爆発物で、トラップとして設置する。例えば侵入しやすい窓の下などに置くと効果的だ」
丁寧に使用法を教えてくれた。ここがスラムだから、そのチュートリアルという部分もあるのだろうか。
「一度仕掛けてグレードを上げてみようかな」
家に窓を設置しないと駄目だけど、シゲムネはログインしてないのか。セイラさんは知ってるかな?
訪ねて見ることにした。
「いらっしゃい、まだまだ適当なレイアウトなんだけど、どうぞ」
セイラさんの家もかなり作業が進んでいた。穴の空いた箇所は修繕され、ベッドやクローゼット、テーブルやイスなどの住環境が整っている。特に台所周りは、システムキッチンの様になっていて、合成ではなく料理ができるようだ。
「かなり綺麗になってますね。ちょっと質問があったんですけど、この窓ってどうやって設置するんでしょう?」
部屋の奥に木製の窓が設置されていた。セイラさんは木工スキルを持ってないはずだったので、スキルなしにできるはずだ。
「これはオークションで買ってきたのを、壁の辺りに使えば綺麗にはまるのよ」
そういいながら、セイラさんは窓を一度外して、付け直して見せてくれた。窓を外すと壁になるのがゲーム的で不思議な光景だった。
「なるほど、そうなってたんですか」
「家の裏側にも土地はあるみたいだから、そちらに出る扉を作った方がいいかもね」
「そ、そうなんですか。知りませんでした」
ドアと窓を用意しよう。
オークションで窓とドアを買って、早速設置。すると確かに裏庭的なスペースがあった。家の壁から1mほどの範囲だが、プランターなどは置けそうだ。
隣の家とは境もないので、こちらからもセイラさんの家に行けそうだ。隣家から遠い方に窓を設置し、その下にマインを埋めてみる。
あとは裏庭は雑草にまみれていたので、スライムを放しておいた。
「裏庭か……裏の家を買って潰せば、畑にできたりするのかな?」
運営から入金された5万Gがあって、少し懐も潤っている。さらに鏡も2枚ほど売れていたので、資金的な余裕はできていた。
問題はグレードだな。窓とドアを設置したので、1に上がって盗賊の襲撃が発生するようになっている。その強さがどんなものか。マインで倒せるなら、大丈夫そうだが倒せて一人か。
我が家で最も高価な錬金釜は、所持品の方へ片付けて様子を見ることにした。
「そういえば、錬金術師から新しいレシピ本をもらってたな」
家の改装に気を取られてまだ見てなかった本を開く。
「コアを三つ分合わせたトライコア、威力が小から中に上がってるな。トライコアをベースにしたマインや、煙幕、音響爆弾など威力や範囲が広くなってる……これって錬金術なのか?」
あとは人肌くらいの温度が持続する懐炉、高火力のトライコンロ、ライターの様に使える火産石があった。日用品だな。
「フレアストーンが数欲しいところか……掘りに行ってみよう」
鉱山の『ボック』へと転送サービスを利用して移動。鉱山に籠もる事にする。
しばらく掘っていると、このポイントで掘れる物のリストが表示されるようになった。銅と錫とフレアストーンの三種類で、フレアストーンは一割ほどの確率だ。
もう少しスキルが成長したら、特定の鉱石を狙って掘る能力が習得されるはず。
今は安価で素材としての価値も低い銅や錫を山のように積み上げながら掘るしかない。スキルが上がるうちに、僅かずつだがフレアストーンの率も上がっていくようだ。
フレアストーンを20個溜めたところで気力が尽きた。これなら鏡を売って、素材を買った方が効率がいい。
採掘スキルは今後の鉱石掘りのためにも上げておきたいが、今日はここまでだな。
単純作業で気力を使った俺は、早めにログアウトした。




