2 なんと美しい
「何も考えてない。」
声に出してしまったかと思った。
「アイリス。フードを脱ぐのじゃ。」
「はぁ。分かった。」
フードを脱ぐ。
兵士達がざわざわしだす。
「何て美しい。」
「お褒めくださり、ありがとうございます。」
褒められても嬉しくない。
ロリばばあは嬉しいかもしれないけど。
「それより、私はどうすればよいのですか?」
一応、聞いておくか。
「あ、ああ。
魔王が最近生まれたようだ。その魔王を討伐してきてほしい。」
「私が聞いていた話とまったく違うのですが。
魔王が住んでいる町に情報収集しにいくのが私の仕事じゃないんですか。
そう、ばばあに聞きましたけど。」
「そう伝えたのか、エルミーヌ。」
「そうでもしないとアイリスはこないのじゃ.....。
本当のことを言えば、ぜっっったいこないと思ったのじゃ。」
「でわ、帰らしていただきます。」
「待て。報酬も用意する。
アイリスの欲しがるものをやろう。」
欲しがるもの?
「それは何でもよろしいので?」
「王位は無理だがそれ以外ならよいぞ。」
「王位などに興味はありません。
研究所が欲しいです。薬草や魔物達の研究がしたいので。」
「ほう。よかろう。魔王を倒したあかつきには研究所をやろう。
出発は明日。今日はここでゆっくりと休むがいい。
城の中は自由に動き回ってくれてかまわん。
部屋に案内させよう。
クラウディオ。」
「はい。」
さっき私にナイフを投げてきた男だ。
「クラウディオはこの国の騎士だ。
何かあれば彼に言えばいい。」
「分かりました。」
へー。騎士様なのか。
こいつからヤバいオーラが出てるけど大丈夫か?
何も起こらないといいけど。
「アイリス様。ついてきてください。」
私は頷きフードを被った。