15 自己紹介
「うるせぇーな!
誰がアバズレだ!お前のその口ふさぐぞ」
睨みつけながら、ゆっくりと近づいて行く。
自称魔王(笑)は私の前に立ちはだかった。
「えっと、えっと!
エンシーも悪気があったわけじゃないのだ!
許して欲しいのだ!! 」
あたふたしながら、
ガバッと頭を下げてきた自称魔王(笑)
謝ったところで、このイライラは収まるはずがない。
私が魔法で氷の刃を作ろうとした瞬間
「な、なにやってるんですが!?」
鮮やかな空色の髪にキリッとした目、
どことなく、色香が漂うとても美しい少年がいた。
「ダリス様!これはどういう状況ですか!?
何故、ムルド様の胴体が鎖で縛られているのです」
あー、やっぱりそこ気になるよな。
胴体はビクビクと今も鎖から逃れようと暴れている。
頭はというとずっと唸ってる。
............うるさい。
「ムルド様、さっきから唸ってうるさいです。
耳障りですよ?ニッコリ」
うわぁー。
こいつの笑顔、怖っ!
顔が整ってるから余計に怖い!!
あれ?でもどっかで見たことあるような...?
「ロ、ロウが怖いのだ!
笑ってるのに怖いのだ!!」
自称魔王(笑)が小刻みに震えている。
他の奴も一緒に震えている。
なんだこいつら。
「ダリス様?何故震えているのですか?ニッコリ
そんなとこで震えないでください。
お客様をほったらかしにしてはいけませんよ。」
ハッと思い出したように私の方を見る。
「ご、ごめんなさいなのだ!
今から城をちゃんと案内するのだ!
あっ!ちゃんとした自己紹介がまだだったのだ!」
スッと私の前に跪いた。
「われはこの国を収める魔王ダリス=ケタマ。
魔物達の頂点に君臨する魔王。
どうぞよろしく。」
チュッと手の甲にキスをおとした。
自称魔王(笑)...ダリスはニコリと笑った。
私が固まっていると
「何をしてるのだ!
4人とも挨拶するのだ!」
自称魔王(笑)はさっきと同じ調子に戻っていた。
「はい。ダリス様。
ダリス様の側近。
ファフニールのサファルです。」
執事服をきたコイツはサファルと言うのか。
ファフニール...?
???
聞き間違いか?
私が悩んでいる間に自己紹介は進んでいった。
「ダリス様の側近。
セイレーンのエンシーです。
あんたなんかにダリス様は渡さないから!!」
フンっと鼻を鳴らしている。
こいつ、嫌い。
「えっとだな、
鎖をそろそろ解いてやってほしいのだ!」
自称魔王(笑)はうるうるした目で見つめてくる。
うっ、頭に耳とみえる見える。
仕方なく、鎖と口封じの魔法をといてやる。
「ぷはっ! 苦しいじゃねぇーか!
仕方なく自己紹介してやるよ!有り難く思え!
ダリス様の側近。
デュラハンのムルドだ。」
ムスッとしている。鎖が余程痛かったようだ。
手や腕に残っている鎖の後を手で撫でている。
そして、綺麗な少年の順番が回ってきた。
「私はダリス様の執事をしております。
ロウと申します。以後お見知りおきを。」
一つ一つの動作がとても綺麗だ。
どこかで見たことがある気がする...。
思い出せそうで思い出せない...。
確かに私はこの顔を知っている気がする。
思い出そうとしえいると、
「で!君の名前はなんて言うのだ!
教えてほしいのだ!」
キラキラした眼差してこっちを見てくる。
うっ、そんなキラキラした目で見ないでほしい...
「私の名前は...」