13 われの城に案内するのだ!
遅くなりました。
すいません。
無理やり腕を引っ張られ、この街の城まで
連れていかれた。
こいつ、なんて力だ!
ビクともしない。
「おい。おい!
いい加減に腕を離しやがれ!
腕が痛いんだよ!!」
はっしとたように、私の腕を離した。
「ごごごごごごごめんなのだーーーーーー!
痛くするつもりは無かったのだ!
われを許して欲しいのだ!」
すごい勢いで土下座をされた。
城の前と言っても人通りが少なくはない。
歩く人の目が刺さる。
うっ、これは辛い。
「や、やめろ!
こんなとこで、土下座するやつがいるか!」
「許してくれるまで、止めないのだ!」
なんという、強情なやつ。
ものすごくめんどくさい。
「わ、分かった!お前を許すから
土下座するのをやめろ!」
人の目が気になって仕方がない!
こっちを見て、ヒソヒソと何か言っている。
一刻も早く止めさせなければ!!
「分かったのだ! 止めるのだ!
じゃあ、われについてくるのだ
城の中を案内するのだ!」
おい。ちょっと待て。
なんで今度は手を繋ぐんだ。
おかしいだろ。
「手を離せ」
不思議そうな顔でこっちをみた。
「???
どーして離さないといけないのだ?
離したら、絶対逃げるから離さないのだ!」
ふふん。と、得意げな顔をしている。
こいつ、バカだ。
バカのために時間を作らないといけないのか?
私は魔王を倒してさっさと、帰りたいのに!!
自称魔王は手を離してくれる様子はない。
これは、諦めて大人しくついて行った方が、
いいのか?
「どーしたのだ?
早くわれの城に行くのだ!」
すごい力で手を引っ張られる。
これはもう諦めるしかない。
~城の中~
「ここがわれの城なのだ!
広くてでかいのだ!!」
あ、うん。それで?
だから何だって言うんだ。
何処にでもある普通の城だろ。
「カッコイイのだ!」
えっへん!という言葉がよく似合うポーズを
とっている。
「うん。すごーい。」
正直どうでもいい。
早く帰りたい。
そう思った時だった。
「あ!ダリス様
おかえりなさいませ!」
執事服を着た若めの男性がどこからともなく現れた。
「あ、サファル!
ただいまなのだ!
いい子に留守番出来たのだな!
偉いのだ。褒めてあげるのだ! 」
と、言ってサファルという青年の頭を優しく撫でた。
青年はとても嬉しそうに...
いや、今にもとろけそうな顔をしていた。
うん。こいつ、何なの?
ツッコミどころがあり過ぎる。
突如現れた少女に突然
「あ、ダリス様
そこにいる、小娘は誰ですか?」
とても、いい笑顔で言われた。
この野郎!!
小娘はお前だろ!ってツッコミたい。
まぁ、ツッコまないけど、めんどくさいし。
「この人は...」