12 我は魔王・・・信じてほしいのだ!!!
ようやく目的地のレストバレンに到着した。
「アイリス、着いたよ!
僕は果物の仕入れに行くけど、一緒に行く?」
スレイヴとは移動中色々な話をして仲良くなった。
故郷の話、果物、野菜の話、レストバレンがどういう所なのか。
ときおり、スレイヴは私を見てとても哀しい表情をした。
その理由は分からないが私のことを知っているようだった。
「アイリス?またボーとして」
大丈夫?と聞いてくる。
「私は町の中を見て回る。
乗せてくれてありがとう。」
「そっか。
じゃあ、ここで一旦お別れだね。
最後まで顔見せてくれないんだね・・・。」
フードはずっと被ったままだ。
素顔を晒すのはあまり好きではない。
「嫌なら無理にとは言わないよ。それじゃ。」
スレイヴは去って行った。
私も魔王を探さなければならない。
手がかりがまったくない。
この町にいることは分かっているが、場所までは分からない。
さて、どうしたものか。
私の前で人がすごい勢いでこけた。
こけた。というより、滑ってきた?
「ううううう。痛いのだ・・・。」
こけた人は膝を押さえてうずくまっている。
・助ける。
・無視する。←
・蹴り飛ばす。
ここは無視することに決めた。
その場から離れるために背中を向ける。
「あ、あれ?助けれくれないのだ。
人間はこういうことをすると助けてくれると聞いたのに。」
ん?人間は・・・。
こいつ人間ではないのか?
声をかけるか。
「大丈夫か?勢いよく転んだが怪我してないか?」
なるべく優しく問う。
キラキラした目で見られる。
「だ、大丈夫なのだ!
我はそれぐらいで怪我はしないのだ!
なんたってこの町を治める魔王だから!」
自信満々に言われた。
おい。自分から魔王って言っていいのか。
いや、こんなマヌケそうなやつが魔王なわけないか。
「あ!
その顔は信じてないのだ!」
信じるほうがバカだろ。
てか、フードで顔みえないだろうが!
思わず、可哀想な子を見る目でみてしまった。
「そ、そんな目で見ないでほしいのだ!
我は本当に魔王なのだ!!!
ついてくるのだ!我が魔王ということを証明するのだ。」
いや、だから顔見えないだろうが。