散歩に苦労はつきもの
金木犀の香りに誘われて、ぶらりぶらりと真昼間から散歩する。
今日は休日ということで、近所の子供たちの姿がちらほらと。
もう半袖では出掛けられないこの季節、僕は染々とそれを実感した。
たまたま目についた公園に入り、近くのベンチに腰を下ろす。
少し肌寒いものの、ここに座ってボーッとするのも悪くない。
悪くはないが、一つだけ気がかりなことがある。
同じように隣に座るこいつに向けて、僕は話しかけた。
「それで、何でお前ついてきたの?」
ちょっとだけムッとした表情になり、あろうことか僕の足を踏みつけた。
「ハァ? なに? 不満なわけ?」
誰もそんなことは言ってない。ただ、何でついてきたのか聞いただけじゃないか。
それなのにどうしてこいつは、いつもながらのわけの分からん自己解釈をするのだろう。
こればっかりは、どうにかならないもんかねぇ……。
「そうは言ってない。ただ、凛子が僕の散歩についてくるなんて妙な話じゃないか? って思ってよ」
もしかしたら、世にも奇妙な話並みに最悪な落が僕をまちうけているかもしれない。
だってそうだろ?
ちょっと前まで引きこもりだった妹が、いつも僕に対して悪態をついてばかりの妹が、健気にも一緒に散歩なんぞをするわけがない。
どう考えても何かあるとしか思えない。
「あたしはあんたの妹なんだから、別におかしな話じゃないじゃん。どこの兄妹もこんな感じでしょ」
妹は真顔で僕にそう言った。
まあ言われてみればそうだけど……。というか、妹が言った通りで、こいつが僕についてくることなんてなにも異常なことではない。
普通に考えればな。
下手したら、もう僕の心はすっかり汚れてしまったのかもしれない。
事ある毎に無意味な疑いを抱えてしまう僕の方こそ、一番奇妙なのだろう。
「そうだな、お前の言う通りだよ。どうにも最近、汚い大人の世界に足を踏み入れる機会が多かったからさ」
加奈子の父親とか。あんな屑人間を目の当たりにしてもなお、純粋な人間でいられる自信はない。
それにしても、今さらながら恥ずかしさで頭が真っ白になる。
あの時、勢いに任せて加奈子に告白染みたことをしてしまったのだから。
そのあと特に、加奈子からとやかく言われたりはしなかった。
それでよしとするべきなのかもしれないが、むしろ、何故なにも言ってこなかったのかが気になってしまう。
頭の中で繰り返し加奈子のことを思い出す。
笑っている加奈子、怒っている加奈子、そして、僕がそっと抱き寄せた加奈子のことを。
「ちょっとあんた、なにニヤニヤしてんの? まじそういうのキモいからやめてくんない?」
いかんいかん、想像していたら自然と頬がゆるんでしまった。
あくまでも妹と一緒にいるのだから、他の女のことを考えるなど断じてならん。
よし……お兄ちゃんスイッチオン!
「そんな怖い顔すんなよ、可愛い顔が台無しだぜ?」
これは決まった。きっと妹は慌てふためいて恥じらうことだろう。
「何言ってんの? まじドン引きなんですけど」
「僕の妹じゃない!?」
「ハァ……? ちょっとあんた大丈夫?」
ジト目で僕を見ながら、呆れ顔をしてみせる。
そんな妹を横目に、僕は様々な思いを駆け巡らせた。
どうしていつものように照れたりしないのか、どうしていつもように顔を赤く染めたりしないのか。
もしかしたら、僕の気づかないところでこいつは変化しているのかもしれない。
変化というか成長というか、大人になってしまったというか……。
ハッ、まさか彼氏が出来たとか!?
だからこんなにも反応が薄いのか!?
くそ……。
「僕は認めないぞ! 絶対にだめだ! とにかく一度、僕のところに連れてこい! 話はそれからだ」
「だから、さっきから意味わかんないんですけど? あんたは一体何を認めないつもりなの?」
「お前に彼氏なんぞはまだ早い! せめて大学生になってからにしろ!」
僕は知っている。女は大学生になったとたんにビッチになってしまうことを。
まあ、ああだこうだという話を直接聞いたわけではないが、僕の従姉を見ていればそれは痛いほど理解できる。
今までは真面目で清楚で美人だった僕の従姉は、大学生になったときには見るに耐えないものに成り下がってしまっていたのだ。
だから僕は、妹が大学生になった時にはもう諦めるしかない。
自然の摂理とはまさしくこのこと。どう足掻いても、回避不可能なのさ。
「か、彼氏!? そんなのいるわけないでしょ……? ふざけるのもいい加減にして」
あれ? この反応を見るに、どうやら僕の思い過ごしだった?
「ほんとに……言ってるのか……?」
「なんであたしが嘘をつかなきゃなんないのよ」
それはそうだけれど、年頃の女の子ともなれば、兄にそういったことを隠したがるものじゃ。
いやいや、でもこいつがいないと言うからには、もうそういうことでいいんじゃない?
だいたい、いないならいないで僕にとっても喜ばしいことではないか。
うんうん唸っている僕を見ると、妹は派手に露出された太ももに手を置き、それからこれでもかというぐらいの盛大なため息をついた。
そんな妹を前にして、僕はどうにも違和感を感じる。乾いた唇を一度舐めてから、探偵さながらの顔つきで質問をすることに。
「なんかさ、お前いつもと違くない?」
「いつも? あたしはいつもこんなもんでしょ」
「何て言うか……少し落ち込んでる、っていうか……へこんでるっていうか……」
「落ち込むもへこむも同じなんですけど。それで、あんたはあたしが何か悩んでるとでも言いたいわけ?」
そういうことが言いたいのではなかったが、妹が自分の口から悩むという単語を出したことから、僕はそうなのかと得心した。
「なるほど、お前悩んでるのか?」
いきなり立ち上がって僕を睨みつけ、前足を大きく前へと踏み出す。
突然の行動だったので思わず僕は身構えたものの、特にこれといった武力制裁をしてくるわけではないようだ。
いつもの勢いなら、このままハイキックをかまされるはず。だが、そんな乱暴をするどころか黙って僕を見つめているのみ。
みるみるうちに顔を真っ赤に染めながら、短いスカートにもじもじと触れ、そして妹は言った。
「あんたさ……加奈子のこと、どう思ってるの……?」
まさかいきなりその名前が出てくるとは思っていなかったので、僕は「加奈子?」と聞き返す。
「そう、あんたとあたしの共通の知り合いの加奈子。ていうか、あんた友達いないんだからそれしかいないでしょ? いちいち聞き返さなくても分かれっての」
いくら僕に友達がいないとはいえ、その言い方はどうなの?
僕も子供じゃないからいちいち怒ったりはしないが、こんな態度じゃ友達なくすぞ。
ああでも、こいつは確かボッチなんだっけ?
前にそう言っていたな。これまた兄妹そろってなにやってんだか。もう情けないよ、兄として。
「はいはい、それは悪かったな。で、いきなりなんだよ?」
透明感のある唇を尖らせて、両手を動かし言う。
「だ・か・ら! あんたは加奈子のことどう思ってるのかって聞いたの!」
「どう? どうってつまり、どういうことだよ?」
「ハア……? そこまで言わなきゃ分かんないの?」
「うん」
僕はお前と違って、人の心がよめるわけではないからな。はっきりと言ってもらわなきゃ分からないのさ。
これはもちろん嫌味だからな?
面と向かって妹に反論できない、お兄ちゃんの悲しい戯言だとでも思ってくれ。
「そ、その……あれよ……あれ」
ようやく座り直したと思ったら、今度はいきなり身体を小さく縮ませた。さっきまでの威勢のよさはどこをほっつき歩いてることやら、背中を丸めてうじうじとしている。
「あれって何?」
「だ……だから、あれはあれよ……」
「お前さ、あれって言えば通じるとでも思ってるわけ? お前の語彙力どんだけ乏しいんだよ。だからあれほど本を読めと言ったのに」
「違う! あたしの頭が悪いとかそういうことじゃなくて、言い辛いの!」
言い辛い? 一体こいつは何を言い出すつもりなんだ?
こいつの性格を考えるに、下ネタとかそういう類のことではないだろう。ていうかそうであると信じたい。
じゃあ何だ? 何を言いたい?
まさか、子供を身籠ってしまったとか……!?
「待て待て! いくらなんでもそれはヤバイだろ!?」
「ちょ、ちょっと待った。あんた何か勘違いしてる……」
「だってお前……できちゃったんじゃ……ないの?」
僕の頬っぺたを叩いて、大きな声で否定した。
「そんなわけあるか!? あたしはまだ中学生なんだから、そんなはずないでしょ! この変態! 頭の中でそういうことばっかり考えてるから、とんだ勘違いするのよ!」
「僕は変態じゃない! だいたい、お前がちゃんと言わないからこうなったんだろうが! もうさっさと言えよ!」
「なに? あたしが悪いとでも言いたいわけ? ふん、じゃあもういい」
「ごめん、僕がなにもかも悪かった。だからどうか機嫌を損ねないでください」
もちろん感情などこめずに棒読みだ。だって僕悪くないもん。
けど、こんなくだらないことで言い争っていては、時間がいくらあっても足りないだろう。
「はいはい、分かればいいのよ、分かれば」
そうですね、そうですよね。
いつもあなたが正しくて、いつも僕が間違っているんでしょう。
自分のザ・ワールドで物を語ってもらっちゃ困るが、まああくまで兄妹間だけでならそれも良しとしよう。
「はあ……で、加奈子がなんだって?」
もう自然とため息が。
「ま、まあ……率直に言うけど……あんたは加奈子のこと好き、なの?」
「……」
どうしたものか。どこをどうしたらそうなる。
確かに僕は、加奈子のことが好きだ。大好きだ。けど、ありのままにそう言えるわけがない。
何故ならこいつは僕の妹なのであって、決して恋バナなんぞをする相手ではないのだよ。でももし妹が、そういう話をしたいという旨を僕に伝えてきたのであれば、二つ返事でオーケーする。だって気になるじゃん? そういうのって。
つまり僕が何を言いたいのかというと、恥ずかしくてそんな質問に答えられるバカ野郎、ということだ。
「お前には関係ない」
「嫌だ、関係ある」
「僕だって嫌だ」
「あたしも嫌なんですけど」
「だから僕もい――(以下略)」
ウィンブルドンの決勝並の、果てしない会話のラリーを終えたところでようやく決着がついた。
「ああ、もう分かったよ! 言えばいいんだろ言えば!? 僕は加奈子が好きだ! これでいいんだろ!?」
「そ、そう……さ、最初から素直にそう言えばいいのよ!」
「もう疲れた……お前と話すのすげー疲れる……」
「なによその言い草は? もうほんと最低なんですけど」
最低なのはお前だろうが。兄の恋愛事情に首を突っ込みおって。
妹にもそういう人ができた暁には必ず問い詰めてやる。もう僕は心に誓ったよ。
「こんなこと聞いて、お前は何がしたかったんだ……?」
そうなんだよな、こればかりは理解できない。
こんなにもしつこく聞いてきたからには、それなりの事情ってものがあるんじゃないだろうか。
というよりも、なんとなく、とか言われようものなら僕は間違いなく怒る。
「兄貴のことが……気になったから……」
以外にもすんなり言ってのけたことに多少の戸惑いを感じたが、そんなことよりもさらに驚くべきことが。
「……お前……泣いてる……のか……?」
「泣いてなんか……ないもん……」
ないもん、なんて可愛い言葉づかいにときめいてしまった僕。と、そうじゃなくてだな、どうしてこいつはそんな顔をしているのだろう。
大粒の涙が頬を伝っているわけではないが、目頭に涙を抱えて、じっとなにかに耐えているような妹の姿を見て僕は少なからずの衝撃を受けた。
理由が不明であるのもさることながら、妹の泣き顔を見たのは久しぶりだったからだ。
引きこもる前までは泣き虫であったが、それ以降の妹はとても強気なやつだったはず。それなのに、こんな公衆の面前で情けない姿を晒してしまったのだから、よっぽどの理由があるのかもしれない。
「僕が原因?」
「そう……そうだけど違う……」
「じゃあ、もしかして加奈子が原因?」
「……」
まさかという思いが捨てきれずにいたが、やはりそういうことなのだろう。そうだな、僕は一つの推測をたてたのだ。
つまりはこういうこと。
例えば、僕の妹に彼氏ができたとしよう。そうしたら僕は、どんな気持ちになるだろうか。きっと不快な気分になることだろう。
僕の妹の手を出してんじゃねえよ、とかって感じにな。
そしてまた、妹に好きな人ができた時も同様である。
好きな人にしろ彼氏にしろ、気に食わないものは気に食わない。これが僕の素直な意見だ。
じゃあ妹はどうだ?
今の僕の話しの主観を、妹に変えてみたとしよう。
兄である僕に加奈子という好きな人ができた。そんな兄を見て妹はどう思うか。
普通に考えれば、というか妹の僕へのいつもの態度を考慮して、そんなことは妹にとってどうでもいいことだと考えられる。
だが、そうとも言い切れない。
何故なら、僕が加奈子を好きだと告げた瞬間にこいつは涙を流して見せたのだ。まあ実際には流したのではなくて、涙目になったとでも言ったほうがいいのだろうけど。
それはまあいいとして、この涙の意味を考えよう。
通常であれば涙は悲しい時や嬉しい時に流すもの。では、今の涙はどちらのケースに当てはまるか。
どちらにもとれてしまうのは否めないが、きっと妹は、悲しさから涙したのだろう。さすがにこいつが、僕に好きな人ができたことでうれし涙を流すほど、変わったやつではないと思う。
これはあくまでも推測の域をでないが、絶対的な間違いでもない。
それならば、僕はどうすればいい?
このまま黙ってやり過ごすか?
それとも何か慰めの言葉でもかけてやったほうがいいのか?
だめだ、見つからない……。どうしてかいいか……分からない。
「凛子……」
咄嗟に僕の口からでてきたのは、ただの妹の名前だった。自分でも何をやっているんだとは思ったが、それ以外に何を言っていいかがさっぱりだ。
僕の顔をじっと見つめたまま、妹は小刻みに肩を震わせている。よっぽど抱きしめてやろうかと思ったが、それでは逆効果な気がしたのでそうはしなかった。
やがて僕から視線を外すと、そのままどこかへと駆けて行こうとした。だが、ただの散歩だというのに妹は気合ばっちりのブーツなんか履いてきてしまったので、思うように走ることはできずあえなく転倒。
「お、おい!? 大丈夫かよ!?」
慌てて近づこうとした僕だったが、それは妹の一言で止められる。
「来ないで!」
「……どうして?」
「いいから来ないで!」
そんな妹の制止を振り切り、ここでようやく僕は踏ん切りがついた。
「凛子さ、僕に好きな人ができて……悲しいんだろ?」
「そんなはずない! そんなはず……ないもん……」
徐々に距離を縮めて、いまだ座り込んだままでいる妹を見据える。
「じゃあなんで、そんな顔してんだよ……?」
「こ、これは……その……」
急いで目の辺りを指で擦って、涙の痕跡を消した。
「お前が僕をどう思ってるのかは分からないけど、僕はお前のことが一番大切なんだ」
俯いたまま沈黙を貫き、妹は僕の次の言葉を待った。
「だから、もしお前に好きな人ができたなんて聞いたら、ムカつくし、嫌だし、焼きもちを焼くと思う」
情けない話ではあるが、これはまったくもっての本音だ。くどいようだが、それほどまでに僕は妹のことを大切に思っている。
だが、それは単なる妹への愛情であって女性への愛情ではない。そんな僕でも、いや、そんな僕だからこそ今の妹を見て疑問に思ったんだ。
下手したら、こいつは……凛子は……妹は、僕のことが好きなんじゃないかと。
なにも自惚れているわけではない。だってそうだろ?
どこの世界に兄の好きな人を知ってしまって、泣きだす妹がいるというのか。間違いなくこれは、異常だ。
今から僕の発する言葉は途轍もなく残酷な言葉だ。もしかすればだけど、これを皮切りに兄妹仲が一気に冷え切ってしまうかもしれない。
そうだとしても、僕は兄として伝えなければいけない。これは義務なのだ。
僕は妹に手を貸して、その場にゆっくりと立たせた。幾分か僕より背が低い妹を前にして、できる限りの愛情をこめて言い放つ。
「僕はお前が大切だ。大切だし、かけがえのない存在だとも思う。だけど……ごめんな? もうお前のその気持ちを知ってしまった以上、僕にはハッキリと伝えなきゃいけない責任がある」
「やめて……! お願いだからやめて……!」
縋るようにして僕の腕を掴む。妹の手の平はとても冷たくて、体温がどんどん奪われる。僕の心にまでその冷たさが伝わってきそうで、思わずその手を払い除けそうになった。
でも、その冷たさこそが、妹の感じている痛みなのであってしっかりと受け止めなければいけないんだ。
「凛子、お前は僕を好きになっちゃだめだ。僕は兄でお前は妹、言いたいことはわかるな?」
手の力が強まって、僕の腕からわずかに軋む音が聞こえた。
「……あたしは……あたしは別に……あんたのことなんか好きじゃないもん! いつもいつもあたしをバカにするし、いつもいつも子供扱いしてくるし! あたしはあんたなんか大っ嫌いなんだから! 絶対に……好きじゃないん……だから……」
僕の胸がキュッと締め付けられたような気がした。こうは言ってるものの、その表情を見てもなおその言葉通りの意味で解釈することはできない。
きつく瞑っている両目から、一筋の涙が流れ落ちた。風がわずかにそよいで妹の髪を優しく撫でおろす。まるで妹を包み込むようなその風は、僕には少し寒く感じられる。
身体が冷えていき、僕は身震いを一つした。号泣などはするものかと、強い気持ちで耐え抜いている妹を横目で捉え、そうしてから僕は背中を向け言った。
「そろそろ、帰ろうか」
ゆっくりと足を動かし、背後の妹の様子をうかがう。どうやら帰る気はないようで、その場に依然として立ち尽くしていた。
同情しないでもないが、冷たく突き放してしまった以上僕がどんな言葉をかけても無意味なのだろう。
妹を残し公園を出てからしばらく歩くと、前方からおじさんがやってきた。迷惑なことに、歩きたばこをしているようですれ違い様に煙が僕の目に入った。
その煙はとても目に染みる。ぷかぷかと浮かぶ煙の前に、僕は足を止めた。どうにも今だけは、この煙が僕にはとっても心地が良くて、それでもって心に染み渡るのだ。
「ったく……目痛ってーな……」
普段からタバコとは無縁な生活を送っているため、わずかばかりの煙でもこの身にこたえてしまう。
「ほんと……痛すぎて涙でてきたぜ……」
一人ぼんやり昼下がりの空を見つめ、そう独りごちる僕の姿があった。