表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/14

○一人目 間宮守

   備考・X学部四年次、彼らの研究室の後輩、事件に遭遇


 あの事件のとき? いやぁ驚きましたね。いきなり『刃物を持った男が乱入』ーなんて、高校で妄想したことはあったけど、実際に起こるなんて思いませんでしたもん。

 みんな無事でよかったですよ、はい。

 あぁ、正確にはみんなが無事、ではないですね。弘人さんの傷がありました。今も傷は残っているそうですね。たしか、右肩でしたか。

 でも深くはないらしく、腕が動かなくなるような、重いものではなかったみたいです。カットの深いTシャツを着た日には、傷が見えることがありましたね。不都合としては、それぐらいじゃないでしょうか。

 犯人は、冴えないやつでしたね。変質者なんて、そんなものなんでしょう。入ってきて、

「立て」と言うところまでは、それなりに恐怖の対象ではあったんですが。

 事件について、少しはご存知なんですよね? それだったら、まぁ知っての通り。あとは亮太さんに殴られて終わりでしたから。

 事件についての感想、ですか。やっぱり一番深く思ったことは「こんなものなのかぁ」ってことですかね。そこそこ怖い思いをしたのに、大学全体の扱いはすごく小さかったんですよ。一応、すべての学部の掲示板に『不審者が刃物を持って構内に侵入』とは貼りだされて、注意喚起がされたみたいですが。サークルの友人に訊いてみても、知らない人もいましたね。さすがに同じ学部では、知らない人はいませんでしたが。

弘人さんについて……。うーん。

あんまり、人となりは知らないんですよね。院生と学部生では部屋も違いましたし、それ以上に無口な人でしたから。まぁでも、院生になって今は外国まで行っているんですから、マジメな人なんでしょう。

 わざとだと思うか? あぁ、やっぱり結構ご存知なんですね。

 そのことについてでしたら、わかりません。そう考えることも十分できますけど、そう考えてしまったらすごく面白いけど、それ以上に怖いです。自分からは、何も言えませんよ。

 確かに、あれは衝撃ではありました。あんな驚きは、一生に何回もないでしょう。

 亮太さんは人見知りの気がある、大きくて赤い、多分明るい人です。多分です。でも、この多分は多分、絶対に抜かしちゃいけない。そんな人ですかね。あといい加減な人です。四年生は二度目なのに、このままだと卒論は間に合わないかもしれない、そんな人ですよ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ