壊れた物語

　ある大学のX学部で、不法侵入者が刃物を振るった。
　幸い被害は『軽い切り傷を残した学生が一人』という小さなものだった。
　しかしこの傷は、その彼がつけたものではない。
「彼は、彼を殺そうとしたのか？」
　X学部内でまことしやかに語られる噂は、真実なのか。
　興味を持った沢城佳奈は、彼らの周囲に話を聞いて回った。それによって物語は完成した、はずだった。