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【2章】Black Horn(2)

 男たちは足を止める。

その顔には疲労感と達成感に満ち溢れていた。

「やっと、着いたんだね。」

「着いたってどこにだよ?まさかお前、ここを街だと思ってるんじゃねぇだろうな?」


 確かに目の前には建造物があった。

街と呼べるほどの数の建造物が。

ただ、普通の街と呼ぶには程遠い状態だった。

風化した家々。凹凸にまみれた大地。吹きつける砂。

まさにそこは、「廃墟」と呼ぶにふさわしい土地が広がっていたのだ。

まるで、数千年前に栄えた都市を見ているかのようだ。

「でも、建物があるってことは人が住んでいるかもしれないってことじゃないか。とりあえず入ってみようよ。」

そう言うライナスの顔に不安が滲んでいたのは容易に読みとれた。

「取り憑かれねぇように気をつけとけよ。」

「止めろそんなこと言うなよ!」

明らかに震えた声でライナスは叫ぶ。

「てめぇが一番ビビってんじゃねぇかよ・・・。」

にやけながらも、ジェシーは大股で土地に入っていった。

「び、ビビってなんかいるもんか!」

遅れてライナスも後を追う。


「誰かいませんか~!?」

「おいこら!そんなあからさまな呼びかけがあるかよ!」

 恐怖を引き連れて街の中に入ったライナスは、とにかく口を動かしたかった。

 そうでもしないと、体中が恐怖に侵食されて動けなくなるような気がしたのだ。

「誰か・・・」

「話を聞けや!」

ジェシーが肩を押す。

「ここにいるのが魔物だけだったらどうすんだよ!俺たちはもう敵の巣の中にいるんだぜ!?それをわきまえて行動しろアホ!」

 恐怖と怒りが混じりしょげるライナス。

「あ・・・おい!見ろよ!」

「大声を出すなと言ったのは誰だよ!」

 怒りが恐怖を押しつぶし、ライナスは怒号を上げる。

「お前よ、目の前に人が居そうなモーテルがあってもそんなこと言えるか?」

 そう言われライナスも前を向く。

 そこには確かに、木造のモーテルらしき建物があった。

 ひどく黒ずんでいて、もはや木とは分からないほどである。

「・・・入るの?」

「なんだお前その心霊スポットに入る前みたいなノリは」

「まさしくそうだよ!絶対出るってここ!」

「霊にビビってて世界救えんのかよ?」

「それとこれとはもはや話が別だよ!霊なんてどうやって撃退するのさ!?あいつらは物理攻撃が効かないんだぞ!」

「うるせぇな!塩でもまいとけば何とかなんだろ!」

「ならないよ!あんなのはただの塩化ナトリウムの結晶だよ!化学反応も何も起きないよ!」

「じゃあてめぇ帰れよ!俺だけがこの建物に入る!それで問題ないだろ!?」

「一人だけで待つの!?嫌だ!僕だけが遭遇したらそれこそおしまいじゃないか!」

「このヘタレがぁ!」

「うるっせぇぞボケェ!!」

 突然響いた聞き慣れぬ声にライナスは悲鳴を上げる。

「・・・お前・・・。キャアって・・・。」

 とっさに出た女性的な声色に、ライナスは頬を赤らめた。

「う、うるさいな!しょうがないだろ地声が高いんだから!」

 モーテルからの声が間に入る。

「あんたらカップルかい?残念ながらうちはそういう店じゃねぇんだ帰ってくれ。」

「女じゃねぇ!!」

ライナスの怒号が強まった。


「そうかお前ら旅人か。」

 30分近くの説明の甲斐あって、やっと理解してもらえたようだ。

「聞くが、ここはモーテルなのか?」

 ジェシーはずっと疲労の色を浮かべていた。

「失敬な!どこからどう見てもモーテルだろうが!」

 60代近くと見えるその老人は、怒りをあらわにした。

「どっからどう見てもそうは見えねぇよ!」

 ジェシーがすかさず反駁する。

 すると老人は、急にうなだれ、黙り込んでしまった。

「お、おい。どうしたんだよ・・・。」

 老人は目を開け、こうつぶやく。

「・・・知りたくはないか?このモーテルがどうしてこうなったのかを・・・。」

「・・・元からじゃないのか?」

「違うわ!!」

 老人にまた生気が戻った。



 

  

だいぶ放置してすんませんでしたorz

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