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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
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旅する電化。

旅する電化のお暇。

掲載日:2026/09/12

なんでこうなったんだっけ。

あ、そうか。私が「シェアハウスする?」

なんて冗談で言ったからか。

後悔はしていないけど、あまりにも唐突すぎてびっくりした。

…この数週間、いろんなことがあった。

公爵のことを傷つけてしまったり、仲直りしたり。

まだきっと感知はしていないけど、

どうにか前と同じくらい底抜けに明るいあの公爵に戻るまでは一緒に居たい。

心も体も、色々あって疲れた。

シェアハウス初日は、パーッと遊んではしゃいだ。

だから、本当の休暇は今日から。

広くない部屋に、まだ少ない荷物を並べ、ソファに寝転んでいる。

今、公爵はノクリーにお土産を届けに行っている。

一人って、退屈だ。でもまぁ、こういう一人の時間も大事なのかな。

ふと思う。私はきっと寂しがりなんだ。

だからいつも誰かと一緒にいる。

…早く、帰ってこないかな。

そうだ、帰って来るまで元我が家に言って遊んでいよう。

気晴らし程度には、なるだろうし。


あー寒い。

北上を続け300km、ようやく着いた。

相変わらず雨のサナット。あの黒歴史がフラッシュバックする。

あのときは、本当に嫌なやつだったなと、改めて思う。

お土産下げてあの道を、今度はちゃんと歩く。

雨だって、今なら好きになれる。

殿下のおかげ、かな。

前向きになれたのは殿下のおかげ。

ずっと「自分が悪い」って言ってるけど、そんな事思ってない。

ただあたしがめんどくさいやつだっただけなんだ。

でも言っても納得してくれないし、諦め半分。

そういう、ある意味バカなところが好き…

あーもう、こんな事考えてたら、顔が暑くって仕方ない。

雨だって降ってる、ファンだって回してるのに。

…正直、今シェアハウスできてるのには感謝してるけど、実感がわかない。

勢いで言ったことだけど、結果オーライだな。

さ、いいからお土産を届けよう。

ピンポンを押し、すぐに出てくるやいなや

「あれ!?ネイさんかと思ったっす!」

「なんだよ、あたしだよ」

「意外っす…あの辺のレンさんしか見てない身としては」

「そっか、あの辺のあたししか見てないんだった。

 …あれは黒歴史だから、きっぱり忘れてくれ。」

「わかったっす。で、なんの用すか?」

「お土産渡しに来ただけなんだ〜」

「え、お土産!?いいっすよそんな〜」

「ほんと、あいつと出会えたのはあんたのおかげだし、

 これはほんのお礼。」

「え〜、じゃあ、ありがたくもらっておくっす」

「そうして〜」

「随分と明るくなったっすね」

「そうか?」

「そうっすよ。もしかして、ネイさんのおかげっすか?」

「…そうかもね」

「なんすかその顔〜、乙女って感じっすよ」

「なっ!?違っそんなつもりじゃ」

「違うんすか?」

「ち、違くはない、けど…」

「そうなんすね〜〜…応援してるっすよ」

「そんな、まだ無理だって」

「まだってことは、いつか頑張るんすよね?」

「…うん」

「へ〜〜〜。いいこと聞けたっす」

「もう、いいから!…あたしはじゃあここらで失礼します」

「お土産ありがとうございました!」

「またな〜〜」

「またっす〜〜」

ノクリーもなかなか、ひどいやつだよな〜…

さて、早く帰ろう。…会いたいから。


「もう戻らないつもりだったんだけどな〜」

「悲しいこと言うなよ、いつでも戻ってこい」

「いつでも遊びに来てねー」

「「「待ってるぜ〜」」」

なんて会話を交わした午後7時。一通メールが届いた。

”そろそろ着くよ”

「どうした、そんな嬉しそうな顔して」

「そろそろ公爵が帰ってくるって!」

「公爵…?ああ、レンか」

「意外だよねー、あんな喧嘩してたのに今となってはシェアハウスだもんー」

「じゃ、また遊びに来るね!」

「「「「「じゃ〜ね〜」」」」」

急ぐ急ぐ。そう遠くもないのに、ダッシュしている。

どんだけ会いたいんだ、私は。

もう駅はすぐそこだ。小さいロータリーもない駅に滑り込み、乱れた息を整える。

1秒が長い。まだかまだかと期待が膨らむ。


あと数分で到着だ。

もっと早くできないものかと無性にイライラしてしまうほどに、

あいつとの再開を待っている。

早く、早く。


電車が着く音が聞こえた。私は奥を覗き込む。


駅についた。あたしはすぐに電車を降りる。


顔が見えた。思わずニコニコしてしまう。


顔が見えた。自分の顔が熱くなるのを感じて、目を背けたくなる。

でも背けることはない。


「おかえり」

「ただいま」

「待ってたよ」

「ありがと」

「明日、どうする?」

「うーん、まだ休みたい気分」

「そっか、じゃあ明後日からかな?」

「どこに行く?」

「離島とか?」

私は思い切った意見を言った。

私達の言葉は、寸分狂うことなく重なった。

「「海外行っちゃう?」」

その後も計画をわちゃわちゃ練って、家に2台で帰った。

次の旅が待ち遠しいけど、今はただこの休暇を楽しんでいたい。

そんな、わざわざ口に出さない思いすらも、

ぴったり重なっているような、そんな感覚がした。

次の目的地:???…移動手段は飛行機。

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