第七話 波乱! 炎vs水、因縁の対決!
属性対抗戦・二日目。
準決勝の組み合わせが発表された。
炎属性vs水属性。
地属性vs風属性(敗者復活戦を勝ち上がったチーム)。
「水属性か...」
俺は複雑な気持ちになった。
なぜなら、水属性のチームには涼音がいるからだ。
「烈、大丈夫?」
朝食の席で、陽太が心配そうに尋ねてきた。
「ああ、大丈夫だ」
「でも、水瀬さんと戦うんだろ? お前の幼馴染じゃないか」
「...それでも、俺は全力で戦う。それが涼音への礼儀だ」
俺の言葉に、陽太は頷いた。
「そうだよな。お互い全力でぶつかり合う。それが一番だ」
「烈」
紅が口を開いた。
「水属性は炎属性の天敵だ。相性が最悪なのは分かっているな?」
「ああ」
「だからこそ、気合と技術が必要だ。油断するな」
「分かってる」
俺は拳を握りしめた。
涼音との戦い。
それは避けられない運命だった。
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準備室で、チームメンバーが集まっていた。
「さて、作戦を立てましょう」
アリス先輩が地図を広げた。
「水属性の代表メンバーは、三年の水神アクア、氷華レイナ、二年の海流タクミ、そして一年から水瀬涼音と泉ミズキ」
涼音の名前を聞いて、俺の胸が締め付けられる。
「特に注意すべきは、水神アクアとリーダーの氷華レイナ。二人とも上級魔法を使いこなす」
「水属性は防御と回復に優れている。長期戦になれば不利だ」
ケン先輩が分析する。
「だから、速攻で決めるのよ。火乃丸、あなたはまた突撃役。敵の防御を崩して」
「はい!」
「そして、水瀬涼音...」
アリス先輩が俺を見た。
「あなたの幼馴染よね。大丈夫?」
「大丈夫です。俺は、全力で戦います」
「そう...ならいいわ。では、行きましょう」
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闘技場に入場すると、観客席は昨日以上の熱気に包まれていた。
「炎vs水! 天敵同士の戦いだ!」
「どっちが勝つか分からないぞ!」
観客たちの興奮が伝わってくる。
そして、対面に水属性チームが入場してきた。
中央には、青い髪の美しい女性――水神アクアが立っている。
その横には、銀色の髪を持つ氷華レイナ。
そして――
「涼音...」
青い髪をなびかせて、涼音が立っていた。
彼女と目が合う。
「烈」
涼音が小さく口を動かした。
『全力でやるわよ』
俺は頷いた。
『ああ、こっちもだ』
「それでは、準決勝第一試合、炎属性vs水属性、開始!」
審判の合図で、試合が始まった。
「作戦通り、突撃する!」
俺は敵陣に向かって走り出した。
「来たわね、火乃丸烈!」
水神アクアが杖を構える。
「水流障壁!」
巨大な水の壁が現れた。
「そんなものォォォ! 炎拳!」
俺の拳が水の壁に叩き込まれる。
ジュウウウウ――
炎と水が激しく反応し、蒸気が上がる。
「くそっ、やっぱり相性が悪い!」
「当然よ。水は炎を消すもの」
水神アクアが冷たく言い放つ。
「だったら、もっと熱くするだけだ! 紅蓮爆炎!」
俺は全身から炎を噴き出させた。
水の壁が蒸発していく。
「やるわね...でも!」
「氷結せよ――氷華乱舞!」
氷華レイナの魔法が発動した。
無数の氷の結晶が俺に襲いかかる。
「ぐあっ!」
炎で溶かそうとするが、次から次へと氷が襲ってくる。
「火乃丸!」
ユウキ先輩が援護に来てくれた。
「炎槍・回転突き(フレイムランス・スピン)!」
槍が回転しながら氷を砕いていく。
「助かります!」
「前に進め! 俺たちがサポートする!」
だが、その時――
「烈」
涼音が俺の前に立ちはだかった。
「涼音...」
「ごめんね。でも、私も負けられないの」
涼音は杖を構えた。
「水よ、集いて――水龍弾!」
巨大な水の龍が、俺に向かって突進してくる。
「くそっ!」
俺は咄嗟に回避するが、水龍は軌道を変えて追ってくる。
「追尾型か!」
「烈、あなたの炎は強いわ。でも、私の水はあなたをよく知っている」
涼音の言葉に、俺はハッとした。
そうだ。涼音は俺の幼馴染。俺の戦い方を誰よりも知っている。
「なら、見たことないやつを見せてやる!」
俺は水龍に向かって走った。
「烈!?」
「炎を纏うんじゃない――炎を食らう! 炎喰!」
俺は自分の炎魔力を体内に取り込み、体を強化した。
そして――
「うおおおおッ!」
素手で水龍を掴み、力ずくで引き裂いた。
「な、何!?」
涼音が驚愕の表情を浮かべる。
「これが、俺の新技だ! 今から突破するぞ!」
俺は涼音に向かって突進する。
「させないわ! 水流鞭!」
涼音が水の鞭を放つが、俺は強化された体で弾き飛ばした。
「ごめん、涼音!」
俺の拳が、涼音の防御魔法を砕いた。
「きゃっ!」
涼音は後方に吹き飛ばされ、倒れた。
「涼音!」
水神アクアが慌てて涼音に駆け寄る。
「戦闘不能! 水瀬涼音、退場!」
審判の宣言が響いた。
俺は、幼馴染を倒してしまった。
胸が痛む。
だが――
「烈、気にしないで」
倒れた涼音が、笑顔で言った。
「あなたは全力でやってくれた。それが嬉しいわ」
「涼音...」
「だから、優勝して。私の分まで」
「...ああ!」
俺は涼音の想いを胸に、再び戦場に戻った。
「みんな、行くぞ! 一気に攻めるんだ!」
「おう!」
ケン先輩を先頭に、俺たちは総攻撃を開始した。
涼音を倒した悲しみを、勝利への力に変えて。
「炎龍連拳!」
「火炎嵐!」
「炎槍・紅蓮乱舞!」
俺たちの猛攻に、水属性チームは次々と倒れていく。
そして最後に残ったのは、リーダーの氷華レイナだけだった。
「まだよ...まだ終わってないわ!」
レイナは最後の力を振り絞る。
「絶対零度――氷結界!」
巨大な氷のドームが、闘技場全体を覆った。
「なっ!?」
温度が急激に下がる。体が凍りつきそうだ。
「くそっ、寒い...」
「これは...上級魔法の氷結界...」
アリス先輩も苦しんでいる。
「みんな...俺に任せてくれ」
俺は前に出た。
「火乃丸!?」
「俺の炎は、熱血だ。こんな氷、溶かしてやる!」
俺は両手を天に掲げた。
「燃えろ、俺の魂! 燃えろ、俺の情熱! 全てを焼き尽くせ――」
俺の全身から、今まで以上の炎が溢れ出す。
これは、俺の全魔力を解放した、最大最強の技。
「紅蓮覚醒・炎皇!」
俺の体が、巨大な炎の皇帝のような姿に変貌した。
「これは...!」
氷結界が、みるみるうちに溶けていく。
「ありえない...私の最強魔法が...」
レイナが絶望の表情を浮かべる。
「終わりだ! 炎皇拳!」
炎を纏った巨大な拳が、レイナに迫る。
「うわああああああッ!」
レイナは吹き飛ばされ、場外に倒れた。
「勝負あり! 勝者、炎属性!」
審判の宣言が響いた。
「やった...やったぞおおおおッ!」
俺は膝をついた。全魔力を使い果たし、炎皇の姿が消える。
「火乃丸! 大丈夫か!」
ケン先輩が駆け寄ってくる。
「はい...なんとか...」
「お前、すごいぞ! あんな技、隠してたのか!」
「いや...今、初めて使いました...」
「初めて!?」
「でも、みんなの想いが力をくれたんです」
俺は闘技場脇の控え席を見た。
そこには、涼音が立って拍手していた。
俺は彼女に向かって、親指を立てた。
涼音も笑顔で親指を立て返してくれた。
「さあ、次は決勝だ!」
アリス先輩が言った。
「地属性が勝ち上がってきたわ。最後の戦いよ!」
「ああ、優勝するぞ!」
俺たちは、拳を突き合わせた。
決勝戦まで、あと一歩。
炎属性の悲願、優勝まで――あと一歩だ!




