第五話 激突! 属性対抗戦、開幕!
実技試験から一週間後。
学園中が興奮に包まれていた。
「おい烈、聞いたか!?」
朝から陽太が息を切らして駆け寄ってきた。
「何だよ、そんなに慌てて」
「属性対抗戦が開催されるんだってよ!」
「属性対抗戦?」
俺が首を傾げると、後ろから涼音が説明してくれた。
「年に一度の大イベントよ。火・水・風・地の四属性が、それぞれチームを組んで戦うの」
「へえ、面白そうじゃねえか!」
「面白そう、じゃないわよ。各属性の名誉がかかってるんだから。特に今年は...」
涼音が言いよどむ。
「特に今年は?」
「過去五年間、炎属性は一度も優勝していないの。最下位続きよ」
「マジか...」
「だから、炎属性の生徒たちは今年こそはって意気込んでるのよ」
なるほど。だから、朝から紅の間の空気がピリピリしていたのか。
「烈、俺たち絶対優勝しようぜ! 一年生でも出場できるんだ!」
陽太は拳を握りしめている。
「ああ、やってやろうじゃねえか!」
俺も闘志が湧いてきた。
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昼休み、炎属性の全生徒が大講堂に集められた。
壇上には紗羅先生と、もう一人の男性が立っていた。
「紹介する。彼は炎の塔の塔長、焔帝リオン先生だ」
リオン先生は三十代半ばくらいの、筋骨隆々とした男性だった。赤い髪に鋭い眼光、そして全身から溢れる圧倒的な魔力。
「炎属性の諸君、よく聞け」
リオン先生の声が、大講堂全体に響き渡った。
「属性対抗戦は三日後に開催される。我々炎属性は、過去五年間、屈辱的な結果に甘んじてきた」
会場がざわつく。
「だが、今年は違う。今年こそ、我々は優勝する!」
「おおおお!」
生徒たちから歓声が上がる。
「代表チームは五名。私が選抜する。まず、三年生から焔帝アリス、炎龍ケン、火神マリア」
壇上に三人の上級生が上がった。みな、オーラが違う。
「そして、二年生から炎槍のユウキ」
四人目の代表が壇上に上がる。
「最後の一人は...」
リオン先生が会場を見渡した。
「一年生から選ぶ」
「えっ!?」
会場が騒然となった。
「一年生だと!?」
「まさか...」
「その一年生とは――火乃丸烈、前へ出ろ」
「はい!?」
俺は自分の名前が呼ばれて、思わず立ち上がった。
「お、おい烈!」
陽太が驚いている。
「な、なんで俺が...」
「貴様のヴィクター・フォン・ブルーメンタールとの決闘、そして実技試験での戦いぶりを見た。貴様には、未熟ながらも荒々しい炎の力がある。それが今回の対抗戦には必要だ」
リオン先生の言葉に、俺は戸惑いながらも壇上に上がった。
会場からは、様々な声が聞こえてくる。
「一年生かよ...」
「大丈夫なのか?」
「でも、あいつ、ヴィクターに勝ったんだろ?」
「よし、決まった。この五名が炎属性の代表だ!」
リオン先生が宣言した。
「今から三日間、特訓を行う。全員、覚悟しろ!」
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その日の午後から、代表チームの特訓が始まった。
訓練場には、俺を含めた五人が集まっていた。
「改めて自己紹介だ。私は三年の焔帝アリス。炎属性の上級魔法を得意とする」
アリス先輩は、長い赤髪を持つ美しい女性だった。だが、その目は厳しく、隙がない。
「俺は炎龍ケン。近接戦闘が専門だ」
ケン先輩は、筋肉質な体格の男性。拳に炎を纏わせて戦うタイプのようだ。
「火神マリア。サポート魔法が得意よ」
マリア先輩は、優しそうな雰囲気の女性だった。
「炎槍のユウキだ。よろしく、後輩」
ユウキ先輩は、長い槍を持った青年。冷静な印象を受ける。
「火乃丸烈です。まだまだ未熟ですが、よろしくお願いします!」
俺が頭を下げると、アリス先輩が口を開いた。
「火乃丸、貴方の魔力は確かに強大だわ。でも、制御が甘い。このままでは足手まといになるわよ」
「...すみません」
「謝らなくていい。これから鍛えればいいのよ。まず、貴方の役割を決めましょう」
アリス先輩は、作戦ボードを広げた。
「属性対抗戦のルールは、五対五の団体戦。相手チーム全員を戦闘不能にするか、リーダーを倒せば勝利」
「リーダー?」
「各チームには、リーダーが一名いる。リーダーが倒されたら、その時点で敗北よ」
なるほど。つまり、リーダーを守ることが重要なのか。
「今回、私たちのリーダーはケンよ」
「任せろ。俺は簡単には倒れねえ」
ケン先輩が胸を叩く。
「そして、火乃丸の役割は『突撃役』。貴方の制御されない魔力を、逆に武器にする」
「突撃役?」
「そう。敵陣に突っ込んで、敵の陣形を乱すのよ。その隙に、私たちが攻撃する」
「なるほど...」
俺の魔力暴走を、戦術として活用するのか。
「だが、そのためには最低限の制御が必要だ。無闇に暴れるだけでは、味方にも被害が出る」
アリス先輩の言葉に、俺は頷いた。
「分かりました。頑張ります!」
「よし、では早速特訓だ!」
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三日間の特訓は、想像以上に厳しかった。
朝から晩まで、休む暇もなく訓練が続く。
「火乃丸、もっと速く動け!」
「はい!」
俺はケン先輩の指導の下、機動力を鍛えた。
「魔力を爆発させるタイミングが重要だ。早すぎても遅すぎてもダメだ」
アリス先輩からは、魔力の制御と解放のタイミングを学んだ。
「火乃丸くん、無理しすぎないでね」
マリア先輩は、疲れた俺を回復魔法で癒してくれた。
「連携が大事だ。一人で突っ込むな」
ユウキ先輩からは、チーム戦の基本を教わった。
そして三日目の夜。
「よし、明日が本番だ。今日は早く休め」
リオン先生の言葉で、特訓は終了した。
俺は疲れ果てていたが、同時に充実感もあった。
この三日間で、俺は確実に成長した。
「烈、大丈夫か?」
寮に戻ると、陽太が心配そうに声をかけてきた。
「ああ、なんとかな」
「明日、頑張れよ。俺たち、応援してるからな」
「ありがとう」
「烈」
紅も珍しく声をかけてきた。
「炎属性の名誉を守れ。貴様なら、できるはずだ」
「ああ、任せてくれ」
「......頑張って」
燼も、短く言葉をかけてくれた。
「火乃丸くん! ファイトです!」
咲は応援グッズまで作ってきた。
「ありがとな、みんな」
俺は、仲間たちに支えられているんだと実感した。
絶対に、期待に応えてみせる。
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そして、属性対抗戦当日。
学園の大闘技場は、観客で埋め尽くされていた。
「すごい人だな...」
「当然だ。これは学園最大のイベントだからな」
ケン先輩が言う。
「さあ、行くぞ。炎の力を見せつけてやる!」
「おおお!」
俺たちは闘技場に入場した。
会場から大きな歓声が上がる。
そして、対戦相手が入場してきた。
「今回の初戦は、炎属性vs風属性!」
実況の声が響く。
風属性のチームを見て、俺は目を見開いた。
その中心に立っていたのは――
「ヴィクター...!」
ヴィクター・フォン・ブルーメンタールが、こちらを見て冷笑を浮かべた。
「やあ、火乃丸烈。また会ったな」
「お前が風属性の代表なのか...」
「そうだ。前回の屈辱は忘れていない。今回は、完膚なきまでに叩きのめしてやる」
ヴィクターの言葉に、俺は拳を握りしめた。
「上等だ。受けて立つ!」
こうして、炎属性vs風属性の戦いが、幕を開けた!




