表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やっぱり時代は熱血だよな!  ~炎属性の魔法使い、魔法学園で英雄になる~  作者: 雨天


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/9

第四話 試練! 炎の塔・最初の実技試験!


入学から二週間が経った。


毎日の授業と特訓で、俺の魔力制御は少しずつ改善されていた。完璧とは言えないが、以前のように常に暴発することはなくなった。


「おはよう、烈!」


「よう、陽太」


朝から陽太が元気よく話しかけてくる。彼とはすっかり仲良くなった。


「今日、ついにあれだよな」


「ああ...」


俺は緊張した面持ちで頷いた。


今日は、炎属性専門の最初の実技試験がある。


「実技試験の内容、聞いたか?」


「いや、まだだ。紗羅先生、何も教えてくれなくて」


「だよな。俺も知らねえんだ」


二人で話していると、教室に紅が入ってきた。


「おはよう、紅ちゃん!」


「...おはよう」


紅は相変わらず、そっけない態度だ。だが、以前よりは少し柔らかくなった気がする。


「紅、実技試験のこと、何か知ってるか?」


俺が尋ねると、紅は少し考えてから口を開いた。


「焔院家に伝わる情報によれば、毎年内容は変わるらしい。だが、共通しているのは『炎の制御力』と『戦闘能力』を試されるということだ」


「なるほど...」


「貴様は制御力に難があるからな。不安か?」


紅の言葉に、俺は首を横に振った。


「不安じゃないと言えば嘘になる。でも、俺は全力でやるだけだ」


「ふん。その意気や良し」


紅は小さく微笑んだ。彼女が笑うのは珍しい。


「あ、あの! 火乃丸くん!」


咲が慌てた様子で駆け寄ってきた。


「どうした、咲?」


「わ、私、すっごく緊張してて...もし試験に落ちたらどうしようって...」


咲の目には涙が浮かんでいる。


「大丈夫だって。咲は頑張ってるじゃないか」


「で、でも...」


「それに、俺たちがいるだろ? 一緒に頑張ろうぜ」


俺がそう言うと、咲の顔がぱあっと明るくなった。


「うん! 頑張る!」


「......」


教室の隅では、燼が相変わらず本を読んでいる。彼は試験のことなど気にしていない様子だ。


そんな彼を見て、俺は少し羨ましく思った。あんな風に、余裕を持てたらいいのに。


「全員、揃ったな」


教室の扉が開き、紗羅先生が入ってきた。


「今日は実技試験だ。全員、準備はいいか?」


「はい!」


俺たちは一斉に答えた。


「よし。では、これから試験内容を説明する」


紗羅先生は、教卓の上に一枚の地図を広げた。


「今回の試験は『迷宮探索』だ」


「迷宮!?」


陽太が驚きの声を上げる。


「そうだ。学園の地下には、訓練用の魔法迷宮がある。お前たちには、その迷宮を探索し、最深部にある『炎の宝珠』を持ち帰ってもらう」


紗羅先生は、地図の最深部を指さした。


「ただし、迷宮内には魔法で作られた魔物が徘徊している。それらを倒しながら進まなければならない」


「魔物...」


咲が不安そうに呟く。


「安心しろ。訓練用だから、致命傷を負うことはない。ただし、倒されたら即失格だ」


「先生、質問!」


陽太が手を上げた。


「何だ?」


「これって、個人戦ですか? それともチーム戦ですか?」


「個人戦だ。各自、単独で迷宮を探索する」


「マジか...」


陽太の表情が引き締まる。


「制限時間は二時間。それまでに宝珠を持ち帰れなかった者は不合格だ。では、準備して迷宮入口に集合しろ」


---


迷宮入口。


巨大な石の扉の前に、俺たち五人が並んでいた。


「では、一人ずつ入っていけ。最初は...火乃丸、お前からだ」


「え、俺からですか」


「問題あるか?」


「いえ、ありません」


俺は深呼吸をして、石の扉に手をかけた。


「火乃丸!」


背後から陽太の声がした。


「頑張れよ!」


「ああ、お前もな」


俺は扉を開け、迷宮の中へと足を踏み入れた。


---


迷宮内部は、松明の明かりだけが頼りの薄暗い空間だった。


石造りの廊下が複雑に入り組んでおり、まさに迷宮という名にふさわしい。


「さて、どっちに進めばいいんだ?」


俺は地図を確認した。だが、地図には大まかな構造しか描かれていない。詳細なルートは自分で見つけなければならないようだ。


「とりあえず、直感で行くか」


俺は右の通路を選び、歩き始めた。


しばらく歩くと、前方から低い唸り声が聞こえてきた。


「...来たか」


俺は構えを取る。


暗闇の中から現れたのは、炎を纏った狼の魔物だった。体長は二メートルほど。鋭い牙と爪を持っている。


「フレイムウルフか。訓練用とはいえ、油断はできねえな」


フレイムウルフは俺を見つけると、すぐさま飛びかかってきた。


速い!


俺は横に飛んで回避する。フレイムウルフの爪が、俺がいた場所の壁を引き裂いた。


「俺の番だ! 紅蓮弾(クリムゾンバレット)!」


手のひらから火球を放つ。だが、フレイムウルフは俊敏に避けた。


「ちっ、当たらねえ」


フレイムウルフは再び飛びかかってくる。


このままじゃ、一方的にやられる――


その時、紗羅先生の言葉を思い出した。


『炎魔法は感情に左右される。だからこそ、心を落ち着けることが重要だ』


そうだ。焦るな。落ち着け。


俺は深呼吸をして、フレイムウルフの動きをよく観察した。


跳躍の瞬間、一瞬だけ動きが止まる。そのタイミングを狙えば――


「今だ! 紅蓮弾(クリムゾンバレット)!」


小さく制御された火球が、フレイムウルフの頭部を直撃した。


「グオオオン!」


フレイムウルフは倒れ、光となって消えた。


「やった...!」


初めて、実戦で制御された魔法が成功した。


紗羅先生の特訓の成果だ。


「よし、このまま進むぞ!」


俺は奥へと進んでいった。


---


その後、いくつかの魔物と遭遇したが、なんとか撃退しながら進んだ。


そして、ついに最深部の扉が見えてきた。


「あれが...」


扉には炎の紋章が刻まれている。間違いない、あの奥に宝珠があるはずだ。


俺は扉を開けた。


その先には、広い円形の部屋があった。


中央には、赤く輝く宝珠が台座の上に置かれている。


「よし、あれを取れば――」


その瞬間、部屋の奥から巨大な影が現れた。


「グルルルルル...」


それは、先ほどのフレイムウルフの倍以上の大きさを持つ、炎の魔物だった。


全身が炎に包まれ、その目は真紅に輝いている。


「ボス...ってやつか」


俺は構えを取る。


こいつを倒さなければ、宝珠は手に入らない。


「上等だ。やってやる!」


炎の魔物が咆哮を上げた。その咆哮だけで、部屋中の温度が急上昇する。


「うおおおッ! 紅蓮弾連射(クリムゾンバレット・ラピッド)!」


俺は連続で火球を放つ。だが、魔物は炎を纏っているため、火球をすべて吸収してしまった。


「炎属性には炎攻撃が効かないのか!」


これは厄介だ。


魔物は巨大な炎の球を生成し、俺に向かって放った。


「やべえ!」


俺は横に転がって回避する。炎の球は壁に激突し、大爆発を起こした。


まともに食らったら、即失格だ。


「どうする...炎が効かないなら...」


その時、俺は気づいた。


炎が効かないなら、物理攻撃だ!


「そうだ...あの時みたいに!」


俺はヴィクターとの決闘を思い出した。最後に決めたのは、魔法じゃない。拳だ。


「よし、行くぞ!」


俺は魔物に向かって走った。


魔物は再び炎の球を放つ。俺はギリギリで避けながら、距離を詰める。


「もらったああああッ!」


俺は跳躍し、拳に魔力を集中させた。


魔法として放出するんじゃない。拳に纏わせるんだ!


炎拳(フレイムフィスト)!」


炎を纏った拳が、魔物の顔面に叩き込まれた。


「グオオオオオン!」


魔物は後方に吹き飛び、壁に激突した。


そして、光となって消えた。


「はあ...はあ...やった...」


俺は膝をつきながらも、笑顔を浮かべた。


勝った。


俺は台座に近づき、炎の宝珠を手に取った。


その瞬間、宝珠が光り輝き、俺の体が温かくなった。


これが、試験の証明か。


「よし、戻るぞ!」


俺は来た道を引き返し、迷宮の出口へと向かった。


---


迷宮の外に出ると、紗羅先生が待っていた。


「お疲れ様。時間は...一時間十五分。合格だ」


「やった!」


俺はガッツポーズをする。


「よくやったな、火乃丸。最後のボス、どうやって倒した?」


「拳です。炎を拳に纏わせて、殴りました」


「炎拳か。なかなか良い判断だ」


紗羅先生は満足そうに頷いた。


その後、陽太、紅、燼、咲も次々と出てきた。


全員、無事に合格したようだ。


「お疲れ、烈!」


「陽太も無事だったか」


「当然だろ! 俺を誰だと思ってんだ!」


陽太は元気いっぱいだ。


「貴様、意外とやるな」


紅も、珍しく俺を褒めてくれた。


「ありがとな」


「わああ! 私も合格したよお!」


咲は涙を流しながら喜んでいる。


「......」


燼は相変わらず無表情だが、小さく頷いた。


「全員合格、おめでとう」


紗羅先生が、俺たちを見て微笑んだ。


「これから、もっと厳しい訓練が待っている。だが、お前たちなら乗り越えられるだろう」


「はい!」


俺たちは声を揃えて答えた。


最初の試練を乗り越えた。


これから、もっともっと強くなっていく。


仲間たちと共に!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ