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第44話 検索



 


 寝室に逃げないと決めたはいいけど、九条くんがお風呂に入ってるこの状況。


 ドキドキしないわけがない。

 


 私の心臓はイタズラな九条くんのせいで、もう壊れたように鳴り続けている。


 



 することもない私はソファーにこしかけて、ネットであることを調べる。

 


「初めてのお泊まり」「カップルお風呂」「カップルお風呂上がり」

 


 少女漫画から得た知識ゆえの、妄想した単語を打ち込んだ。


 

 

 

 色々調べていると、やはり今日そういうことになりそうだという内容が多い。



 

 

 でも、その中に「彼女のすっぴんに萎えた」という記事を見つけてしまった。



 お風呂に入るということにドキドキしていた私は、九条くんの前ですっぴんとなったことに気がつかなかった。


 


 ……もしかして、かわいくないって思われたかな。


 

 

 私の髪を乾かしてすぐにお風呂場に行ったのも、思ってたのと違ったって思われちゃったからかもしれない。




「――たいして可愛くないくせに」



 

 大学生の時に言われた言葉。多分九条くんのことを好きだった1つ上の先輩。朝一緒に登校しているところを見られたんだと思う。


 

 私たちは1限の教室が別の建物だったから、門で別れたところすぐに声をかけられた。「付きまとうなんて可哀想」とまで言われた。


 でも、当時はそこまで傷つかなかった。



 

 私は九条くんに釣り合わないし、モテる彼といると邪魔になる。そう思っていたし、それが当たり前だと思っていた。


 


 自分が可愛くないことは知っている。


 


 そもそも恋愛に興味がなかったから、別に何を言われてもうまく流せた。




 でも、彼女になった今を含め、クリスマスマーケットで再会した日からは違う。

 

 

「可愛くない」「似合わない」「じゃま」

 

 

 一緒だった10年間で言われた言葉が、今になって心になだれ込んでくる。



 

 なんで私は、すぐにこうもネガティブになってしまうのか。




 

 一目惚れと言った九条くんだけど、それは中学生の時の話で……蛙化現象という言葉がある。



 九条くんは私のことを嫌いになったかもしれない。いや、そこまではいかなくとも冷めたかも。


 根拠はないその考えで、私はまた不安に押しつぶされそうになった。



 

 そんな思考になる自分にも嫌気がさす。


 ネガティブな女の子なんてきっと嫌だよね。いや、そもそもネガティブな人が嫌かもしれない。


 


 なんで九条くんの言葉を信じられないんだろう。

 

 どうして九条くんに面倒をかけるような考えになっちゃうんだろう。



 誰もいないリビングは静かで、夜景だけが綺麗に光っている。


 部屋の中は暖かいのに、心臓が冷えていく。

 

 


 冷たい手で膝を抱え、ソファーに座り考える。


 どうしたらいいのかな?



 答えのない問いかけがぐるぐるぐるぐるしていた。




 


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