第3話 再会
半分ほどに減ったワインを見ながら、おかわりは何にしようか考えていた。
「お姉さんひとり?」
そういうのうざいなーって顔も見ずに「連れがいるんで」と嘘をついた。
「もしかして彼氏できちゃった?」
あまりにも悲しい声に驚いて、私は思わず振り返った。
「……九条くん?」
「藤原さん、久しぶり」
茶色いコートにグレーのマフラー。背の高い彼を私は知っている。
「なんで……ここにいるの?」
「1人寂しくお酒を飲みに?」
「それ、私のこと?」
「いや、俺のこと。まさかこんなところで知り合いに会うなんて。なんか運命的じゃない?」
「たしかにびっくりした」
「よかったら隣に座っても?」
ビール片手に立っている彼は、中学から大学まで同じだった九条くじょう 晴はるくん。
まさかこんなところで同級生に会うとは思っていなかった。
私は左側に人1人分、横にズレた。
「ありがとう。じゃあ失礼します」
そう言って私の横に座る九条くん。相変わらず整った顔をしている。
「紙袋いっぱいだね。なに買ったの?」
「それ聞く?大人ひとりでクリスマスグッズ買い込んで、寂しいってバカにされたくないんだけど」
「クリスマスマーケットでそんなこと言うやつの方がバカじゃないか。俺は単純に藤原さんが買ったものを知りたいだけなんだけど」
「な、なんかごめん。えっと、スノードームとかキャンドルホルダーとかいろいろ?」
「へぇ、クマのスノードーム、これかわいいね」
「でしょ?これは外せないなと思って……」
そこから「かわいいね」「いいじゃん」「どこのお店に売ってたの?」なんて持ち上げられて、すっかり酔いが回ってしまった私。手元のワインが無くなってどうしようかな、なんて考えていた。
「藤原さん、このあとの予定は?」
「んー、おかわりをするかどうか悩んでる」
「最初に聞いたんだけどさ、改めてもう1回聞いてもいい?」
「なにを?」
「藤原さん、今彼氏いる?」
――想像していなかったその質問に思わず固まってしまった。




