第17話 光の道
急げ急げと駐車場を飛びだした私たちは、1つ上の階の雑貨屋さんを目指した。
ギリギリ間に合ったお店を見て、一息ついたがすぐに上がるテンション。
かわいいクリスマスグッズを目の前にした私は、一瞬で九条くんの存在が頭から抜けてしまった。
短い時間で吟味した結果、赤いガラスでできたツリーのLEDライトを手に取った。さあ、お会計に行こうかと一歩踏み出した私の肩に置かれた手。
思わずギクッと跳ねる。
「えっと……ごめんね?」
「俺の事、忘れてたよね」
怖いほどの満面の笑みに思わず足が止まる。
「まあそんなことより俺の分のスノードーム、どれか選んでくれない?」
忘れていた申し訳なさから、私はスノードームに目を移す。
「予算はある?好きな色とか」
「――ない!お任せします!」
じゃあ私の好みでいいかといくつか手に取る。その中で気に入ったのはオルゴールの付いたランタン型のスノードーム。
くるみ割り人形がモチーフで、「金平糖の精の踊り」と名曲。私の中のセンサーもときめいている。クリスマスらしいし、シンプルな色合いが九条くんのあの家にいいんじゃないかと思ったが、値札を見てびっくり。
「かわいいね、これにしようか」
そう言って私の手からスノードームを取る九条くん。
「あのね、それかわいいんだけど……ちょっと高い」
お店の人に聞こえないように耳打ちをする。すると九条くんも私の耳元で小さくささやいた。
「大丈夫、だってこれかわいいもん……それに、姫奈乃が選んでくれたやつがいい」
自分から近寄ったくせに、思わず近くなった顔と顔。固まってしまった私から、スッと私の分のライトまでお会計に持っていかれてしまった。
クリスマスマーケットの時から買ってもらいっぱなしで申し訳なく感じる。
――そんなふうに思っていたはずなのに……気がついたら一転。私は緊張していた。
マルシェを出た私たちは、光の散歩道を歩いていた。
大好きなクリスマスなのに、ツリーもライトも目に入らない。「きれいだね」という言葉に「そうだね」と返すのが精一杯。
なぜなら私の左手と九条くんの右手がつながれているからだ。あの日から何度つながれても慣れない。
さらっとつながれてしまった私の手は、冬なのに汗がにじむ。お付き合いしているわけじゃないのに、私は毎回振りほどくことができなかった……いや、しなかったの間違いかも。
「さすがにお腹すいたよね?」
「あ、いや、うん」
一旦落ち着くために、有名なチェーン店のカフェに入った。
――サプライズが待っているとも知らずに。




