第14話 No.1225
楽しい土日が終わり、現実がやってきた。
――ちょっとだけ寂しく思ったのはここだけの話。
いつも通りの月曜日。
8時20分に鳴るアラーム。9時に家を出て10時前に出勤する。
昨日はよく眠れなかった。もちろん九条くんのせいだ。こういう時、ゆっくり出勤できる学童の先生に就職してよかったと思う。
そこから火曜、水曜と担当イベントの準備をしたり、冬休み前の仕事に追われる日々。良くも悪くも土日に見ていた夢のことなんて、すっかり忘れていた。
木曜日の朝、クリスマス当日。今日の夜ごはんのチキンとマッシュポテトを楽しみに、スーツに着替えてパンプスを履く。お気に入りの映画も観ちゃおうかななんて、るんるんの私。バスも座れたし素敵な朝の始まりだ。
冬休み前日なので子どもたちは午前授業。学童は今日から忙しい。
バタバタしながらも子どもから聞く「サンタさんにもらったプレゼント」の話。やっぱりクリスマスが一番素敵なイベントだよな~、なんて再確認する。
とはいえ忙しいことには変わりなく、残念ながら30分の残業をして仕事が終わったのは夜20時。
「明日から1日運営だね」「朝から出勤つらいな~」なんて話しながら、他の社員さんたちと退勤。私はというと「夜ご飯楽しみだな」と思いながら、鼻歌まじりに学校を出た。
しかし通りに出た私は自分の目を疑った。なぜなら見覚えのある黒い車が横断歩道の先に停まっていたからである。ナンバーの「1225」がそれを確信へと変える。
「私、今日ちょっとコンビニに寄りたいので。お疲れ様です」
そう言って駅とは反対方向の、車の方へ小走りで向かう。
車の横に着いて、後ろを振り返る。
職場の人が見えなくなったのを確認した私は窓をノックした。
「お疲れ様~」なんて言いながら降りてくる九条くんに思わず詰め寄る。
「なんでいるの!?」
「――お誕生日おめでとう。お姫様をお迎えにあがりました」
「はい?」
突然ひざまづき私の手を取る九条くん。
慌てて首を左右に動かして確認したところ、幸い誰もいない閑静な住宅街。
「クリスマスを見に行こう」
「な、なんて?」
まぶしいほどの笑顔に私は言葉を失った。
――何が起こったのか。誰か説明してほしい。
「お腹すいたよね?何かカフェでテイクアウトしようか?」
「い、いや……お腹すいてない」
状況を理解できていない私は助手席に座っていた。




